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雪稜登攀・赤岳西壁主稜
青木 綾子

山行日 2016年12月10日~11日
メンバー (L)山蔦、内田、宮本、青木

 今シーズン初のアルパイン、赤岳主稜に参加させていただいた。赤岳主稜は自分にとっては初めて経験したバリエーションルート。情けないことに1回目はビビリながら着いて行く(引っ張られる)のが精一杯で、何も覚えていない。今回はその反省を踏まえてルート図や記録などを読み予習してきたつもりだが皆の足を引っ張らずに行けるだろうか。

【12月10日】
 初日は美濃戸口から行者小屋まで。テントを設営し、偵察組(山蔦・青木)と赤岳鉱泉まで買い出しチーム(内田・宮本)に分かれて行動開始。 偵察組は取付まで文三郎道をあがる。青空の広がるいい天気で視界もよく、一般道から容易に取付を確認できた。これから主稜にあがるパーティーが見えたのでじっくり観察。取付のチョックストーンは雪が少ないときは下をくぐれるそうだが、すでに雪に埋もれていたので乗り越えるしかなさそうだ。

雪煙の赤岳を前に睨みをきかせるリーダー取り付きのチョックストーン前にて

【12月11日】
 翌日6:00に行者小屋前を出発。予報より風は穏やかなようだが、文三郎道で高度をあげていくと上部はガスがかかってきた。これから天候が崩れるかもしれない。取付に先行者はみえず、順番待ちすることなく登攀開始。オーダーは先頭が山蔦さん。二番手に宮本さんと青木。二番手が上がったら、青木が山蔦さんをビレイし、宮本さんが内田さんをセカンドビレイする。リーダーの山蔦さんは全リードで休みなく動かなければならない。
 最初の核心は出だしのチムニー。最初来たときは登れなくてお尻を持ち上げてもらったのだが今回は思ったより楽に上がれた。そのまま雪のルンゼをあがり、凹角から右上して少し岩稜を登るとミックス状のリッジとなる。中間ミックス帯はコンテであがるパーティーも多いようだ。何人かソロクライマーも見られた。我々はスタカットで順調にロープを伸ばす。
阿弥陀岳を背に登攀  上部岩壁手前では数パーティーが順番待ちという渋滞になった。この辺りから風が強さを増してきて順番待ちは寒くてたまらない。前のパーティーが行くのを待ちきれず、山蔦さんが左の登りにくそうな岩壁に取付いた。高度感あるナイフリッジをまたがるように通過するスリル満点なラインであった。通常ラインには凹角にペツルのボルトが見えたが、こちらはあまりよい支点はとれなさそうだ。その先は3パーティーが並行していてロープが重なり合うというカオスな状態。ロープをくぐりながら進んだ。
ルートは大混雑  最後はチムニー。出口のピナクルで山蔦さんがビレイしてくれた。チムニーを抜けると、風と寒さが一層強まった。ここでロープをしまい、傾斜の落ちた雪面を登ると頂上山荘の前へ出る。そのまま赤岳山頂まで歩いて終了。最後が赤岳山頂というのが気持ちいいが、あまりの寒さに休憩どころか記念写真も撮らずにそそくさと山頂を後に文三郎道で下山した。
 行者小屋に戻ってテントを撤収し、美濃戸口に着くころには真っ暗になっていた。J&Nで入浴と食事をとり互いの労をねぎらった。

〈コースタイム〉
行者小屋(6:00) → 取付(7:10) → 最終ピッチ(チムニー)(13:20) → 赤岳山頂(13:40) → 行者小屋(15:00)


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