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縦走・酉谷山~熊倉山(紅葉編)
飯塚 陽子

山行日 2016年10月22日~23日
メンバー (L)飯塚、大田、小幡、杉本

 今年の2月に計画した、奥多摩から秩父へ抜けるルート(タワ尾根~酉谷山~熊倉山)は、2月のモナカ雪に苦しめられ、敢え無く途中敗退となり実現できなかった。そんなに思い入れのあるルートではなかったのだが、あのモナカ雪に苦しめられたルートを、計画通りに最後まで歩いてみたいと頭の片隅に残っていたので、性懲りもなく、紅葉の季節に再度例会を出してみた。

【10月22日】曇り
 当日、集合の東日原行バス8:35発に、メンバーの一人小幡氏の姿がなかった。なんでも諸事情で電車を途中下車し、次のバス(9:35発)に乗って、我々を追いかけることになり、まずは3人で先行することになった。
 さて、今回の計画は、一石山神社からではなく「オロセ尾根」からタワ尾根に取りつくことにしていたので、鍾乳洞を右に分ける分岐を左にとり、八丁橋方面へと足を運ぶ。八丁橋手前の林道を右に登っていき、30分ほど歩くと立派な木の階段がかけられており、ここがオロセ尾根の取付きとなる。
 始めはなかなかの急登であったが、1,123mまでは登山道となっており、その先に進むと分岐の目印がでてきた。分岐からは踏み跡が薄くなり、コンパスを合わせながら登っていく。登るにつれて、だんだん紅葉の色が濃くなっていくが、この日は生憎のガスガス状態で、鮮やかさがあまり出てなかった。それでも1時間ほどで、タワ尾根上のスズ坂ノ丸に到着した。ここで小幡氏を待ってみるが、姿を現す気配はなく、上に下にモートーコールを送るが返答なし。我々は、看板に小さいメモを残し、先に進むことにした。
 ここからのタワ尾根は、ややガスが薄くなったお蔭で、色とりどりに織りなす鮮やかな紅葉の色を楽しみながら登ることができた。ウトウの頭を過ぎ、前回泊まった場所(約1,600m付近)を通過し、ようやくタワ尾根の頭分岐に着いたのが16:00少し前。やはりタワ尾根は歩きがいのある長い尾根だ。あとは、暗くなる前に何とか酉谷避難小屋に到着すべく足早に急ぐ。途中、「林班界標27/28(白いテープに小さい表示)」地点は、道の方角が大きく左に曲がるところで、要注意の場所だ。この表示に気付かないと、左に曲がらずにそのまま尾根上に引っ張られてしまうであろう。お杉が、以前行った同期山行の際に、道を間違えた地点だと教えてくれた。
 そうして、ひたすら歩いて暗くなる寸前に着いた小屋には、単独の男性1人となんと小幡氏が先に到着していた。小幡氏は一石山神社からタワ尾根を登り、我々に追いつこうと必死に歩いていたが追いつけず、(そもそも我々はオロセ尾根から取付いていたため、スズ坂の丸では我々より既に先行していたことになる)、先の要注意地点で、間違いやすい尾根に引き込まれてしまったとのこと。途中で道間違いに気付き、正規の登山道に戻り、我々の少し前に小屋に到着したとのことであった。予定外の出来事がいろいろあったが、とにかくメンバー全員が無事に小屋に集中?できてよかった。この日の小屋は、単独の人も含めて全員で5名だったので、とても綺麗で居心地のよい酉谷避難小屋で、快適な一晩を過ごすことができた。

【10月23日】快晴
 翌10月23日は快晴。小屋の大きな窓からは、昨日見られなかった大パノラマの景色が望めた。今日も長時間歩くことになりそうなので、早々に小屋を出発し、まずは酉谷山山頂へ。山頂からは、綺麗な富士山もばっちり拝めた。ここからいよいよ、核心部である秩父方面の熊倉山方面に進んでいくのだが、点線ルートになるせいか標識らしきものは一切なかった。かすかな踏み跡を辿り、登山道を見つける。踏み跡が不明瞭な箇所もある道なので踏み外さないよう、また目印となる赤テープを見つけながら進む。山頂から1時間もしない内に、オオマサが、倒木を越えた後にバランスを崩したらしく、手を着いて転んでしまう。その時に、どうやら左手の小指を捻ったようで曲がらない状態だという。そんなに酷い痛みはないようなのだが、念の為ロキソニンテープとテーピングで処置をし、この先も長いが、頑張って歩いてもらうことになった。この時は、まさか骨折していたなんて思いもしなかった。
熊倉山  檜岳からは細い岩稜の尾根を下降し、熊倉山を過ぎたあたりから、下から登ってくる登山者と出合うようになった。オオマサも片手をかばいながらも順調に歩を進めてくれている。城山コースの長い下降を経て、ようやく林道に出ることができた。
 この奥多摩から秩父へ抜ける長くて不明瞭な道を含むルートを、積雪期に1泊2日で縦走する計画は、実際かなり無理があったなと、実感した。
 また、久しぶりの縦走となったお杉は、林道に出てからは足がちょっと痛そうであったが、顔は歩ききった満足感に溢れていた。
 あとはお楽しみの白久温泉に入ってさっぱりとし、秩父鉄道白久駅からお花畑駅へ、そこから徒歩で西武秩父駅まで歩く。途中、下山したら焼き鳥が食べたい!と騒いでいたお杉が選んだ店、「やきとり省松」にて反省会をし、大満足で帰途に着いた。

・白久温泉(入浴料1,000円)
入浴料金は高めだが、旅館の温泉で広くて綺麗。旅館の方も親切。

・やきとり省松情報
くるみ味噌ダレと鉄道がテーマのお店で、入り口には踏切の信号機があり、音を鳴らしながら出迎えてくれる。店内は、鉄道模型が走っていたり、昭和の機関車のビデオが流れていたりと、とても不思議な空間であった。
お勧めのくるみ味噌ダレや塩味の美味しい焼き鳥が、リーズナブルに味わえるお店です。

〈コースタイム〉
【10月22日】 奥多摩駅=東日原(9:40) → スズ坂ノ丸(13:30) → ウトウの頭(14:30) → 酉谷避難小屋(17:00)
【10月23日】 小屋発(6:00) → 酉谷山山頂(6:20) → 檜岳(13:00) → 林道(13:00) → 白久温泉(13:30)

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