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山スキー・赤谷川源頭
荻原 健一

山行日 2017年3月25日
メンバー (L)荻原、永岡、斎藤(吉)、古屋

 この企画は4年前の例会で出したのだが、ホワイトアウトのためにオジカ沢の頭手前で敗退。肩の小屋に戻るとガスが取れたので西黒沢の滑降に転進。西黒沢は谷川岳(トマの耳)山頂から一気に標高差1,200mを滑り降りるルートで最大斜度も45度程度と難度が高いので、これはこれで満足度が高かったのだが、赤谷川源頭スキーは持ち越しの宿題となった。そして4年の月日はあっという間に流れ、ようやく今回再チャレンジのチャンスが訪れたのである。

赤谷川源頭 【3月25日】
 この週は雪の日が多く火曜から金曜まで雪が降り続いている。特に金曜はずいぶんと降り続け土曜の未明まで降っていた。除雪作業のためロープウェイは1時間遅れとなり、その混乱と混雑で出発は8:30になってしまった。ゲレンデ脇の急な登り出しもスキーなのに深いラッセルとなり先が思いやられる。それでも肩の小屋には3時間程度で到着し、天気も悪くないのでなんとなく行けそうな気がしてくる。オジカ沢の頭の登りにかかるころ、ホワイトアウトが酷くなり踏みぬきも頻発する。1時間程度で見ていたところが倍の2時間かかってしまう。ホワイトアウトと予定を大幅に越えている時間を見て一瞬「敗退」の二文字が浮かぶが、様子を見ているうちにガスが一気に上がり、美しい赤谷川源頭が姿を現す。

万太郎山への登り  これを見ちゃったらもう後戻りはできません。と言うことで時間も忘れて赤谷川源頭に飛び込む。日本離れしたスケールの大きいロケーションの中、雄たけびを上げながら滑降していく。滑り終わると地獄の標高差500mの万太郎山への登りが待っている。

万太郎山西面の大バーン  山頂直下は結構怖いのでクトーを付けて頂上へ這い上がる。時間は16:30。土樽駅から土合駅へ戻る最終電車は19:30なのでぎりぎりだがここまでの満足度は極めて高く、どのくらいの満足度かと言えば最悪タクシーで帰ってもお釣りが来るぐらい満足しているのだ。
 万太郎山から独標1,452mまではほぼ真西に行けば良いのだが、シュカブラが凄くてとても滑れないので南方尾根より回り込む。雪はやや重いが大バーンの豪快な滑りにまたまた満足度が上がってしまう。
 独標1,452mからは更に雪が重くなりモナカ状になってくる。すっかりMPP(腿パンパン)になったころ、毛渡沢に出合うが、ここからが長かった。斜度の緩いモナカはコントロールしづらく無駄に体力を奪う。途中からシールを付けてチンタラ進む。結局土樽駅に着いたのは夜の9時。土合方面の電車は勿論ないので湯沢方面の最終電車に乗り込み湯沢のホテルに一晩世話になり、翌日土合駅へ戻った。
 文中でもたびたび触れたが今回は天気、メンバーに加えて当日未明まで降り続けたたっぷりの雪と美しさに魅了された今までで一番満足度の高い山スキーとなった。

〈コースタイム〉
天神平ロープウェイ(8:30) → 肩の小屋(11:30) → オジカ沢の頭(13:30) → 万太郎山(16:30) → 土樽駅(21:00)


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