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縦走・茅ヶ岳
千葉 朋子

山行日 2017年3月19日~20日
メンバー (CL)鈴木(章)、(SL)千葉、山口(順)

 奥秩父前衛の秀峰で、『日本百名山』の著者、深田久弥氏終焉の地として知られる茅ヶ岳の尾根をあっこさん、山口さんと3人で歩いて来た。図らずも山行は久弥の命日3月21日の前々日。久弥に呼び止められたのか、予定よりも茅ヶ岳をくるりと小さく囲む行程となった。
 前日、帰宅するのが遅くて朝寝坊してしまった。起きたら乗るべき電車に間に合わない。あっこさんごめんなさいと悔やみながら、急いで家を出た。新宿から1本遅い特急に飛び乗る。世の中は連休の最中で指定席は満席。自由席も混んでいて賑やかそうだったので、人気のない通路にザックを置いて腰を下ろした。前の晩しっかり寝ていなくて眠い。ザックに座ったままこっくりこっくりした。韮崎駅に着いた。ロータリーにあっこさんと山口さんが待っていてくれた。ほっとした。ロータリーの水場でプラティパスを満たしたあと、3人でタクシーに乗る。20分くらいで登山口の深田公園まで行く。訪ねるひとが多いのかタクシーの運転手も慣れている。駐車場はすでに登山者の車でいっぱいだ。荷物を整えて出発した。
 登り始めは沢沿いの勾配のなだらかな道で、砂利のうえに落ち葉が敷き詰められ絨毯のように歩きやすい。1時間ほどで女岩に到着。
 女岩を過ぎたあたりから尾根に向かってだんだんと急勾配になる。落ち葉も厚くなり絨毯に足をざくざく沈めながら進む。南面の明るい尾根に出ると山容が変わり砂地と岩が出て来る。5分も行くと景色のいい踊り場のようなところに出て「深田久弥氏終焉の地」と書かれた石標が立つ。景色が素晴らしい。岩を越えながら高度をどんどん稼いで行くと茅ヶ岳(1,704m)の頂上に着いた。360度の景色が広がるはずだが、ガスで見渡せない。頂上は多くのパーティで混んでいた。ここでお昼休憩を取る。
尾根に上がるまでは脆い岩が多い  頂上の反対側の北斜面は打って変わって肌寒く頂上から下り始めるとすぐ雪が現れた。溶けたところは氷が張っている。つるつるの道を軽アイゼンをつけてせっかく稼いだ高度をどんどん下げる。木立に入って暗くなると氷は雪で白い地面になった。鞍部の底からは金ヶ岳に向かって急な登り返しだ。1時間ほどで金ヶ岳の南峰に到着したが、そこから先は氷っていたので金ヶ岳のピークは割愛した。
 南峰からは東の尾根を下るのだが、これも非常に急で、やはりところどころ氷っている。下降の途中で休憩中だった山口さんのザックが谷に転げ落ちた。回収に谷に降りることも検討したが、すでに15時過ぎだったので今日は尾根の平らなところ見つけてビバークすることにした。スコップで雪を平らにして、その上に枝にロープを伸ばし骨のなくなったテントを張った。夜は星がきれいだった。
10mロープを使って谷に降りる  翌日は縦走の予定を変更して尾根から直接谷に下りた。ザックが落ちたであろう高度まで降り、次にトラバースして戻ると、寸分の狂いもなくザックが見つかった。無事ザックを回収。流石、あっこさんの地図読み。
 谷は明るくて広けていて南面で全然雪がない。なだらかなところを探しながら降りて行くと、ぽっと別荘地の裏庭に出た。そこからはアスファルトの道を下り、運のいいことに地元の方の足になっている乗り合いバスがちょうど来て乗せてもらう。日帰りの名取温泉の近くまで届けてもらって入浴し、竜王駅から帰った。

〈コースタイム〉
【3月19日】 韮崎駅=深谷公園(10:05) → 水場(10:55) → 女坂分岐(11:15) → 稜線(12:05) → 深谷久弥終焉地(12:09) → 茅ヶ岳山頂(12:30~12:50) → 石門(13:55) → 南峰(14:15) → 急斜面アクシデント(15:10) → 幕場(16:00)
【3月20日】 幕場(6:20) → 下降点(6:40) → 荷物回収(7:00~7:30) → ノースランドキャンプ場(8:20~8:40) → コミュニティバス乗車(9:40) → 名取温泉(10:20)

※タクシー代 3,240円、バス代 200円、風呂代 600円


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