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沢登り・ヒツゴー沢
大田 雅子

山行日 2017年8月26日
メンバー (L)大田、菅原、津田、飯塚、斎藤(吉)、成田

 10年前、入会間もなく参加したヒツゴー沢。未体験の長い沢にクタクタになりメンバーにフォローしてもらって、やっと初ヘッデン下山をした忘れられない沢だ。大変な思いはしたが、明るく次々現れる美しい滝の印象は、蛭ロードの前哨戦があるにしても、もう一度行ってみたい思いがずっとあり、久しく例会も出ていなかったので今夏行ってみることにした。
 梅雨明け後に雨が続いた8月。前日までの雨を気にしながら、前夜発で水上へ。道の駅で仮眠する。他にも沢屋グループがいるようだ。
 翌朝5:00、どんよりとした曇り空、谷川温泉へ移動。車1台をロープウェイ駐車場に回してもらい、準備をしているとザザーーと雨が......。車が戻って来てからもしばらく出るのを渋っていたが、小雨になって来たので行ってみることにした。
 二股までの林道=蛭ロード。「ヒル下がりのジョニー」を丹念に吹き付け、突入。足早に進むが、以前にも増してウゴウゴしているのがはっきりわかる。時々止まって靴を見れば、付いてる付いてる~! それを引っぱがし引っぱがし、二股の少し手前で逃げ込むように沢に下りた。「ジョニー」のお陰で被害者は出ず、気がつけば行く先には青空がのぞいている。ここで沢準備をして入渓する。
 二股から数分で右から入ってくる沢がヒツゴー沢だ。すぐにF1が現れる。F1は中央の岩を水流伝いに越えて行くのだが、水の勢いがすごい。ここで敗退か?!! いやいや天気も回復したし、ここは思い切りシャワークライミングでしょ! 岩の左からトライしてみるものの、水を浴びて乗っ越せず、高巻も無理そうだ。再度中央岩をモキチさんが強行突破してくれて、引っ張り上げてもらう。
青空とシャワークライム  一難去ってまた一難、トイ状滝は鉄砲水の様相。この先もほぼシャワークライムで、念のためロープを出したりと、早々にロープウェイ下山が危うい。CS滝では手がかり足がかりのないスラブ岩から勢いのある水流口への移動に手こずり、ようやく菅原さんが乗っ越してお助けを出してくれるものの、うまく移動ができずに沢筋に何回も落ちてヨレヨレになった人もいた。それでも1カ所高巻いただけで、水流沿いを皆で協力して越えて行った。
 ルートは迷いようのないわかり易さで稜線までひたすら沢筋を進むが、尽きることなく滝が連続し登りがいがありすぎで、最後の10m滝を越える頃には17時を過ぎていた。水が枯れる頃には夕暮れとなり、疲れも溜まりペースが上がらない。いよいよ暗くなって、またしてもヘッデン歩行となり、稜線に出たのが19時だった。
 ここで一安心、これからのことを相談。肩の小屋で休めば、安全な天神尾根から田尻尾根を下りて3時間で下山できるが、もし小屋の人に引き止められたら素泊まりもやぶさかでないと意見が一致。30分後小屋に到着した。小屋はヨレヨレの我々を暖かく迎え入れてくれ、まずは腹ごしらえ。カップ麺を注文して冷えた身体を温めていると、おにぎりを差し入れてくれ、有り難くいただく。
 小屋番の話によると、今夏はともかく雨の日が多く、谷川のどの沢も増水していて、皆時間がかかっているとのこと。先日は万太郎本谷から小屋に0:30AMに着いたパーティがいたとか。我々はまだマシだよ的話?! これから、田尻尾根で下ると言うと、「大丈夫でしょう!」とあっさり言われる。(こんな濡れて臭いグループを布団に寝かせる訳にはいかないか...)
 お腹を満たし、下山の準備をしていると、入口のドアが開き入って来た人から「オオマサー!!?」と言われ、よくよく見ると、なんと会友のカズヨさんでは!! 小屋泊まりで来ていたようで、こんな時間に会うとはびっくり! 懐かしい再会に大騒ぎとなった。
 カズヨさんに見送ってもらい、20時に小屋を出発。菅原さんがぐいぐい先導してくれて、23時無事下山することができた。
 16時間行動でヨレヨレヘロヘロになったが、終わってみれば、またまたお腹いっっっぱい楽しませてくれたヒツゴー沢でした。メンバーの皆さん、本当にお疲れさまでした。

〈コースタイム〉
谷川温泉(7:00) → ヒツゴー沢(9:00) → 稜線(19:00) → 肩の小屋(19:30~20:00) → 谷川岳ベース(23:00)


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