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沢登り・笛吹川釜ノ沢東俣 ~新米パパの育児逃避山行~
吉岡 卓磨

山行日  2017年7月22日~23日
メンバー (L)齊藤(慈)、吉岡、内田、(市川)

 会社の計画年休と公休で木曜日から休みだったのだが、まずはここからじっくり語りたいと思う。「どぅーしても行きたいっていうんなら、仕方ないから行ってもいいよ。その代わり木金はきっちり育児してもらいますからね。」と妻から許可を頂き、生後6ヶ月の娘を木曜日は「ピヨピヨ広場」、金曜日は「ベビーサイニング」に連れて行く条件で折り合いをつけたのであった。
 「ピヨピヨ広場」はママ同士の交流の場、「ベビーサイニング」は赤ちゃん用の手話講座で、今回が最終回。
 「ママ同士っていうのはさ、ママ友とかあっていろいろ交流できるけどさ、そこに野郎が飛び込んでも男と女ですよ、意味ありますか。それに最終回だけパパが参加して意味ありますか。所詮父親っていうのは云々かんぬん・・・」
 「いいからアタシが普段どんなことやってるか見てきてよ(; ・`д・´)」
 「はい(;´・ω・)」
 育児で最も大変なのは妻のご機嫌取り。契約通り木曜日は「ピヨピヨ広場」に参加し、午後はボルダリングへ。金曜日は「ベビーサイニング」に参加し、午後は体力温存のため昼寝。
 「あのさぁ、ボルダリング行って昼寝して全然育児してないじゃん"(-""-)" そんなんで山行く気( `ー´)ノ」
 「はい、すみません。行ってきます。。。」
そして道の駅「みとみ」で一夜を明かし、いよいよ沢へ。西沢木渓谷の遊歩道からいくつか橋を渡り、旧登山道脇から沢沿いへ。沢を渡る丸太の橋がある。渡っていよいよザブザブ行くかと思ったけど、ちょっとだけ沢の中を歩いた後は、しばらくは旧登山道を歩く。下の方に面白そうな渓谷が続くのになぁ。と思ったらちょっとヘンな植物を見つけた。
腐生植物の一種だな。  その登山道も支流の合流点で切れるのでそこから本格的に入渓。しばらくして現れたのは「乙女の滝」。その名の通り華奢な印象。そこからへつりの難しいトゥルットゥルのナメ岸をいくつか越える。先頭でどうじょ(。っ・ω・´)っ え、自信ないなぁ・・・(まぁ滑ってももがいて何とかなりそうか)。と思ったらやっぱり滑った。事前にリーダーが言ってた通り、ここはフェルトよりゴム底の方がいいらしい。もがいて水中の岩縁に足を置くもそこが滑って辛い。ようやく体が安定したと思ったら市川さんが落ちてきたヽ(´△`)ノ いはゆるタイミングの悪い女というやつか。そんな感じで順調に進んでいくと沢の分岐。釜ノ沢方面が赤ペンキで書いてある。釜ノ沢方面に進むと、次は「魚留の滝」。滝の左側を登る。登り終えた先は「千畳のナメ」。

両岸から包み込む木漏れ日がやさしい。  ここを越えてしばらくすると「両門の滝」。そしてまだ12時台なんだけど、もう幕場探しする地点まで来てしまったんだな。数パーティと抜きつ抜かれつ登っているけど、そのパーティたちも同じ考えのようで、今回決めた幕場から2パーティが目視できた。
 幕場に着いたらまず薪集め。この辺りは樹皮のはがれた針葉樹が多い。シラビソだな。針葉樹の方がヤニが多く燃えやすいうえ、樹皮は特に燃えやすい。実際すぐ火が付いた。と、思ったら雨が降ってきた。予報では夕方一回雨が降り、夜にもう一回来て、翌日は晴れるとのこと。いったんタープに避難して雨をやり過ごし、再び焚火、そして夕飯。一番大きいビリー缶に700gのサラスパを入れたんだが、麺が多すぎて餅になりそうな予感。茹で上がった後、沢水でゆすいで事なきを得たが、みんな!細麺は十分注意しよう!! たぶん400gくらいが限度だよ。
 夕飯をちょうど食べ終わったところでまた雨が降ってきた。夜に来る方のやつだ。結局この雨は長引き、特にやることもないので、そのままタープの下で就寝。7時頃だったか。この時間だと、妻は夕飯の準備を始めることだろうか、今日の娘のお風呂はちゃんと入れてくれるだろうか、入眠の儀はつつがなく執り行われるだろうか・・・などは全く気にも留めず寝落ちした。10時間睡眠、長い。
 翌朝、まずは朝食で、担当は齊藤リーダー。昨日の反省を踏まえてラーメンを二回に分けて投入。これくらいならうまく茹だるな。昨晩の雨で焚火には再度火は点かなかった。水量は特に増えているとは感じなかった。十分標高も高いので雨の影響を受けにくいのかな。
 ぐっちょり感甚だしい沢靴を履いて甲武信ヶ岳山頂を目指す。いよいよ山頂近づいてきて傾斜がきつくなる。頭から沢水をかぶるところもちらほら出てくるけど、やはり水をかぶってこそ沢だと思う。どう高巻けばいいのかいまいちわからない滝を薮漕ぎながら何とか越えたりしているうちに源流に到達。甲武信ヶ岳は中央分水嶺なので、分岐点の源流を詰めたと思うと感慨深いなぁ。いぇいのポーズで下からパシャリ。
中央分水嶺の源流に到達。  ここからは小屋まで登山道が続いている。小屋で使う水をポンプアップしていて、水屋にメンテするための道だ。ほどなく甲武信小屋に到着。ここで沢から山へ装備を変更。さて・・・山頂行く? 日曜日は晴れると聞いていたのに、登り始めてすぐの頃から小雨が降り続いている。「この天気で山頂ねぇ・・・。」って言ったら一般道で登りに来ている人に苦笑いされた。心無い一言ですみません。私以外は皆山頂に行ったことがあるとのことだったので、私一人で行ってきた。一応富士山は見えたのでよしとしよう。沢沿いのシャクナゲはもう咲き終わっていたけど、山頂付近はまだ残っていた。この曇天でもシャクナゲが見られれば心和むよ、ありがとう。
まだシャクナゲが咲いていた。  さて、あとは下りだが、心配事が一つ。メンバーには報告してあるのだが、一週間前にボルダリングでマットじゃないところに振られて落ちて足の親指の爪が内出血している。こんな足で下れるだろうか、と、思っていたのだが、親指はまったく問題なかった。ひたすら、ひたすら、ひたすら(すごく長く感じる)下って無事下山。ん~足の人差し指が痛い。下り用の靴はまだ履きなれてないからマメでもできたかな。と、思ったら両足の人差し指の爪が内出血していたことはここだけの秘密だ。
 沢、楽しいね(*´▽`*) 今年、もう一回くらい行きたいけど、妻の了解は得られるだろうか。娑婆に戻って思うのはやはりこれだよなぁ。ではこのへんで。

〈コースタイム〉
【7月22日】 道の駅「みとみ」(6:25) → 丸太橋(7:30) → 謎の腐生植物発見(8:20) → 乙女滝(9:40) → 魚留滝(10:50) → 両門滝(12:10) → 幕場(13:00)
【7月23日】 幕場(7:00) → 笛吹川源流(9:40) → 甲武信小屋(10:00) → 甲武信ヶ岳山頂(10:25) → 道の駅「みとみ」(13:40)

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