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沢登り・泉水谷小室川谷
千葉 快晴

山行日 2017年6月10日~11日
メンバー (L)古屋、和田、津田、千葉(快)

 初めてのタープ泊/焚火/釣り、色々な初体験が濃縮されたとても印象の濃い2日間になりました。
 沢登りがこんな綺麗なコースを歩くなんて、多少危険な道はあるけれどもっと沢山の沢に行ってみたいなと思えるようになりました。同行快諾して頂いたリーダー、メンバーには大変お世話になりました。

【6月10日 晴れ時々曇り】
 前日道の駅にて仮眠。初日は三条新橋に車を止め、林道途中の「小室向」から入渓地点である小室川谷出合まで一般登山とほぼ変わらない道を辿ります。ここで沢支度を整え入渓したのだが、お決まりのハーネスを絡ませてしまいすぐ履きなおす。気温は微妙にまだ肌寒く水をジャブジャブという感じではなく、なるべく水深の深い所は避けて歩く面々、自分はヘツリなど下手くそでよくドボンと完全に水にまみれていた。

ここから小室川谷出合に向かいますヘツリを進みます

泳いで通過した小室の淵  次々と現れる奥秩父の綺麗な苔むした小滝は、直登するか高巻きするか毎回選択するのだがリーダーの古屋さんは、毎回立ち止まっては適格なルートへ導いてくれる。本日の見どころは「石門」と言われる岩くぐりと「小室の淵」と言われる水深の深いV字谷とがある。この2箇所の通過で難儀し、かなりの時間ロスを食ってしまったのだが。
 まず石門への登りだが、今までは小さい滝を何とか登るという感じであったが、ここに来てほぼ垂直に近い石壁からロープが垂れていてここを登らなくてはならないようだ。先頭の古屋さんがスイスイ登りロープを設置、自分は中間で登ったのだがどうにもこうにも足場と手のホールドが見つからず、おまけに高度感があり相当怖い。とうとう半ばで力尽き蝉のような状態で岩に張り付いていた。
 下からは津田さんが「右と左の足を揃えて同じ足場に!」と力強い声で叫んでいる。しかしもはや腕は筋肉痛で力が入らず最後はゴボウで強引に吊り上げてもらった。この辺りに来てもはやテンションはガクッと下がる。正直に言うと怖い!帰りたい!すっかり臆病風に吹かれ足もガクガクいってる。そんなこと口に出すのも恰好悪いのでしばらくは武者振るいのような衝動を抑えながらの遡行となった。
 小室の淵は本当に綺麗な場所で、上から日も降り注ぎそれがまた一段と綺麗に映る。ここを通過するのに自分も含め先頭2人は沢中を泳いで通過、後の2人は高巻きをして通過した。
 そして本日のメイン、中ノ沢の高台の幕営地に到着。周りには焚火跡があるのですぐ分かるだろう。
 ここで初めてタープなるものが登場、支点の両サイドの木の間にロープを回しタープを張っていく。その間に素早く和田さんが焚火の用意を進めている。慌てて見様見まねで薪集めに右往左往する。タープを張り終えた古屋さんはなんとザックから鋸を取り出し大きい切り株を切り出している。慣れた手つきのそんな連携プレーを眺めていると後ろではもう焚火に火が付いていた。
 寒い体を焚火で温めしばらく放心状態に陥っていると、今度は古屋さんが釣り竿をもって魚釣りに出かけた。本当は横で釣りのノウハウでも教えて貰いたかったが、そんな心の余裕はなかった。暫くするとヤマメ?を3匹釣り戻ってきて、今度は和田さんがお腹を捌く。そのまま枝に串刺しにして遠火でジワジワ焼いて美味しく食べた。楽しいひと時はあっと言う間で夕食を食べ終えると眠気に襲われ朝まで熟睡であった。

本日の幕営地古屋さんが釣り上げたヤマメ

【6月11日 曇り時々晴れ】
 翌朝、鹿の鳴き声と共に目を覚ます。本日の行程は自分の足取り次第で長くなりそうだ。そう判断し朝食を済ませると早めの出発。昨日に比べれば核心的な滝の難所はあまりないが、一ヶ所四段の滝でロープを出した。三段目までは普通に苔むした良い足場なのだが最後だけツルツルの岩を少しヘツリ気味で通過した。上部までいくと和田さんがお助け紐を連結させたものを投げてくれた。まさに天から降りてきた雲の糸のようで必死でしがみ付いた。最後にここを通過した津田さんのときは既にお助け紐は仕舞われていた。お助け紐は自分だけで十分との判断からであろう。自分のレベルを思い知った。
 ここを越えてしまえば後は源流の詰めだけである。大して怖い道もなく適当な所で尾根へ逃げる。しばらく傾斜が物凄いが藪漕ぎもなくすぐ斜度も緩くなる。登山道に出るとみんなでヤッター!初めて緊張感も緩み、重い沢装備からもここで解放された。
 しかし昨日は沢で誰とも出会わなかったが、一般登山道はまるで銀座のようで大菩薩の山頂は一転凄い賑わいであった。ここからは一般登山道、すごく歩きやすい道。車までの林道歩きが疲れた体にはそこそこ辛かったが終わってしまえばちょっと寂しくなった。あれほど怖かった沢登り。帰路の車の中で何故かまた沢登りに行きたいなと思ってしまったのであった。

奥秩父はコケコケ天国無事遡行完了!
〈コースタイム〉
【6月10日】 三条新橋(7:10) → 小室川出合(8:20) → 中ノ沢出合(14:00) → 幕営地
【6月11日】 幕営地(5:30) → 稜線(11:40) → 三条新橋(15:00)

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