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沢登り・名取川二口沢鳴虫沢
金子 隆雄

山行日 2017年6月3日~4日
メンバー (L)金子、紺野、小幡、千葉(朋)

 待ち遠しかった沢のシーズンがやってきた。今年の幕開けはこの鳴虫沢だ。短い沢なので沢自体は日帰りできるが東京起点でその日に帰るのは厳しいので下山後に泊まって翌日帰る計画とした。
 東所沢駅に集合し圏央道経由で東北道に入り、途中SAビバークはせずに現地入りする。二口キャンプ場の駐車場に着いたのは2時半頃だった。駐車している車は皆無、駐車場にテントを張って潜り込み一杯やる。さて寝ようかとテントから出てみると空は白々と夜明けを告げ、鳥たちも爽やかにさえずりだしている。こんなにも早く朝が来るのかと驚くが行動を始めるにはまだ早い。少しでも寝ておかなければとシュラフに潜り込む。

【6月3日】
 7時過ぎに起き出して撤収後に入渓点へ移動する。車で林道を少し奥へ進むと姉滝の標識が出てくる。この前が少し広くなっていて駐車できるのでここに車を置く。姉滝は天然記念物に指定されており見物のための遊歩道があるのでこれを辿って二口沢へ降りる。
 二口沢を200mほど上流へ辿ると右岸より水量の少ない地味な鳴虫沢が出合ってくる。地味なのだが出合に架かる滝がいきなり登れなくて右岸より捲いて越える。この沢は水量は少ないが深い釜が多い。10mほどの登れない滝をその下の2m滝ともども右岸より捲くとしばらくは大きな滝は現れない。
 小滝をいくつか越えていくとやがてこの沢で最大の滝が現れる。黒く光って見える20mシシ滝だ。左岸の水流から外れた所にロープを付けて紺野さんトップで登る。ホールド、スタンスともに豊富で厳しくはない。

シシ滝20mの登攀沢を塞ぐ大岩

 シシ滝を登り終えるとすぐに沢を塞ぐ大岩が現れ、それを期に巨岩帯の始まりとなる。苔むした大岩が折り重なり、かなり長く続くので体力の消耗が激しい。巨岩帯の終了と同時に雪渓が現れる。今年の残雪の多さを考えると雪渓は予想されたことなので驚きはしない。ブリッジになっているが潜りたくはなかったので上に乗って通過しようと考えたが降りることができなくて戻って下を潜り抜ける。
 しかし、潜り抜けた先に待っていたのは10m以上ある登れそうにない滝だった。そこからは捲くルートは見いだせなかったので再度ブリッジを潜って下流へ戻る。簡単に捲けそうなルートを物色するが両岸ともに傾斜が強く捲くのは無理そうに思えた。雪渓の上に乗ってみたら何か見つかるかもしれないと攀じ登ってみる。周囲を見回してみると右岸から小尾根が降りてきているのが目に入った。これに取り付ければ捲くことができるかもしれない。但し、灌木も草も生えていない泥壁をトラバースして行かなければ辿り着けない。可能性があるのはここだけなのでロープを付けて騙し騙し泥壁をトラバースしていき何とか小尾根に辿り着いた。この尾根を少し登ると傾斜は緩み、歩いて沢に戻ることができた。間違いなくここが今回の核心部だった。
 この先にはもう厳しいところはなく小滝をいくつか越えると道に出くわす。この道は地図には載っていないが家形山を経由して姉滝まで戻ることができる。家形山からはかなりな急下降となるが道はしっかりしている。
 下山後に今夜の泊場所を探すがなかなか良い場所がない。キャンプ場も今一つでしっくりこない。取り敢えずキャンプ場で水を確保して林道を行ったり来たり、結局は林道脇の空き地でのキャンプとなった。今日は午後から強風が吹き続いているので焚き火はできなかった。

【6月4日】
 温泉が開くまで時間があったので観光客と化して秋保大滝を見物してから帰途についた。

秋保大滝 迫力あります
〈コースタイム〉
【6月3日】 姉滝(8:30) → シシ滝下(10:10) → シシ滝上(10: 40) → 登山道(13:45) → 姉滝(15:30)

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