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集中山行・谷川岳
その6 縦走・大人クラブ隊(大源太山コース)
鈴木 章子

山行日 2017年9月23日~24日
メンバー (L)鈴木(章)、菅原、勝部、川崎

 集中が谷川岳だったので、このコースを選んだが参加者がいなければ、大源太山は一度登っているので足拍子山の下見もかねて『謙信ゆかりの道』を歩こうと考えていたが、幸か不幸か5日前に3名参加希望者があり大源太山に登ることになった。
 大源太山上部は、鎖とロープが続く道、リハビリ中の勝部氏には大変だったがよく頑張ったと思う、褒めてあげたい。
 前夜、川崎氏以外は土合駅で仮眠。他のパーティーも同様で仮眠中のようだった。

【9月23日】 曇りのち一時雨
ゆっくり、諦めず登る大人クラブ隊  翌朝、始発電車(8:34)に乗車。越後湯沢駅で川崎氏と合流後、タクシーで登山口へ。登山口には数台の車が止まっていた。遅い出発だったが地図では4時間50分、遅くても16時には小屋に着くだろうとのんびり出発した。
 天気は回復予報、『謙信ゆかりの道』分岐までは、渡渉も含め順調だった。が、その後はチビ山にしては急登の連続。我々『大人クラブ隊』は、日頃の努力不足・技術不足、退化の一路を辿る体が小言を言い始める。しかし、大人の意地に支えられ引き返す言葉を知らなかった。
 この時期にしては暑いスタート、これがいけない。樹林限界を過ぎたころから空からパラパラ、予想外の雨が硬い岩場を濡らす。靴は滑るし、ロープは長く緊張の連続。数人の下山者とすれ違う。全員ピストンとのこと。全員我々より若そう。
 山頂直下は鎖とロープが頼りの登り、健常者でも侮れない。亀のようにゆっくり、蟻のように諦めず登る。這い上がるようにしてやっと立った山頂の狭さ。やはり東洋のマッターホルン?残念なことに山頂は雲がかかりパノラマ展望はできなかったが、山頂に立った満足感には変わりなかった。
大源太山頂上にて  下山コースは登りよりも長く鎖場が続く。雨で濡れた岩はさらに滑りやすい。今度はナマケモノのようにゆっくり下る。霧が掛かっているのが幸いして高度感・緊張感は薄い。岩場を過ぎ、少し藪っぽい道を主稜尾根に向けて歩く。思いのほか登り下りがあった。
蓬ヒュッテにて  霧の中、主稜尾根分岐の指導標を確認。(嬉しかった!)主稜尾根は刈り払いされ、広くて歩きやすい道を5分ほど歩くと七ッ小屋山山頂。その後は、草紅葉の続く湿原と遠くの笹原に目をやりながら峠を目指した。
 予約を入れてあるのでのんびりと歩いたが、小屋が見えると心が弾んだ。これまで何度も何度も、この小屋の前を通り過ぎたが泊まるのは初めて、ちょっとドキドキ。
 本日の宿泊者18名、小屋番は感じが良く、小屋の中は狭いながらも我々にテーブルを出してくれ、小屋内での自炊OK、寝る時もそのままで良いと言ってくれた。夜はランプの小屋、トイレはバイオ、雨具を干すハンガーも充分あった。
 しかし、この小屋に泊まるなら自炊を勧める。小屋番の歩荷のみの食事、私の若いころの南アの食事に似ていた。20時に消灯になり小屋の中は静かになった。

【9月24日】 快晴
 翌朝4時から小屋の中は賑やかになった。馬蹄形に行く人たちだろうか早々に出発して行った。彼らが出発後、おもむろに起き朝食を取った。
 友達を待っているという2人を除けば、我々は最後の出発になった。4~5時間も歩けば谷川岳と思っていたが、昨日の疲れが出て速度が上がらない。武能岳の登りが長い・下りがキツイ・茂倉岳からの人混みで停滞状態と不満は続くが、とにかく私が「13時に着く」と断言した以上全員頑張れ!
 早朝からの好天に恵まれ、見渡せば山々は秋色が多くなっていた。笹原の緑色の対比が美しい。雪の谷川岳も素晴らしいが、この時期もまた違う意味で素晴らしい。長い年月共に戦ってきた仲間とこの山を歩けるのは、たとえお互い『亀』と化した今も言葉にならない喜びがある。夏の縦走を除けばやはりこの山は素晴らしい。忘れそうになる我々の青春がある。
素晴らしい秋の谷川岳 青春の山  振り返れば、昨日登った大源太山が空に向かって突き上げている。小粒だが立派な上越国境の山椒の実だ。それを我々は昨日登り切った。
 オキの耳・トマの耳の人混みにウンザリしながら肩ノ小屋に13時10分到着。小芝隊はすでに小屋の中でビール2缶空けていた。
 14時頃から馬蹄形隊・万太郎沢隊・赤谷川隊・茂倉隊・最後はやはり東ゼン隊が15時頃に到着。全員疲れてはいたが、集中できたことを喜んだ。
 茂倉隊が持ち上げたスイカを片手に記念撮影後、天神平ロープウエイ駅を目指した(2名は西黒尾根を下山)。下山は1時間20分ほどですみ、ロープウエイ下車後、各パーティで帰路についた。少し帰宅が遅くなったが何事もなくてよかった。お疲れさまでした!!

〈コースタイム〉
【9月23日】 越後湯沢駅=大源太山登山口(9:50) → 謙信ゆかりの道分岐(10:05) → 大源太山山頂(13:40) → 主稜尾根合流(15:25)七ッ小屋山山頂(15:30) → 謙信ゆかりの道分岐(16:20) → 蓬峠(16:35)(小屋泊)
【9月24日】 蓬峠(7:10) → 武能岳(8:15) → 茂倉岳(11:00) → 一ノ倉岳(11:30) → オキの耳(12:45) → トマの耳~肩ノ小屋(集中)(13:10) → 天神平ロープウェイ駅

〈諸費用〉
〇タクシー代
越後湯沢=大源太登山口 ¥4,100
〇蓬小屋宿泊代
素泊:シュラフ持参¥4,500、寝具付き¥5,000
〇ロープウェイ代
片道:¥1,230


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