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集中山行・谷川岳
その8 縦走・茂倉新道
さとう あきら

山行日 2017年9月24日
メンバー (L)佐藤、天内、眞鶴、平田

 2017年の秋の集中登山は谷川岳肩ノ小屋になった。出ている計画を見ると1泊2日の沢や縦走ばかりでお手軽ルートがない。それではと実質日帰りのコースを企画した。今回は土樽駅から茂倉新道を通り、一ノ倉の岩壁を見下ろして集合場所に向かうというもの。そこそこのゴールデンコースだが、天神平や西黒尾根からのコースに比べると登山者は一桁少ない。
 参加者は大ベテランの天内さんに加え、お試しとして参加してくれた二名。ひとりは沖縄出身の好青年の眞鶴くん。登山をしたくて上京したとのこと。物静かだがパワー抜群だ。そしてもう一人は美髪の持ち主の平田さん。美容院帰りかと聞いたら全くメンテ不要とのことで驚きだ。競馬の予想屋をやっていたという経歴もまた驚きである。
土合駅の階段にて  今回の集中登山後の下山地は群馬側の土合駅。一番列車で入山地となる新潟側の土樽駅に向かえるとよかったのだが、それでは集合時刻に間に合わない。そのため、最終電車で土樽駅に向かい、駅の待合室で仮眠させてもらうことにした。まずは車を土合駅に置き、日本一のトンネル駅の下り線ホームへと向かう。486段の階段をひたすら下り、静寂の地下空間へ。
 時間も体力もたっぷりあるので、眞鶴くんは荷物をかついだままこの階段をもう一往復していた。谷川岳の下を貫く清水トンネルを抜けた土樽駅は我々だけで、すこぶる快適な一夜を過ごすことができた。

【9月24日】
矢場ノ頭から茂倉岳をバックに  翌9月24日は快晴。朝食後、登山口まで魚野川沿いの車道を歩く。釣り人もおり、澄んだ水が青空に映えて美しい。茂倉新道に取り付くと登り一辺倒だ。美しいブナ林を抜け、アスナロの大木をまたぎ、万太郎岳の秀麗な山容に見とれているうちに大展望台の矢場ノ頭に到着した。
 周囲の木々は既に色づき始め、谷川稜線下の笹斜面はビロードにように波打ち輝くのがまた素晴らしい。そして西側には魚野川をはさんで平坦な頂上の苗場山が圧倒的な存在感を示す。

快晴で周囲の山も一望紅葉も始まりです

 さらに登った茂倉岳避難小屋は茂倉岳直下の20名程度は泊まれそうな大きな小屋で、水場もすぐ下だ。展望も抜群で今度はゆっくり宿泊目的で来ようと思いながら後にした。
美しい茂倉岳と茂倉小屋  上州と越後を隔てる国境稜線はよく整備されて歩きやすい。一ノ倉岳を越えてノゾキから一ノ倉沢を俯瞰すると、テールリッジの磨かれた岩肌が白く輝き、その上部には烏帽子岩の岩峰が、また谷の右側にはドームがそびえ、ついクライマーはいないかと探してしまう。
 オキの耳まで来ると急に登山者だらけとなり、登山道は渋滞し始めた。この秋一番の好天に誘われて多くのハイカーがロープウエイで登ってきているようだ。そのため集合時刻の午後2時に遅刻しそうで気がかりだが、追い抜くのもままならず、そのまま従順に肩ノ小屋到着となった。既に他の6パーティ全てで誰かは到着はしていたが、まだ全員集合ではないという。早く下山したいという者もいたため、こちらで担ぎ上げたスイカを振る舞い大急ぎの集合写真となった。

谷川岳でスイカを食らう  下山は天神平へ。途中の休みはナシでどんどん下り、ロープウエイに乗車。土合駅に置いたクルマには5時前に戻ることができた。一方、まだまだ元気一杯の眞鶴くんはここで一泊後、翌日再び谷川岳を越えて土樽まで歩いたとのこと。お疲れ様でした。
 なお今回お試し参加だったお二人には入会してもらいました。これからもよろしくお願いします。

〈コースタイム〉
土樽駅(7:00) → 登山口(7:45) → 茂倉小屋(12:00~12:25) → 肩ノ小屋(14:15~14:50) → 天神平(16:10)


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