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縦走・栂海新道(栂池~朝日岳~日本海)
荻原 健一

山行日 2017年9月15日~17日
メンバー (L)荻原

 このルートを初めて意識したのは2013年10月の日韓交流山行のときだ。白馬岳から栂池方面へ少し下った三国境という分岐に着いたとき、ここから北へ延びる登山道を見て自分だけこのパーティーから離脱してこのまま栂海新道を歩いてしまいたい!と魔が差したのを良く覚えている。
 早いものでそれから4年。縦走などはいつでもできると思っていたが、いい加減いい年だし、考えてみたら栂海新道のような名ルートでまだまだ歩いていない縦走ルートがたくさんあったことに気付いてしまったので、今年からこのような山行も混ぜて行くことにしたのである。

【9月15日】晴れ
雪倉岳避難小屋より白馬岳方面  前日に新宿発の夜行バスに乗り、信濃大町駅に5時に到着。(栂池への直通バスは満席だった)南小谷方面への始発は6時過ぎなので1時間くらい待合室でのんびりしていると5人組の山や達が真剣に議論している。どうやら黒部上ノ廊下に5日間で入る予定だったようだが、台風予報のために行くか止めるか、もしくは東北方面の沢に転進するか等の相談らしい。上廊に突っ込むという意見もあり他人事ながらちょっと心配していたが、転進ということで話が纏まったようだ。白馬大池駅からタクシー、ゴンドラ、ロープウェイを乗り継いでようやく栂池自然園の登山口に到着する。素晴らしい秋晴れの中、マイペースでのんびり歩き始める。白馬大池で今夜の水を補給し小蓮華岳を通過し三国境へ。4年前の場所に戻ってきた。前回と違うのは栂海新道を歩く権利と時間を手にしていることだ。少しだけ気分が高ぶる。ここから少し下って鉢ヶ岳を右からトラバースすると本日の宿となる雪倉岳避難小屋だ。台風予報の影響からか?本日は貸し切りだ。ビール片手に小屋の外塀の上から、夕焼け、雲海、白馬岳他の山々の景色を贅沢に独り占めする。

【9月16日】晴れ時々曇り
雪倉岳山頂  今回の栂海新道は台風が来なければ本当は3泊4日の予定。今日は朝日小屋までの半日行程なので雪倉岳や朝日岳の山頂からの景色をゆっくり楽しみ、その後は有人小屋の幕場でビール飲み放題!だったのだが、2泊3日に縮めてしまったので今日はそれなりに忙しい。夜明け前の5時に避難小屋を出発する。すぐに雪倉岳山頂で、ここで日の出を迎える。
朝日岳山頂  山頂から北方に向かう斜面は2011年GWにスキー滑降ルートとして計画したのだが、このときは悪天強風のため山頂に届かず、雪倉岳東面斜面の往復のみに終わった。次回チャレンジするときのために北面カールやその後の瀬戸川方面への滑降ルートをイメージしながら下りていく。池塘や湿原の平坦地を過ぎて登り返すと朝日岳山頂だ。ここからの景色は素晴らしく能登半島から毛勝三山、剣岳、白馬、妙高・火打、明星山、数十キロに渡る日本海など360度の大展望だ。
 ご機嫌になって下っていくとすぐに吹上のコルでここからが所謂「栂海新道」となる。長栂山から黒岩山までは美しい湿原や池塘が続くが、とにかく長い下りでいい加減に嫌になってくる。黒岩平は水もあり幕場適地もたくさんあるが植生保護のために幕営禁止となっている。禁止の看板がなければ思わず張ってしまいたくなる所だが、禁止でなくても明日中の下山を考えると最低でも栂海山荘まで行く必要がある。重い腰を上げて、黒岩山、サワガニ山、犬ヶ岳を越えなんとか栂海山荘に到着する。小屋には先客が結構いて全部で7-8名はいただろうか。みなさん朝日小屋から来たとのことで台風を考慮して明日は全員下山するようだ。

【9月17日】曇り時々晴れ(午後から強風)
 今日は昼前から雨の予報。天気が崩れる前にと思い2時半起床、4時出発とする。白鳥山を越えここから長い長い下りとちょっとの登り返しをこなして、何とか雨が降り出す前に親不知観光ホテルへ到着。ホテルから更に10分ほど階段を下りると念願の日本海(栂海新道起点)に出る。ホテルに戻って風呂に入り親不知駅まで送ってもらう。糸魚川駅に出てビール飲んで寿司でも食ってから帰るつもりだったが、すでに台風の影響は大きく大糸線は止まっているし、糸魚川駅周辺の風も強く歩くのに支障が出るほどだ。新幹線もいつ止まるかという状況だったので、寿司はあきらめビール&つまみのみとして足早に帰京した。

ようやく辿り着いた「日本海」!
〈コースタイム〉
【9月15日】 栂池自然園(9:00) → 三国境 → 雪倉岳避難小屋(15:40)
【9月16日】 小屋(5:00) → 雪倉岳 → 朝日岳 → 栂海山荘(17:00)
【9月17日】 小屋(4:00) → 白鳥小屋 → 日本海(14:00)

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