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雪山登山・上州武尊山(エンドレス・ラッセル)
野畑 祐子

山行日 2018年1月27日~28日
メンバー (L)渡辺(守)、荻原、渡辺(靖)、坂田、紺野、小芝、大田、飯塚、津田、野畑

 都心でも記録的な降雪となった週だった。前夜集合場所である東所沢でさえ、雪がまだ路肩に残っている。― こんな中でも登るのだろうか ― 上州へ向かうにつれ雪が深くなり、初めてのラッセルとなるであろう今回の山行に緊張と不安が高まる。
 降り続く雪の中、湯檜曽駅へ到着すると、駅の入口は雪の吹き溜まり。構内に入りテントを設営してほっとする。しばし歓談しアルコールの力を借りて寝ようとするも、入口からビュービューと鳴る隙間風の音と貨物電車の通過音で、うとうとしては起きを繰り返した。
 そのまま6時に起き、コンビニで朝ご飯を食べてから宝台樹スキー場へ。
 風雪の影響でリフトの運転停止が懸念されていたが、宝台樹尾根に続く第9クワッドリフトも無事動いている。大きなザックを持ちスキーを履いていない状態でのリフトは、何だか不思議な感覚だ。
リフト頂上からラッセル開始  10時半にリフト頂上駅へ到着。ここからスキーヤーを横目に、新雪の道なき道を進んでいく。
 10名でのラッセルリレー。初ラッセルに緊張しながら、ついに自分の番が来た。先輩たちのやり方を見て、見よう見まねで雪をかき分けて進む。
 新雪を踏んだ瞬間 ― 気持ちいい!― 丁度よく湿り気を含んだ雪は、足を載せるとググッと食い込み、わかんの型通りに固まる。しかし膝丈以上の雪に、すぐにわかんを持ち上げる腿が重くなってきて、早々に次の人へバトンタッチとなってしまった。
10名でのラッセルリレー  やはり先輩方はすごい。勢いよく、まさにラッセル車のように急斜面も切り崩していく。そして体重の軽い女性陣は...ひらひらと雪の上を舞う妖精のようで、ほとんど窪みができない。深い雪を踏み固めるには2番手まで力を使うことから、ザックを先頭2名まで下ろして「ラッセル2名体制」で進む。
 しかしさすがに、ずっとラッセルなのは厳しい。時間が迫ってきている。尾根沿いを進み夏道登山道に合流後、名倉のオキを経て、16時に1,692m独標下のコルに幕営することになった。その夜は疲れもあってすぐに寝てしまった。
 翌朝は6時に山頂へ向け出発。― 今日もエンドレス・ラッセルの始まりだ ― 天気は回復し、うす曇りの空から時折太陽が見える。リーダーから「登れるだけ登って9時半になったら下山」という指示が飛んだ。武尊山と剣ヶ峰が目前に見え、登頂したいという気持ちは高まるものの、前日の疲れもあり足が言うことをきかない。
雪で覆われた上州武尊山をバックに  9時に1,800m付近までたどり着いた。頂上手前の急登の取付き。これを越えたら山頂だ。― 時間的にはいけるかもしれない ― とも考えたが、ここで下山することになった。まだ登り足りない猛者たちは、名残惜しそうに急登の先を眺めている。
 下山の途中から雲が取れ、谷川連峰が姿を現した。白く輝く朝日岳に、もっと体力と技術を身に付けて、いつか冬の馬蹄形縦走、いや、もっともっとその先にも行きたい、と思った。

谷川連峰を望む
〈コースタイム〉
【1月27日】 宝台樹スキー場第9クワッドリフト山頂駅(10:30) → 1,692m独標下のコル(16:00)(幕)
【1月28日】 独標下コル(6:00) → 1,800m地点(9:00) → 宝台樹スキー場下(13:30)

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