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縦走・南ア黒法師三山
津田 友紀子

山行日 2017年11月3日~5日
メンバー (L)津田、青木、古屋、荻原、永岡

 黒法師三山の縦走は岳人の100ルートに掲載されていて、以前から行きたいと思っていたルートだ。昨年は天候がよくなく中止となってしまったが、今年は例会で出すことにした。

【11月3日 晴れ】
 当日朝11時半にJR飯田線水窪駅に集合。3名は東京駅8時半発の新幹線で入り、他2名は前夜に金谷まで車で入って水窪駅まで電車に乗ってきた。予約していたジャンボタクシーに乗って登山口のある野鳥の森まで40分ほど。途中で地元の方も汲みに来るという美味しい水場で車を止めてもらって行動水と今晩の水を得た。
 縦走の入り口である麻布山登山口から歩き始める。気持ちのよい陽だまりの中、おしゃべりをしながらゆっくり登っていく。優しく色づいた木々の間からは青空が覗いている。1時間強歩いたところで立派な東屋があり、ここで休憩。その後は少し行くと南側の斜面がガレた急登だ。程なくして麻布神社奥宮跡地に着いた。当時の遺構や使われていた日用品などが苔むした倒木に見え隠れしていた。麻布山はこの後すぐだが展望はない。地元の山岳会の味のある看板が掲げてあった。ここにも東屋がある。ジャンボテントはその隣の少し明るいところに張った。水場はないが、ふかふかのコケが快適で天国のようだ。まだ日も射していたのでコケの上に座って乾杯が始まった。麻布山は通過点のつもりだったが思いのほか道も景色も気持ちよく、この近くに住んでいたら気軽に来たいところだ。地元の山岳会にも大切にされているのだろう。

紅葉のベストタイミング麻布山山頂にて

【11月4日 薄曇り】
ブナの尾根  もう十分に明るい6時半に出発。よく踏み固められたブナ林の中を歩いていく。戸中山の先で北側の山々が見渡せた。そのあとに黒法師三山の最初の山、前黒法師山に到着。ここも展望はないが明るい。下って30分ほどすると、どこでもテントが張れてしまいそうな広い尾根に出た。ブナの黄色い葉に日が当たって気持ちがいい。
バラ谷の頭~黒バラ平  尾根の北側の踏み跡を辿り、打越峠(1,539mのコル)から登りになる。1,682mのピークを過ぎると足元はいよいよ笹になる。登り切ると2,000m最南端、いろいろなところで見聞きしてもはや憧れの域に達していたバラ谷の頭だ。360度の展望だが風が吹き抜けて寒い。そろそろ一本と思っていたが寒いので急斜面の笹原を下ったところで取ることにする。
黒法師岳山頂にて  この景色を心待ちにしていたので、山々が見渡せる高曇りのお天気に感謝。ルンルンで下った。コルから南東側に50m下った水場で水を補給する。
 この後は黒バラ平と呼ばれる広い笹原の尾根と眺望を満喫しながら歩く。どこでも張れそうだが鹿のヌタ場らしきものもある。黒法師三山の二つ目、黒法師岳へは足元が刈払いされた急斜面をひと登り。ちょうどガスが入ってきてしまったが、こぢんまりとした山頂には他にもパーティーがいて、ひと汗掻いて清々しい表情をしていた(我々も)。ここでお昼の大休憩。
ヘリポートからの景色  この後はまた笹尾根を下っていく。踏み跡はあるが少し薄い。足元が笹で見えないので倒木に足が突っかからないように歩く。ただ尾根ははっきりしているのでどこでも歩いて行ける。1,812mのピークを越えるとやせ尾根になり風が強い。二ツ山で進路を東に変えるとなだらかになり林道に繋がるヘリポートへ到着した。風を避けるために林道を西に少し行ったところにテントを張った。水場はさらに西側へ進み南へ下る。急斜面でガレているので注意が必要だ。テントに戻ってすぐに宴会。だいぶ盛り上がってきたところでMTC組の到着。黒法師周回の健脚コースだが全員の元気な声を聞き、プチ集中ができて嬉しかった。

【11月5日 晴れ】
前黒法師岳にてプチ集中!  6時出発。林道をしばらく歩き、1,706mのピークを越えたコルから尾根に乗る。まばらな樹林と倒木のなだらかな尾根で、朝一番の体には歩きやすい。ピークを越えると木々の密度も濃くなり斜面も急になっていく。また傾斜は緩くなって最後の黒法師三山、前黒法師岳に到着した。
 この後はもう登りはなく、歩きやすく暖かい樹林を下っていく。栗ノ木段を過ぎて30分ほど行くと尾根から林道に下りる。林道にあるトタン小屋を越えてさらに40分ほど山道を下ると下山口だ。寸又峡温泉まではさらに45分、観光客に交じって林道を歩く。時間があれば「夢の吊り橋」も興味があったがなんと1時間待ち。寸又峡温泉も人だらけで驚いた。さすがに紅葉のベストシーズンは3年前のお正月とは大違いだが寸又峡温泉が潤っていてなんだかうれしい。無事温泉で汗を流して、屋外の即席屋台でのおつまみ片手に乾杯。
 寸又峡温泉からはバスで千頭駅へ。そこから大井川鐡道のSL急行に乗った。70年以上前に作られたSLは内装もレトロで雰囲気抜群。途中で汽笛も鳴り、車窓からは町の方々が手を振ってくれて観光気分。男性陣はほぼ寝落ちしていたが...。
 SLでは新金谷駅までなので、ひと駅金谷駅まで乗り、行きは車組のデポした車に全員乗って一路帰京した。
 最後に、初の例会リーダー山行で計画段階では手落ちがないように緊張していたが、参加いただいた全員がベテランでいろいろとお気遣いいただき、またおかげで気も楽になりとても楽しい山行でした。ご参加いただいた皆様に感謝です。

大井川鐡道のSLに乗りました
〈コースタイム〉
【11月3日】 麻布山登山口(12:50) → 東屋(14:05~14:30) → 麻布山(15:20)
【11月4日】 麻布山(6:30) → 前黒法師山(7:15~7:30) → 打越峠(8:10) → バラ谷の頭(9:30) → 水場(9:50~10:20) → 黒法師岳(11:20~11:45) → 二ツ山(13:35) → ヘリポート(14:10)
【11月5日】 ヘリポート(5:55) → 前黒法師岳(7:25~7:45) → 白ガレの頭(8:25) → 栗ノ木段(9:15~9:25) → 飛龍橋(11:00)

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