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縦走・南面白山~樋ノ沢避難小屋~神室山
鈴木 章子

山行日 2017年10月7日~9日
メンバー (L)鈴木(章)

 例会にしても参加者はゼロ、声掛けをしない私も悪いけれどいつものことと気にせず出発。7月に蔵王に行っているので、山形への道のりは明るい。また、面白山高原駅の名前に惹かれたのもあり下車できたことは満足。無人駅だったが白い六角形の待合室が印象的だった。

【10月7日】
 初日は朝から雨。明日からは晴れる予報。雨の中ツェルト泊は辛い、面白山と大東岳は、以前、高木さんの山菜山行に同行させて頂き登頂済みもあり、今回はこの山域ただ一つの避難小屋を目指すルートに変更することにした。
 身支度を整え駅から歩き出した。通過点のスキー場には、オレンジ色のマリーゴールドがびっしり植えられていて雨の中でも目を楽しませてくれた。
 南面白山までは斜度も緩く草刈りもされてハイキング気分で登頂。が、そこから先の刈入れはされていなかった。雨に濡れた笹藪の中を一気に急下降して1,216Pに乗り上げたが、その後は晴れていればゆったり気分で歩けそうな道になった。幸い雨も小降りになり展望も開け、1,000m以上は紅葉も始まり、気分も少しは明るくなりだした。
 何かの機会がなければ絶対登らないと思いたどり着いた小東岳山頂は、刈入れはしてあるが山名板は朽ち三角点がぽつんと立っているのみ。やはり、特別人気のある山ではなさそう。
クリタケ  小東峠から樋ノ沢出合のルートは、上部1/3は沢の中を歩く。藪がかかり岩は滑りそうで道も定かではなく不安を感じる道だった。沢から離れれば、徐々に広い道になっていった。また、その辺りから食べられそうなキノコも目にするようになってくる。
 出合近くから小屋は確認できたが、遠目ではホテルかと見間違うような立派な小屋だった。樋ノ沢出合から素晴らしい滑床沢を渡渉する前に、今夜の夕食用に両手一杯のクリタケを採集、滑らないようにゆっくりと渡り小屋に着いた。
 小屋は、トイレはないが2階建ての床板も立派で、外見に負けない内装だった。先着人はなく、今夜は私1人で利用できそう。小屋の外はブナ林の広い焚火・キャンプサイト、近くの枝沢から美味しい水も採れる。まるでおとぎ話の世界のようだった。どこからか7人の小人が仕事から帰ってくるのかなー?そんな気持ちにさせる景色だ。
 また、樋ノ沢はどこまで滑床が続くかわからないほど長い、来年は登ってみようかなとの思いが走った。小屋で荷物を広げ、夕食にしたが疲れていたのかすぐ横になった。

【10月8日】
 翌朝、12時間近く寝てしまったようで、急いで食事を済ませ5時半に出発。  暖かい朝だった。日差しも期待できそう。石橋~北石橋までのルートはしっかりしていたが歩く人は少なそう。北石橋で一休み。脇を流れる滑沢に掛かる自然石の石橋に圧巻。そこから一気に20mのナメ滝が落ちていた。
自然石の石橋  ナメ滝からルートがよく分からず握る物もなく滑りそうな沢(落ちれば滝ノ下)の脇を恐々歩いた。巨岩帯を巻き20mほど進んだ脇から岸に上がり一休み。今後のことを考えていると対岸の指導標が目に入り、渡渉して現在位置を確認。そこから、尾根を2つ乗越した後、小さな沢で今夜と明日の行動水を確保。これでルート探しは終わりかと思ったが、まだしばらくは藪っぽい急斜面のトラーバースの連続で、気が抜けなかった。
 やっとの思いで尾根に出たとき、高齢者の男性が1人立っていた。これから石橋を見に行くとのこと。岩が濡れて大変だったこともあるが、今回初めての人との出会い。ルートが間違っていなかったことに安堵感が湧いてきた。
 主尾根と合流後は手入れされた登山道利用で糸岳に立った。今日の行程の半分が過ぎた。
 糸岳は小さな山頂だが展望が広がり山形?方面が見降ろせた。
 暫く休んで、いよいよ神室方面に向かう。二口峠までは急下降、飽き飽きしたころに林道に出た。林道は工事中でショベルカーなどがあったが人はいない。その脇を林道沿いに清水峠の分岐まで歩いた。ゲート手前に清水峠への分岐標識が倒れていた。見落とす所だった。
 登山道入口から神室分岐までの道は素晴らしかった。天気は回復し紅葉の中、展望も素晴らしく、徐々に近くなる2つの神室岳に思いをはせながら歩いた。途中の清水峠は広くて幕場にしたかったが明日の予定が分からないので進むことにした。峠では今日2人目の高齢者男性一人に追い抜かれた。一言も話さなかった。
 神室分岐あたりから全く幕場適地がなく、明日登る仙台神室岳方面に向かったが、急下降と水っぽい道で幕を張れる場所もなく、やむなく狭い『仙人大滝分岐』に幕を張った。
 明日も快晴の空を見ながら、本日の収穫の茸『ブナハリ』をスープに入れ食べた。今夜も18時半には横になった。

【10月9日】
紅葉の神室岳  最終日、4時半起床、食事を済ませ5時半に仙台神室岳へ向かう。登山道は急登の一直線、山頂を目指す。昨日の縦走からの展望では山は三角形に見えていたが、山頂近くなると奥行きの深い山に変貌。山頂には立派な山名板があり、展望用に仙台・山形方面の草刈りがされ、紅葉も含め満足の一言に尽きた。
 テント撤収後、神室分岐に戻り山形神室山頂に立つ。本日の一番乗り。10分も過ぎると黒柴犬を連れた男性一人、その後は、怒涛のように人が登ってくる。混雑する前にと下山を始めたが、大きな荷物を背負った単独オバサンに声掛けをしない人は誰もなく、会話の弾むこともシバシバ。皆、下山後の私の足取りを心配して下さった。
 笹谷峠に到着後、奥の細道にもある『有耶無耶の関所跡』を見学。
 少し賢くなった気分で再度、笹谷峠から完熟のヤマグミを頬張りながら、旧街道を関沢バス停目指して下った。関沢バス停近くで下山時にすれ違った人の車に拾っていただき、蔵王温泉に入浴、そのまま、仙台駅まで送っていただいた。
 色々な面で今回も恵まれた山行だった。

〈コースタイム〉
【10月7日】 面白山高原駅(8:05) → 南面白山(10:40~10:55) → 分岐(小東岳ピストン)(12:40~12:55) → 小東峠(13:00) → 樋ノ沢出合(14:00) → 樋ノ沢避難小屋(泊)(14:10)
【10月8日】 樋ノ沢避難小屋(7:15) → 石橋入口(7:35) → 北石橋(8:40~9:10) → 主尾根合流(11:00) → 糸岳(11:35) → 二口峠(12:10) → 清水峠(13:20~13:40) → 神室分岐(15:15) → 仙人大滝分岐(幕場)(15:50)
【10月9日】 仙台神室岳(ピストン) → 幕場(7:30) → 神室分岐(8:00) → 山形神室(8:10~8:20) → トンガリ山(8:45) → ハマグリ山(9:10~9:30) → 笹平峠(10:25) → 関沢=仙台駅

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