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縦走・錫ヶ岳南尾根~白根隠山~弓張峠
鈴木 章子

山行日 2017年11月3日~5日
メンバー (L)鈴木(章)、大田

 3年ほど前の3月、サエラスキー場(現在閉鎖)~笠ヶ岳~錫ヶ岳を歩いたが、悪雪に苦しみ山頂に立った喜びも展望を楽しんだ記憶も全くない。今回はリベンジ気分も兼ね香沢林道から笠ヶ岳経由で錫ヶ岳山頂を目指す予定だったが、スタートから大ミス。

【11月3日】快晴 暖
 鎌田で調子の良いおじさんを予約したタクシーに同乗させたのが大失敗。仏心を出すものではないと実感。タクシー運転手も林道の把握がなかったとしか思えない。ま、確認しない我々が一番の問題だとは思うけど・・・。
林道入口のゲート  我々の入った林道入口は、立ち入り禁止の文字とびっしりの鉄条網で覆われ防犯カメラも作動。しかし、この道しかないと思い込んだ2人はあの手この手でそこを突破。その後は、穏やかな林道を暖かい秋の日差しの中、紅葉を楽しみながら平和に林道を歩いた。歩き出して1時間半頃、林道の分岐がないことに気づく。GPSを合わせる。ガーン!全く違う道を歩いているのではないか。引き返すか相談するが、お互いあのゲートだけは通りたくないと一致した。大休止と相談の結果、錫ヶ岳南尾根は顕著で登れるのではと意見が一致。地図によると、この先林道に1か所だけある橋のたもとが取り付けそうなのでそこまで行くことにした。再出発をしたが、その後の我々の気分は、素晴らしい紅葉にも大きなカモシカに出会えたことにも心が動かなかった。
 予定の橋には15時に到着、橋の下の沢は細いながらも水を得ることができた。取付きの偵察を少しして本日の行動を終えた。日陰には薄ら雪があった。
 食事は全て各自のため、お互いのんびりと食事を進め静かな夜を楽しみ、早々に横になった。果たして明日はどうなるやら。

【11月4日】曇りのち強風と小雪
錫ヶ岳山頂  本日は晴れの天気予報だったが朝からすっきりとしない。帰りたい気分も湧く。大田さんに励まされ、明るくなるのを待って尾根に取り付く。2時間登って悪路だったら帰る予定の出発だったがヤブもなくわずかだが踏み跡も目に付く。2,160Pに辿り着いたとき、行けると確信。そのまま前進を続けた。2,000mを過ぎるころから山は雪景色に変わり空は益々曇ってくる。コンパスで錫ヶ岳直登のルートを目指したが、笠ヶ岳への稜線に登ってしまった。展望も悪くガスも出てきて修正するまでに少し時間はかかったが、どうにか寒々とした錫ヶ岳山頂に立った。この山頂、大田さんは初めてというが、私は何度立ったかな?風が冷たくゆっくりする気分ではなかったので写真を撮るとすぐ下山開始。ここから先は一般道、目印と踏み跡を辿りまずは錫の水場へ、細いながらも絶えることのない水に感謝しながらお互いの水筒を満杯にして、少しでも白桧岳へ近づくために再出発。錫ヶ岳から先は計画通りの道を行く。
 水で重くなったザックは歩く気分を一気になくした。更に強風の中、雪が舞うようになる。40分ほど歩いてまだ早いが幕にすることにした。風を避けるところはいくらでもあったが幕場適地は少なく程々で諦めた。大田さんは夏のシュラフ、今夜は大丈夫だろうか。上越から来るだろう風の音は寒さを倍増した。

【11月5日】ブリザードのち快晴
 昨夜からの風・雪は止むことなく続いていた。天気予報は3日間晴れると言っていたのにと文句を言いながらの出発。白桧岳近くになると笹原になり強風を直接受ける。視界もほとんどなくわずかな踏み跡とテープを頼りに風に振り回されながら進む。白桧岳山頂は何度も立っているがこれまでと景色が一変。山頂確認ができないまま白根隠山の裸尾根に取り付く。普段は印象の少ない山だが悪天候になると日光白根山同様の雄姿に見える。何度も道を間違えたかと自分を疑う。山頂も近くなると、強風雪の中で立って歩くことができず地面を抱くように歩く。やっとの思いで山頂直下の風の弱そうな笹原で現在位置を確認。少し登り返し山頂の山名板も確認。現状から早く抜け出したかったのでコンパスを南東尾根に合わせ一気に100m程下ったところで休憩。そこは天国のようだった。風もなく青空さえ見える。朝から戦ってきた3時間は一体何だったのか、お互いの指先は軽い凍傷を受けているのに。

白根隠山山頂ブリザード

 たっぷり休憩を取ったのち弓張峠にコンパスを合わせ一気に広い尾根を下った。最初は広い尾根だったが段々と細く枝分かれになる。何度も南方向に修正するが東の方に流れてしまう。痩せた崖のような尾根に出てからは大胆に尾根を3本ほど横切り、やっと予定の場所に出ることができた。平坦な尾根に出てからは、コンパスのみを頼りに弓張峠目指し進むとハイキングルートと合流。ヤレヤレ気分で進むと弓張峠から舗装道に合流。車道を赤沼バス停まで1時間歩いた。無理に赤沼まで歩かなくても弓張峠から20分ほどの小田代バス停まで歩き無公害バスで赤沼に出たほうが楽だったと後で気が付いたのは残念だった。
 赤沼バス停に着くと5分ほどでバスが来た。紅葉のいろは坂での渋滞を心配したが大した渋滞もなく日光駅に着いた。暖かな陽だまりハイクを期待して行ったが雪山トレーニングになってしまった。この時期の2,000m以上の山は要注意かも知れない。

晩秋の奥日光
〈コースタイム〉
【11月3日】 沼田駅=(バス)鎌田=(タクシー)白根温泉露天風呂前 → 白根温泉露天風呂前バス停前林道(10:50) → 林道が違うのに気づく(12:15) → 錫ヶ岳南尾根取付き(幕)(橋のたもと)(15:00)
【11月4日】 幕場(6:00) → 2,065P(8:39) → 2,160P(9:20) → 錫ヶ岳山頂(12:00~12:30) → 錫の水場(13:15~13:30) → 幕(14:20)
【11月5日】 幕場(6:10) → 白桧岳山頂(8:00) → 白根隠山(9:10) → 白根隠山南東尾根 → 尾根修正(12:10) → 弓張峠(13:45) → 赤沼バス停(14:35)=東武日光駅

〈交通費〉
沼田駅~鎌田バス代 ¥1,560
鎌田~白根温泉露天風呂前(タクシー) ¥2,500
赤沼~日光駅バス代 ¥1,500

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