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沢登り・四十八瀬川勘七ノ沢
早川 錠

山行日 2018年5月6日
メンバー (L)佐藤、渡辺(智)、吉岡(誠)、竹中、野畑、坂田、早川

 動機は初の沢登りと、我らの会長のあきらさんと初山行に行きたくて参加させていただいた。連休中に遊び足りなかったという気持ちはあまりなく、残雪期の長期縦走で放心状態というか、ただ勘七ノ沢をGWの締めとしたかったので参加できてよかった。
 渋沢駅よりタクシーで、登山口へ。ヤマビルにご注意くださいの看板。ヒルの活動時期は5~10月で雨上がりや雨降りの蒸し暑い日(気温が25℃前後で湿度70%程度)は活動が活発らしい。対策はズボンの裾を靴下の中に入れることや虫よけスプレーの塗布、もし吸われたら虫よけスプレーや塩をかけるといいらしく、あと踏みつけても効果がないらしい。本日は出ませんように。
 沢の手前で装備を装着。ヘルメット、ハーネス、ガチャ類は他の山行でも使用したことがあるが、沢靴、ウエットソックス、スパッツは初使用。手袋は指先を切らずに試してみる。ビニール袋で包む程度だが、濡れたら壊れてしまうものはジップロックでパッキング、ザック内の防水対策も忘れずに怠らない。同期の中でも、野畑さんと坂田さんは幾度も沢に行って慣れているためか、落ち着き払っているように見えた。吉岡さんはヘルメットに動画撮影用のカメラを装着していたので、移り行く景色を撮影するのもいいと思った。
 水に足を入れると沢靴にじんわりと水がしみ込んでくるが、水が抜けやすい構造になっているので、残雪期の登山靴のように水が中に溜まることなく、とても気持ちいい。あえて沢に入って歩くが、浮石とフェルト靴の足裏の感覚を掴めてないので何度も転倒しそうになる。「東京起点沢登りルート120」の本に書かれていた場所が登場し出す。
 本日初めてロープを出す。我らの会長兼リーダーあきらさんは、智世さんのビレイでF1の左壁へ取り付き、岩の層が斜めになっていて滑りそうなところをスタンスを決めて確実に登っていった。沢の流れの音で上と下の声があまり届かなかったが、見ることができたのでジェスチャーでの合図を行っていたことに初めて気づいた。沢登りのロープのシステムは、リードがトップロープとは別に細いロープを腰につけて引っ張っていき、登り切ったらトップロープの下流側と細いロープの上流側を結んで、セカンドの人は細いロープを引っ張ってトップロープを手繰り寄せるという方法で、勉強になった。続いて、智世さん、坂田さんは女忍者くノ一のように華麗に登っていった。バタコさんも登り始めに苦戦するも、斎藤塾の猛特訓の成果で確実に登り切った。続いて私の番、少し緊張した。フェルトの沢靴で、足裏の感覚に慣れていないために滑りそうになるが、コケごと岩を掴みながら、三点支持を心がけてなんとか登った。高さ3m程度のところに残置スリング、次のスリングは登り切った先の高さ7m程度のところにあった。沢の上部にいたあきらさんは"ムンター(半マスト)"にてビレイを行っていた。後続のトレランの竹中さん、登山再開の吉岡さんも確実に登った。再度、上流へ進行開始。あえて再び沢に入るが、太腿までの入水限界。寒いのでやっぱり上半身までつかるのは無理。

F1にて、あきらさんのリードクライミング  F2は左岸のリッジ状の岩を登る。ここでやっと、沢登りの本で"右岸を登る"の表記となっている場合、上流から下流へ向けた視点のことで、今回は下流から登っているので"左側"に現れるのだと気づく。あきらさんは残置スリングがないのを確認して、高さ4mぐらいのところでスリングを岩にかけて確保支点を構築して登った。ここは沢というより岩登り。全員が登り切った後、広場があったので小休止。あきらさんより智世さんへ心優しきお気遣いで、サプライズでバースデープレゼントを渡していた。
 F3は釜を持つ、くの字形の斜瀑。一部は頭の高さくらいのところにロープが張ってあるが、左岸の壁を這うように水平移動する。沢靴でなかったら滑り落ちて浸水しているだろうか。その後、高さ5m程度の登りはあきらさんにロープを出してもらって登った。
F3にて、左岸の水平移動  F4は2mの前衛の滝を有する10mの滝で、左岸のチムニー状を登る。2mの前衛の滝の下からロープを出す。私は本日初のビレイで、あきらさんがリード。残置スリングも2ヶ所ほどあった。滝の近くを通るので、上半身が少し濡れて冷たかった。本に夏ならシャワークライムも良いと書かれていた。上流側でビレイを経験する。登っている人が見えなくなるので、ルートを頭に入れて、ロープの感覚でビレイすることを学んだ。

F4にて、オブザベーションF4にて、リードで登るあきらさん

 F4を登り終えたころ、14時近くになっていたため、一般登山道へ復帰。踏破することが目的ではなく、人数が多い中でも沢を知ることをとても楽しめたので良かった。二俣にて、沢装備の解除。集合写真を撮影。大倉へ下る途中、智世さんは黄色い花を珍しがっていた。多くの世代が知識を共有できるように、花トークの山行もあったらいいなと思う。大倉からバスで渋沢駅北口へ行き、小宴会して帰京した。
 みんなが待ち望んでいた、沢の季節が始まる。

二俣で集合写真大倉へ向かう途中ののどかな風景

〈コースタイム〉
小田急線渋沢駅(9:00) → 表丹沢県民の森(9:20) → 勘七ノ沢(9:45) → F1(10:15) → F2(11:10) → F3(12:15) → F4(12:45) → 尾根(14:05) → 二俣(14:30) → 大倉(16:05)

〈参考〉
・タクシー代 (渋沢駅~表丹沢県民の森)2,440円
・バス代 (大倉~渋沢駅北口)210円


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