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雪上訓練・谷川岳
坂田 裕里

山行日 2018年4月7日~8日
メンバー (L)齊藤(慈)、千葉(快)、内田、青木、軽部、眞鶴、野畑、早川、坂田

 昨年12月の富士山での雪上訓練に続き、2回目の雪上訓練への参加。そしてなんと初の谷川岳。今までなぜ登らなかったのか不思議だが、三峰に入会したのが冬だったので、初めて登る山が雪山というのがほとんどな今日この頃。冬は怖いから登らないと言っていた2、3年前が懐かしい。
 今回は直前での不参加者が相次ぎ、最初からバタバタの集合となったが、無事すべての車が4月6日の25時ごろ谷川岳ロープウェイ駐車場に到着。軽~く前夜祭をやり、就寝。
 翌日5時半に起床、7時のロープウェイで天神平へ。なだらかな斜面を登り8時半にはテント場に到着。登山道のすぐ脇に幕営。自分でスコップを担いで登ったのも初めてで、何に使うのかイマイチ分かっていなかったが、そうか、テントを張るにはスコップが必要なのか。今回は率先してトイレを作ってみた。上出来。
テント設営  テントを張ったら早速、訓練場所へ移動。さっきまで穏やかな天気だったのに、風も強まり、怪しげな天気。ともかく訓練。
 まず初めに歩行訓練から。次いでシリセード、滑落停止。大胆に転がる野畑さん、眞鶴くんは怖くないのかな。わたしはビビりながらの滑落停止。でも実際にはザックも背負っていて、なかなか止まるものではない。一番大切なのは転ばないように歩くことだ。休憩を挟み、次に行ったのはプロービング。

プロービング  ビーコンの使用方法も学んだ。雪の中にビーコンを埋め、ビーコン、プローブを使用して発見する、という作業をチームに分かれて行った。発見したビーコンの電源はすぐに切るのが大切ではないか、複数人埋まっているときは1人ずつ探すべきだ、などが話に出た。

ビーコンを探せ!  続いてコンプレッションチェック。雪の層をチェックして、歩いても平気な場所か、この斜面はどこで崩れそうかを確認する。思ったよりもハッキリと分かり、作った円柱型の雪のかたまりは両腕で引っ張っただけですぐに崩れた。
 次の埋没体験で千葉さんが埋まって掘り起こされた直後に、我々のテントがひっくり返っているのを青木さんが発見。内田さんと千葉さんがテントの救出に向かった。残りのメンバーは埋没体験で1人ずつ雪の中に埋まり、プローブが人間に当たった時の感触を体験した。プローブでつついた結果、千葉さんが一番柔らかく、青木さんが一番硬いという結論が出た。プロービングの訓練でビーコンに当たった感覚とは全く違い、人間の感触が分かり、良い経験になった。一向に戻って来ない内田さんと千葉さんの応援に軽部さんと早川さんが向かい、残りのメンバーは強風の中、ツェルトに包まり待機。実際にビバークするとこんな感じですかね、と話しながら、改めてツェルトの暖かさ、必要性を感じた。寒さに耐えていると早川さんと軽部さんが戻ってきて、強風でテントも心配なので、最後の訓練であるスタンディングアックスビレイはテント場の近くで行うことになった。テント場に戻ったところで日帰り組の軽部さんと早川さんは下山。残ったメンバーでスタンディングアックスビレイの練習を行った。初めてやったわたしとしては、これを厳しい雪山で冷静にやるのかと思うと少しゾッとした。ロープはすぐに絡まるし、寒さで手はかじかむし、実際にスムーズにやれるようになるには相当に練習をしなければならないと思った。
 予定時刻の17時を迎え、訓練は終了。強風、寒さの中よく予定通り頑張ったとみんなで称え合い、宴会スタート。
 ひっくり返ったジャンボテントの救出は2人では飛ばないように支えるので精一杯で、4人はいないと無理だという話が出た。野畑さん、齊藤さんの用意してくれた美味しい鍋を食べ、20時ごろ就寝。翌朝は5時半に起床。前日の強風対策でかなり深くペグ打ちをしていて、掘り起こすのに相当の時間を要したが、何とかテントを撤収し、7時50分に山頂に向け出発。出発直後に体調不良になってしまった野畑さん、付添いの内田さんは天神平から下山。残りの5人で山頂を目指した。重い荷物を背負い慣れないわたしはノロノロと歩き、完全に足手まといだが10時ごろなんとか登頂。オキトマの耳を両方登り、曇っていた空も晴れ間が見えて気持ちいい!

山頂  肩ノ小屋の裏側で休憩を取り、西黒尾根から下山。想像していた下山と全然違う!雪が少なく、岩が出ていて、アイゼンでは歩きにくく、再びノロノロと下山。わたしのペースが遅すぎて、痺れを切らした眞鶴くんはパーティを離れ、1人で下山。
下山は岩がむき出し  その後は齊藤さん、千葉さん、青木さんに支えられながら4人で下山したが、途中わたしのアイゼンが岩に挟まり抜けなくなった。何をしても抜けず、どうなってしまうのかと思っていたが、靴まで脱いでグリグリやっていたらなんとか抜けた。もうこのままアイゼンを残置するのかと思うと恐怖だったので本当に良かった。再び歩き始め、最後あと20分くらいかな、というところで内田さんと野畑さんにフキノトウのお土産を摘んだ。ところが再び歩き進めていくうちに登山道を見失い、下を覗けば降りたい林道はあるが、急斜面で道がない、という事態に。リーダーの齊藤さんの判断で、肩絡み懸垂下降で下山することに。
 わたし「懸垂下降やったことないんですけど...」齊藤さん「昨日スタンディングアックスビレイで肩絡みやったでしょ。あれだから。これも訓練だから。」わたし「はい!!!」みんながスムーズに降りていく中、一人だけ3回も滑り、泥だらけになりながらなんとか下山。大丈夫?って聞かれて、ダメです!!って答えたのは生まれて初めてだった。もう笑うしかない。命からがら(一人だけ)下山し、先に下山していたメンバーと合流。お風呂に入り、ご飯を食べて、帰路へ。
 なんだか、盛りだくさんで、リーダーの齊藤さんも今まで行った谷川岳で一番大変だったと言っていたが、色々あって面白かった!今回はボロボロになってもいいようにハードシェルではなく、レインウエアを持って行った。なぜか穴が3つも開いたのは、恥ずかしいからみんなには内緒にしておこう。

〈コースタイム〉
【4月7日】 ロープウェイ駅(7:00) → 天神平(7:30) → 避難小屋・テント場(8:30)
【4月8日】 避難小屋・テント場(7:50) → トマの耳(9:55) → 肩ノ小屋(10:25~10:40) → ロープウェイ駅(14:30)

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