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沢登り・正沢川幸ノ川
内田 優生

山行日 2018年7月16日
メンバー (L)内田、金子、永岡、野畑、千葉(快)

入渓点で金子さん脱落  前夜小黒川本谷を遡行し下山後、ぐるっと中央アルプスを東から西に回り込み、幸ノ川の入渓点である木曾駒高原スキー場跡から茶臼山へと上がる登山道の橋のたもとに幕を張る。 車を脇に止めて、橋のど真ん中にちゃぶ台を設置して大宴会に突入。明日も沢があるというのに、1泊2日の沢を終え、どこか打ち上げ気分?で異様に盛り上がってしまった者が数名...。翌朝福島Bコースを辿り300mほど高度を上げ1,606m近辺の渡渉ポイントから入渓。沢装備を装着していると、ここで金子さんがまさかのリタイア宣言。前日の2,600mからの下りが効いたのか、連日の猛暑か、はたまた昨晩の酒か...おそらく全てだろう。これ以上脱落者が出ないことを願いつつ7時30分出発。
ここから滝の連続  入渓してすぐに堰堤が現れる。これを右岸から巻きほどなくしてゴーロ帯を抜けると7m大岩の滝を皮切りに滝・滝・滝のオンパレード。
初つっぱりを披露する野畑さん  これほどまでに滝のみで構成された沢は経験したことがない。そしてほぼ全ての滝が直登出来るので楽しいことこの上ない。7mトイ状の滝は激しい水流に若干腰が引けたが、遡行図が示す通りつっぱりで突破。
二俣直後の8mの滝  今日も記録的な猛暑なので水と戯れるのが本当に気持ちよい。なんせ普段は経験しない空身なので、足取り軽く滝もグイグイと直登出来る。わずか入渓から1時間半弱で二俣に到着してしまった。二日酔いの割にはいいペースだ。二俣直後の8mの滝は若干厳しそうだったので、右岸から高巻く。この沢の難点を言うと、素晴らしい沢だが直登コース以外は割とガレていて、浮石・落石も多い。そして入渓ほどなくして緩いゴルジュ地形になり、それがずっと最後まで続くので増水時は注意が必要だ。当初ロープを出さずに右岸を高巻いていたが、草付きで若干厭らしい箇所もあり、後続もちょっと苦労しているようだったので、足場の良いところまで上がり上からロープを垂らした。
12mの滝はホールドばっちり  その後12mの少し高度感のある滝が出てくる。ここは水流の左壁を素直に直登する。壁は立ってはいるもののホールドも多く快適に登れる。ついてきているかな?と思って振り返ると後続の2名は右岸を数メートル上がりトラバースしようとしている。みるからにトラバースのラインには浮石が多いので、一度下がってもらい再度直登ラインで上がってもらうよう指示を出し、上からロープを垂らす。良くも悪くもここは直登を強いられる沢だ。
快適に登れる連瀑帯  その後は息つく暇もない滝の連続で、水流沿いをザブザブと直登していく。巻きに向いていないので夏用の沢かもしれない。
遡行終了点はわかりにくい登山道  あと数十メートルで登山道にぶつかるかなと思い、こまめに合わせた高度計をチラチラ見ながら上がっていく。遡行図には水が枯れて登山道に出るとあり、まだまだ枯れる雰囲気でもないのでまだ上だろうと考えていたら、キジで水流脇にそれていた快晴が脇にピンクテープを発見。作業道かな~?と話していたが、ふとどこかの記録で登山道は注意しないと通り過ぎるかもと書いてあったのを思い出し、改めてスマホGPSで確認してみるとまさにそこが登山道だった。
夏季用と冬季用のトイレのある7合避難小屋  滝の多い沢だと思っていたが、まさか滝の途中に登山道があるなんて!沢も枯れていないので、この時期は水量が多いのかもしれない。 そそくさと身支度を整えて、七合避難小屋へ向かう。下で待っている金子さんに一報を入れると、どうやら下界は暑すぎて寝られなかったらしい...お気の毒に...。七合避難小屋は噂通りとても綺麗な小屋だった。 中にはストーブもあり寝る場所は2階建てになっていた。外には何故か夏季用と冬季用と書かれたトイレがあり、KGが扉を開けるとただ単に洋式と和式の違いだった。
 その後は2時間半で福島Bコースを下り駐車場に戻った。今後は是非三峰メンバーにも遡行してほしい日帰りの1本であること間違いなしの沢だった。

〈コースタイム〉
木曾駒高原スキー場跡出発(6:30) → 入渓(1,606m)(7:10~7:30) → 二俣(8:50) → 登山道(11:20) → 七合避難小屋(11:45~12:05) → 木曾駒高原スキー場跡(14:30)


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