トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ358号目次

沢講習その1・大丹波川真名井沢
内田 優生

山行日 2018年6月17日
メンバー (L)内田、渡辺(智)、渡辺(守)、千葉(快)、早川

 前夜の宴会の余韻が残ったまま、朝の6時半に氷川キャンプ場の受付に集合し、ここで各パーティに分かれ解散。真名井沢組の唯一の沢初心者であった平田さんは仕事の呼び出しがかかり急遽いけなくなり、実質初心者ゼロのパーティとなった。気を取り直して青梅街道を東へ進み川井駅付近から真名井林道に入る。途中道が舗装されていない悪路となり10分程進んだところでかがりや橋に到着。ここが入渓ポイントだ。遡行準備を整え7時45分に入渓。

かがりや橋手前に駐車スペースあり

 沢は細く鬱蒼としていて、蜘蛛の巣がそこかしこに張られている。先頭を歩いていると顔や腕が蜘蛛の糸だらけとなった。ワサビ田を過ぎたあたりから石を積み上げて鉄柵で補強したような簡易な堰堤が連続して現れる。これをガシガシと乗り越える。

堰堤をガシガシ登る

 徐々に人工物も減ってきてようやく沢らしくなってきた。滝は全て直登できるものか、明瞭な踏み跡があり初心者にも安心だ。630mの二俣のすぐ奥に魚留の滝がかかっている。ここは念の為ロープを出して右壁を登る。今回ロープが必要になったのはここだけだった。

魚留の滝

 その後は快適に登れる小滝の連続となり、水流に沿って取りつき爽快に滝を越えていく。
 820mの二俣を過ぎてからは、登りやすそうな斜面を物色しながら遡行を続け、880mあたりの右岸斜面に踏み跡があったので、急登ではあるが無理やりこれを登っていく。ほどなくして尾根地形になりあとは素直に上へと詰める。雨がシトシト降る中、紫陽花がポツポツと咲いていた。我々を警戒したホトトギスの鳴き声が静かな森に響いていた。
新緑とマイナスイオン全開  11時15分赤杭尾根に乗る。誰もいないと思いきや、川苔方面からトレランのお兄さんが颯爽と通り過ぎていった。一般的な下山路は赤杭尾根で古里駅もしくは川苔経由の鳩ノ巣だが、行程が若干長いので今回は赤杭尾根から真名井林道に入りかがりや橋に戻るコースを選択する。道すがらずっと花の香りがするので、花名人の智世さんに聞いてみるとウツギだという。「♪卯の花の匂う垣根に~♪という歌に出てくる花よ」と教えてもらう。へー。メロディーは聞いた事あるけど、どんな歌詞だったかしら?と思い家に帰り検索すると「夏は来ぬ」というそれは美しい歌だった。なんと1番目の歌詞に出てくる「時鳥(ホトトギス)早も来鳴きて忍音もらす夏は来ぬ」もまさに沢の詰めでヒイコラ言ってる時に体験したことじゃないかと思い地味~に感動してしまった。その後も斜面を一面に覆うヤマアジサイの群生やキイチゴ、大きなマタタビの木の白と緑の葉のコントラストを眺めながら歩く。普段どうにも花や木に疎い連中とばかり歩いているので(私もだが)、道すがら植物を教えてもらえるのはとても新鮮で楽しい。退屈な下山路が一変する。うーん、壁に張り付いてばかりいないで、木や花や山菜、キノコをもっともっと覚えて山を今よりもっと楽しみたい!そういう人になろう!と決意を新たにした(ちょっと大袈裟だけど・・) 13時過ぎには駐車場に戻ってきたので、全体の行動時間は5時間程度だった。沢自体は足慣らしにちょうどいいくらいの、さほど印象に残らないものだが、改めて山をゆっくり歩くこと、木々や花々に囲まれることの幸せを実感できる山行となった。

〈コースタイム〉
かがりや橋(7:45) → 魚留の滝(9:20) → 赤杭尾根(11:15) → かがりや橋(13:00)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ358号目次