トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ358号目次

沢登り・入川真ノ沢
荻原 健一

山行日 2018年6月9日~10日
メンバー (L)荻原、千葉(快)、千葉(朋)、眞鶴、野畑

 荒川は秩父湖前後で三つの川が合流している。将監峠からの大洞川、雁坂峠近くの水晶山を水源とする滝川、そして荒川本流となる入川だ。
 その入川の本流が真ノ沢であり詰め切ったところが荒川の最初の一滴となる水源となっている。大洞川や滝川は本流・支流併せて何本も遡行しているが入川だけは一度も入ったことがなく、いつの日かとは思いつつ時だけが過ぎて行った。そんな時に例会として出す直接のきっかけとなったのは、最近のマイブームである岳人100ルートに掲載されたことだ。メンバーも新人を中心に5名が揃い準備万端。天気予報は芳しくないが、奥秩父の沢は雨でも十分楽しめる。今回も楽しい沢遊びが期待できそうだ。

【6月9日 曇り時々晴れ】
 前夜「道の駅みとみ」で仮眠するが、滝川本流の古屋パーティーと偶然一緒になる。お互いエールを交換して出発。入川渓流観光釣場の駐車場に車を止めて歩き出す。1時間ほど森林軌道跡を辿ると赤沢谷出合。ここから入川本流を遡行することも可能だが、ここから入渓して真ノ沢から甲武信ヶ岳に抜けると通常2泊3日必要なので今回は登山道を使って柳小屋まで向かう。柳小屋までは意外に長く2時間30分くらいを要した。柳小屋は大変綺麗な小屋で釣り師の定宿となっているようだが、いつの日か泊まってみたいところだった。
奥秩父最大の千丈ノ滝  ここからいよいよ入渓となる。すぐに股ノ沢との二俣となり左の真ノ沢を進む。この先の"通らず"は規模が小さく迫力にかけるが、定石通り左岩から簡単に高巻く。この先はこれと言った大きな滝もなく若干単調な沢歩きが長く続く。やがて武信白岩沢に出合うと真ノ沢は大きく左に方向を変えすぐに奥秩父最大規模の千丈ノ滝がその姿を現す。落差、水量、形状ともに何とも言えない見ごたえのある美しい滝である。
 この滝はとても直登出来ないので右岸から高巻く。通常は武信白岩沢の出合に戻りよく踏まれた踏み跡から真ノ沢林道に合流、これを使って滝上に出るのだがトポには右岸の土壁から真ノ沢林道に合流する方法もあると記載されていたので後者の方法でトライしてみる。結果はこの土壁はかなり悪く5名が登るのに1時間以上要してしまったので素直に出合からの踏み跡を使った方が良さそうだ。しばらく行くと木賊沢出合のはずだがなかなか着かない。時間的にも体力的にもそろそろ良い頃合いなので木賊沢の左岸を今夜の寝床とする。倒木が多く夜は盛大な焚き火で盛り上がった。

【6月10日 曇りのち雨】
 GPSで念のため現在地を確認すると、どうやら木賊沢出合を過ぎているようだ。数百メートル戻るとGPS上は二俣となっているが、実際はなっていない。伏流になってしまったのかとも思ったが、そもそも地形が二俣ではない。ここの地形は広く開けているので台風などの増水時に若干変わってしまったのかもしれない。強引に真ノ沢のある方向に進むとすぐに真ノ沢が出てきた。二俣はもっと下のほうにあるようだが、ウロウロしてだいぶ時間を食ってしまったので二俣捜索は打ち切りとして遡行を再開する。
 この先から水源までが真ノ沢の神髄だ。穏やかなナメ滝は分厚い苔に覆われ、濃緑の沢が続く。枝沢を左に分けると右岸に台地が現れるがここが昨夜のビバーク予定地であった。すぐに不動の滝で左側をシュリンゲを出して通過する。倒木が目立つようになりいい加減うんざりする頃「荒川水源の碑」が現れ遡行終了となる。甲武信小屋まではここから登山道を30分ほどだ。小屋からはいつもの戸渡尾根経由西沢渓谷へ。タクシーで車を回収し秩父の大滝温泉で本山行を終了する。

荒川水源の碑
〈コースタイム〉
【6月9日】 駐車場(7:00) → 柳小屋(11:00) → 千丈ノ滝(14:30) → 木賊沢左岸の幕場(16:30)
【6月10日】 幕場(5:20) → 甲武信小屋(11:00) → 西沢渓谷(14:40)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ358号目次