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沢登り・滝川水晶谷
早川 錠

山行日 2018年6月9日~10日
メンバー (L)古屋、大田、津田、早川

 動機は、沢登りを泊まりで行きたかったことと、レジェンド世代のオオマサさんがいたことから参加させていただいた。
 6/8夜に東京を出発、道の駅みとみでテント泊をした際、入川真ノ沢に山行予定だった荻原班のパーティーと会う。

【6月9日】
取付のポイント  早朝、出会いの丘まで車で移動し、そこから徒歩で道路を下ってトンネルをいくつか通過して、カーブミラーがあるところに入漁者のみなさまへといった看板がある。ここから踏み跡らしき道を下っていくと登山道っぽいところと合流するが、沢へ降りやすそうなところがなく、そのまま懸垂下降して入渓した。
 沢登りは人生で2回目なので、慣れない動きで沢装備に切り替える。腰よりも上半身も浸かることがわかっていたので、パッキングも再確認。
 遡行開始。沢の経験は日帰りで、丹沢の勘七の沢のみだが比較すると、水晶谷の方が沢の幅が広くて、巨木の倒木があり、また水量も多くてスケールが全く違った。急な登りはなく、歩きやすくて登っている感覚がないような遡行が続いた。釣り師も多く、最終的には約8人とすれ違った。魚目の古屋さんは、これだけ人がいたら魚が逃げてしまうと嘆いていた。
 10時50分、巻くことができずに早速、泳いだ。季節的にはまだ少し寒かった。12時半の通過ポイントでも薪跡と平地があり、幕場適所があった。半壊している釣橋小屋を過ぎてしばらく先に行くとゴルジュ帯となり、古礼沢と水晶谷の出合まで、幕場はなくなる。
 最初に15時、斜めの滝6mがあり、ロープを出して、左岸より上がる。

斜めの滝ブドウ沢の合流直下の下段の滝(左岸にお地蔵様有)

 16時、ブドウ沢の合流直下の下段の滝。水晶谷は以前、三重遭難が起きた場所らしく、遭難者を助けようとしたヘリが墜落し、また記者が事故現場へ取材に行こうとしたところ遭難して、この沢で計8名も死亡したようだ。不吉なことが頭によぎりつつも、古屋さんはリードを行うために、ロープを出す。左岸の上に、お地蔵様があることを見つけた津田さんは、密かに手を合わせていた。登り切る手前の上部に残置のロープがあった。
 上段の滝は、右岸にロープが張ってある。沢本通り、スタンスを決めて進む。腕の力がなくなったときのために、セルフを取れるように各自が準備していた。この既設のロープが無かったら厳しいところだった。1日目にロープを出したのはリードで2ヶ所、懸垂下降で2ヶ所だった。

ブドウ沢の合流直下の上段の滝(1)ブドウ沢の合流直下の上段の滝(2)

 ゴルジュ帯を進んでいると、17時半頃、幅2m程度の小滝があり、右岸にぬめっている斜面があったがホールドもなく、自分には滝の中央を突っ張りでしか登れなかった。登りきると、滝下まで届くロープが滝上の右岸で丸まっていたが、今シーズンはだれも登っていないのだろうか。
 暗いゴルジュ帯を18時過ぎに抜けると、古礼沢と水晶谷の出合で、幕場は右岸にあり、タープの設営と薪集めを分かれて行う。タープの設営について、片側は木にロープを縛り、もう片側は太い木の枝一本を立ててインクノットで結び、タープの重みで反対側に張力がかかるため、同じロープに2個の石を使って上手く支線を張っていた。夕食は炒め物。

【6月10日】
 朝食はとんこつラーメン。
 遡行開始は7時。昨日の幕場より少し進んだところでも2箇所ほどテント設営可能な場所があった。
 面蔵滝15mは圧巻の高さで、幅3m程度で両手足を伸ばしきるぐらいの突っ張りでしか登れないのと確保支点が作れなさそうなので、右岸から巻いた。

面蔵滝15m勇猛果敢に飛び込んで進む津田さん

水晶山山頂  雁坂トンネル排気口の前もテント設営可能。
 10時頃、小滝があり、勇猛果敢な津田さんは左岸から水中に飛び込み、落ちれば怖いものなし、手の届くところの巨木をつかんで登っていた。わたしも真似をするように右岸に行ったが、濡れないように登った。同じ滝で、古屋さんとオオマサさんは、右岸で巻いていたが、懸垂下降が必要だった。
 3段25mの滝ではロープを出し、古屋さんがリードで左岸を登った。セカンドで直登を試みたオオマサさんは、ぬめっている滝に苦労していた。2日目でロープを出したのはリードで1ヶ所、懸垂下降で2ヶ所だった。
 稜線に入ると一般登山道、荷物をデポして、水晶山へ行って集合写真の撮影を行い、稜線を歩いて、無人の雁坂小屋で小休止。かっぱが必要か微妙な小雨の中、長い登山道を歩いて、出会いの丘についた。
 下山後、湯元はやぶさ温泉にて入浴と夕食。東京への帰路へ着いた。
 最後に、岩つばめをまとめる際に、幕場や支流となるところは標高と写真をおさえておくべきだったと反省した。

〈コースタイム〉
【6月9日】 出会いの丘駐車場(6:20) → 取付ポイント(6:40) → 滝川本流入渓(7:40) → 釣橋小屋(13:05) → 古礼沢出合(幕)(18:30)
【6月10日】 古礼沢出合(7:00) → 面蔵の滝(8:35) → 雁坂トンネル排気口(8:50) → 稜線(一般登山道合流)(14:10) → 水晶山(14:40) → 雁坂峠(15:15) → 豆焼橋(17:50) → 出会いの丘駐車場(18:05)

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