トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ359号目次

雪山登山・黒戸尾根~甲斐駒ヶ岳
早川 錠

山行日 2019年1月26日~27日
メンバー (L)ラジオ(千葉(快))、ハレツタ(山蔦)、チバラッチ(千葉(朋))、早川

 赤レンガ作りの駅舎・東京駅から近くの駅ビルのオアゾ近くのセブンイレブン集合。ハレツタさんとチバラッチはすでに車で待っていた。ラジオさんは早々に自宅で飲酒していたため、少し遅れて最後に到着する。
 今回の山行は冬の八ヶ岳の天狗尾根を目標に訓練として計画されたもので、メンバーの雪山の体力向上を目的に、プレ山行2回の内の1回目になる。選定されたコースは南アルプスの黒戸尾根で尾白(標高770m)から甲斐駒ヶ岳(標高2,967m)のピストン。夏の標準往復タイムで約14時間、条件次第では冬の日帰りも可能だが、メンバーは、山蔦監督の指導の下でテント泊装備にすることにより重い荷物を背負って長く歩く力を身につける。事前の天気情報では2日目の天候が悪いことが予想され、2日目が風速20m/sの強風、最低気温が今季で最も低い-19℃となっていた。車内でラジオさんは厳冬期の黒戸尾根で2回敗退していて、今回失敗したらもうしばらく行かないと放送していたが、高速道路に入ると突然電波が入らなくなり、静かになった。
 前夜の幕場は道の駅小淵沢のトイレ横の身障者用の駐車スペースで、屋根があり、万が一雨の場合もしのぐことができる場所だった。小淵沢駅のホームで仮眠可能と聞いていたが、照明が煌々と点灯していたために道の駅となった。
 朝食はコンビニで済まし、尾白駐車場に着いた時には既に車は10台以上停まっていた。竹宇駒ヶ岳神社で安全祈願。今日も電波が良好なラジオ放送を聞きながら、ただひたすら一般登山道を歩く。チバラッチさんは寒くて鼻水が出ると言い、クマザサで鼻水を拭い、鼻がヒリヒリ・・・と楽しんでいた。過去の山行によると、刃渡りの箇所に転落防止柵の鎖があり、冬季にはその鎖も埋まるぐらいの雪が積もるとの情報があったが、実際には足元の岩肌も普通に見えていて普通に通過した。難所という難所はないが、七丈小屋の手前に垂直のはしごが各所あり、一歩足を滑らしたら終わりで、二度と事故を起こさないように、いつも通りに三点支持とアイゼンワークを気にしながら歩いた。16時前には幕場に到着し、宴会。防寒対策として、全員がハレツタさん特製のプラティパス湯たんぽを抱えながら就寝した。
 朝になり、テントに吹き付ける風はあまりないが、遠くで風が強く吹いている音がよく聞こえた。プラティパス湯たんぽは有効で朝起きたときはそれほど寒くなかった。6時で他のパーティーが続々と出発していること、また風こそ強いが早く出て、行けるとこまで行くとみんなで決めていたことで、予定出発時刻7時よりも準備を早く行っていた。調子が上がらないのか、リーダーのラジオさんの準備と出発が一番遅く、追いかける形となる。テント前のストックには赤い袋がぶら下がっており、チバラッチさん曰く、次に幕を張る人の迷惑にならないように大キジを袋に入れて下界に持ち帰るつもりらしい。ストックの持ち主であるハレツタさんは衝撃を受けていた。こんな朝の珍事な出来事を終えて、最小限の荷物で山頂を目指す。空は晴れているのに稜線上のほとんどの場所で北からの風が強くて寒く、予報通り風速20m/sはありそうな体感だった。雪質としては問題なく、稜線上の各所でアイゼンは有効に使うことができて良かったが、個人的な気持ちとしてアイゼンはあまり効かない状況も少し体験したいと思ってしまった。10時前に山頂に到着、記念撮影。事前の情報で佐藤会長の話では、下山時に視界不良で方向を間違えて谷底の方に行って遭難してしまうと聞いていたが、八ヶ岳も富士山も見渡せるぐらいの快晴だった。昨年に内田さんや古屋さんに鍛えられたおかげで、頂上まで行く途中、ロープが必要と感じるところは全くなかった。

甲斐駒ヶ岳山頂山頂方面の景色

 わたくしとラジオさんは先にテントに戻って、テントの撤収を行い、合流後は七丈小屋の前でみんながハレツタさんのおごりでココアをいただいた。ありがたき幸せ。行きと同じ道だが、佐藤会長よりここから五合目までの下りも危険個所と聞いていたので、慎重に下る。ラジオさんからは、山頂に行けたからもう二度と甲斐駒ヶ岳には来ないと聞こえ、電波はとても良好だった。休憩中に振り返ると、千葉"夫妻"は仲良く団欒をしながら小休止をしていて、いい雰囲気だった。今回の山行がきっかけになることを願うばかり。

千葉"夫妻"ザックにかかる赤い袋

 日暮れまで時間がないので、ひたすら歩く。チバラッチさんはハレツタさんのストックに引っかけていた赤い袋をザックにつけて、おしゃれに揺らしながら歩いていた。17時すぎ、無事に全員が登山口に到着したが、あと15分ぐらい遅かったらヘッドライトが必要だった。
 道の駅で入浴を済まし、夕食を食べた。帰りの車内で次回のプレ山行2回目は八ヶ岳の真教寺尾根もしくは北アルプスの霞沢岳の西尾根を予定するという話がまとまり、解散した。

〈コースタイム〉
【1月26日】 尾白駐車場(7:35) → 竹宇駒ヶ岳神社(7:45) → 笹ノ平分岐(10:15) → 刃渡り(12:35) → 七丈小屋幕場(15:45)
【1月27日】 七丈小屋幕場(6:45) → 甲斐駒ヶ岳(9:50) → 七丈小屋幕場(11:10) → 刃渡り(12:35) → 笹ノ平分岐(16:00) → 尾白駐車場(17:15)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ359号目次