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アイスクライミング・八ヶ岳広河原沢
大西 直美

山行日 2018年1月19日~20日
メンバー (L)齊藤(慈)、古屋、大西

【1月19日】
 八ヶ岳広河原沢クリスマスルンゼへ。  天気は穏やかで快晴。舟山十字路7:30スタート。まずは二俣のテン場着8:50。私たちともう1パーティーのみであった。余計な荷物をテントに残すも、やはりダブルロープやガチャ類が重い。アイゼンをつけずしばらく歩く。ナメ滝からは全面氷結しているためアイゼンで登っていく。
全面氷結しているナメ滝  右俣出合からは小さな滝がクリスマスルンゼ登り前の練習のように出現。1年ぶりのアイスなので、5メートルもあるかないかの小さい滝とはいえビレイがないまま登ることに緊張する。
 テン場から約2時間かけてクリスマスルンゼ11:20到着。我々パーティーの他に5パーティー程いたが、2段目にほとんどいるため、私たちは明日にそなえ1段目にてトップロープで登りの練習。1段目の一番左側に齊藤さんが支点を作ってくれる。短いコースだが最後がちょっとしたバーチカル。苦戦した。完全に腕がパンプ。足で登らなければならないのにダメダメであった。古屋さんは、アイスは何回目かと言っていたがそのうちスイスイ登っていく。さすがである。その後、真ん中あたりに場所を変えてひたすら練習。私はまったくまともに登れず、今までアイスクライミングの経験が何回かあってもまったく活かされておらず情けない。たまに2段目から大きな氷の塊が落ちてくるので恐ろしい。

クリスマスルンゼ

 15時半くらいまで登り下りをしていた。16時過ぎからテン場に向かって下山する。
 17時テン場到着。まさにおでんパーティ。持ち寄ったおでん種の量が半端なく、お鍋からこぼれ落ちそうなくらい膨れ上がり、お腹もおおいに膨れ上がり就寝となる。

お鍋からこぼれ落ちそうなおでん!

【1月20日】
 左俣へ。広河原沢3ルンゼ。
 朝起きると雪がチラついている。お隣のテントの男女2人組のパーティーは、昨日と同じく右俣出合よりクリスマスルンゼへ出発した。私たちは左俣。雪は降り始め、段々多くなりあっという間に積もっていく。
 小滝をいくつか越えて、1,2,3ルンゼエリアに着く。 3ルンゼの出合あたりから齊藤さんと古屋さんが先に歩いてラッセルをしながらトレースを付けてくれるのだが、何度もはまり動けなくなり、同じところで恐らく10分くらいアリ地獄のようにもがくことたびたび。
 やっとのことで150m位上がるとルンゼが切れていて稜線が出て来る。痩せ尾根で偶にナイフリッヂも出て来る。2,516m地点らしいがどうやら3ルンゼではないらしい。12:30齊藤さんと古屋さんが待つところまでやっと着いたが、こ、怖い!!!ここから阿弥陀山頂はどう考えても自分の力量では無理。下りたいと申し出る。天候もかなり悪い。
 1本休憩を挟み、ここから懸垂で下山をする。ロープセットはすべてお2人がしてくださり、まったく余裕のない私はただひたすら懸垂で下りる。小さな表層雪崩のようなものがあった。
 懸垂を2回繰り返し、出合いに到着。少しほっとする。しかしここからが長い。慎重に沢を下る。ほぼ私のためにお2人が順番にロープを出して先頭が工作し、最後にロープを回収。その間に2人目が先頭に立ち次の支点に工作をするというパターンで時短をしつつテン場まで何とか戻ってこられた。
 撤収しザックを背負うがあまりの重さにそのままひっくりかえり、どうやっても起き上がれず、引き起こしてもらいやっと起きることができ、さらに下山へ。
 舟山十字路17時着。帰りの温泉でさっぱりし、帰路に着く。自宅着は23時半であった。
 今回の山行の最後に青空が垣間見られ、夕日が樹林を金色に染めた。齊藤さんが、「素晴らしいね。勲章だよ。厳しい所を乗り越えてきてこそ見られるご褒美だね」と言った。その言葉で今までの苦しさもふっとんだ山行であった。

〈コースタイム〉
【1月19日】 舟山十字路(7:30) → 二俣テン場(8:50) → クリスマスルンゼ(11:20-16:00) → 二俣テン場(17:00)
【1月20日】 二俣テン場(6:30) → 2,516m地点(12:30) → 二俣テン場 → 舟山十字路(17:00)

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