トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ359号目次

縦走・南アルプスフロントトレイル(Part2)【七面山~八紘嶺】
峯川 正行

山行日 2019年1月12日~14日
メンバー (L)峯川、飯塚、和田、清水、野畑、鈴木(辰)、深谷

 11月末の南アルプスフロントトレイルの例会で終盤戦に差し掛かったぐらいで南アルプスFTの第2弾を続けて計画することを思い立ちました。この例会に参加していた飯塚さんも、この七面山~八紘嶺のルートは2度計画して諸事情で山行を実施できずにいて、今度こそ!という思いがあったことは知っておりました。七面山~八紘嶺のルートも南アルプスFTのルートであるので、飯塚さんにお声がけして、この企画を計画した次第です。
羽衣登山口から清い心で敬慎院を目指します!  七面山の敬慎院は数年前の3月に行っており、ルートの状況はよくわかっていましたが、八紘嶺側へのルートは全く状況知らず。昨年12月に同じルートを歩いた箭内さんからは、昨年の台風の影響で倒木がすさまじいと連絡がありました。私が大好きな梅ヶ島温泉がゴール地点でもあり、なんとしても歩き通したい思いがありました。
 今年は異常なほどに関東地方の降雪が少ないです。南岸低気圧がなかなかやってこないのです。本来では雪山登山でワカンを駆使して八紘嶺に向かう予定でしたが、ほぼ稜線には雪はない状況。ただ、山行初日の夕方から未明にかけて降雪予報が出ており、この予報を期待して週末を迎えることに・・・。
 甲府駅身延線のホームに8時半に集合し、身延線のワイドビューふじかわに乗車します。混雑を予想して指定券をゲットしましたが、実際はガラ空き状態でした。しばらくのんびりとした車窓を眺めながら、うとうとしていると昨年何度も立ち寄った下部温泉駅に到着です。昨夜から夜行バスで移動していた辰之輔くんとここで合流し、ジャンボタクシーに乗車して羽衣登山口まで移動です。羽衣登山口には数台の車があるぐらいで、そんなに混雑していないようです。年末年始が大混雑するようですが、年始明けのこの三連休は静かになるようです。装備の割り振りなどをして、いよいよ登山口である1丁目から50丁目の敬慎院を目指します!
お札の数に圧倒されます!  雪は全くありません。階段状の単調な登りを1時間ほど黙々と登っていくと最初の休憩所の肝心坊があります。休憩所には色とりどりのお札がかかっていて、外国の人が見たら美術館の展示物に見えるかもしれません。他に登山者もほぼいなくて、とても静かに休憩ができて快適でした。
 ここからまた頑張って登ります。階段状のルートで単調で眠くなってきますが、たまに景色が抜けるところがあり、昨年11月末の南アルプスFT第1弾の際に登った富士見山や下った尾根がしっかり見えます。南アルプスFTという壮大なルートを歩くことは楽しいことだなあと感じました。中適坊を過ぎて、更に黙々と登っていくと晴雲坊に到着です。ここでは水も頂けます。ここで最後の長い休憩をとって、敬慎院目指して最後の一登りです。
台風の影響で樹木は折れ、電柱も折れ曲がってます  途中には昨年9月の台風被害なのか電柱が真ん中で綺麗に折れていたり、41丁目あたりではルートが崩壊して迂回ルートが出来ていたりと、このあたりも相当の被害があったようです。
 そこから15分くらい登ると立派な山門が現れました。このあたりも全く雪がなくて本当にびっくりです。立派な山門から最後の階段を登っていくと富士山展望台に到着です。
山門をくぐりいよいよ敬慎院へ  ここで富士山が拝めるはずでしたが、全く見えません。グレーの空になってきて雪雲がやってきているようです。富士山が見えなくても雪がこれから降るのかも!という期待が高まってきました。15時過ぎに無事に敬慎院に到着できました。境内には50丁目と書かれた立派な石碑がありました。
 本日の参籠者はそれほど多くなかったです。暖かい部屋で寛いで暖かいお風呂にも入れて快適です。そして廊下の窓に目を向けると、なんと大粒の雪が降っているではないですか!みんな大喜びです!予想より早く16時前から降り出して、これで未明まで降雪が続けば、明日は楽しい雪山トレッキングになる!と気持ちが高ぶった状態で、17時から夕餉となります。精進料理で物足りないのでは?と思っていましたが、ちょうどお腹にぴったりな量なのです。いかに普段はいろんなものを食べ過ぎているのかと実感いたしました。
質素な精進料理ですが、お腹にはちょうどいい  夕餉後は恒例のお勤めですが、日蓮宗のお経はとてもリズミカルなのにはびっくりしました。さてロール布団で早めに就寝をしなくてはと思いながら廊下から窓の外を見てみると、なんと雪がやんでいるではないですか!うっすら積もった程度でした。ん~ちゅうとなんとも半端です。もっとしっかりお勤めをしていれば、降雪が続いたかもしれません。

 翌朝は朝のお勤めのあとに朝食をいただき、7時前に敬慎院を出発いたしました。
 富士山展望台からは素晴らしい雲海と昨日拝むことが出来なかった富士山が、ご来光により紅富士となっており朝から感動です。

ちょっと積雪で雪景色がなんとか堪能できそう富士山展望台からの素晴らしい絶景

 まずは七面山を目指し、大崩れ(ナナイダガレ)を覗いてみましたがすごいガレの谷間です。
 八紘嶺付近の大谷崩も有名ですが、この地域はこのような地形が多いみたいです。七面山には1時間ほどで到着しました。山頂では七面山の7つの丸文様(これで七面ということなのか?)に合わせた七面山ポーズをみんなでしました!

大崩れ(ナナイダガレ)をちょっと覗いてみます七面山の丸文様と同じ三峰七人衆ポーズ!

台風の影響でかなりの倒木です  雪は申し訳ない程度で、全くないよりましなぐらいな感じでした。土色のルートではないので、ちょっとでも降ってよかったなあと思うようにしました。私にとってはこれからのルートが未知のルートとなります。しっかりした踏み跡を追っていくと30分くらいで希望峰に到着です。そんなに広い山頂ではないですが、南アルプス側の展望は素晴らしいです。ここまではルートは明瞭でしたが、いよいよこれから倒木エリアに近づいてくるのではと心構えをしながら進みます。昨年12月に箭内さんが歩かれ、倒木がすさまじかったと報告を受けていたので、ある程度は覚悟しておりました。昨年の9月の台風はこの地域に甚大な被害を出したようです。雪もすっかり寂しい感じになり茶色部分が目立ってきます。アップダウンを繰り返して、徐々に数本の倒木が出てきますが、今のところ問題はないです。核心部は三角点のある1,964mピークから下るエリアで、顕著な尾根エリアではない末広がりの斜面が大倒木エリアだと予想をしていたので、地図とコンパスを準備しました。倒木が出てくると台地状だったり、二重山稜だったりとわかりづらい地形なので神経は使いました。倒木は基本的には倒れた木の先端部ではなく根元を狙って歩くほうが歩きやすいのですが、その際にルートロスする可能性が高いので、進路を定めて補正して行きます。1,964m三角点はしっかりとあり、文字は消えていますが、何か道標のようなものもありました。ここからまた下っていきますが、この辺が核心部のような感じで鞍部付近まで下りきると倒木地帯は終了となりました。この大倒木地帯は風と地形の関係でこのようになってしまったと思いますが、今まで見たことのない倒木ではありました。この部分の手入れはおそらく相当時間がかかるかと思います。
今日の夕食は修行明けなので牛肉たっぷりボルシチ  朝は下山時間を考慮して7時出発です。薄く雪が積もり、朝日を浴びながらなんともすがすがしい気持ちで1,976mPを越えて下っていくとあっさりと四ノ池に到着です。かつて七面山の奥社として社殿があったような形跡がありました。どんな社殿があったのかなんとも気になります。その横にはオレンジ色のテントが一張設営されており、誰もいなかったので、七面山方面に早朝出発されたかもです。ここもちょっとした平らなところがあるので、大型テントでなければいい幕場かと思います。四ノ池からは、じわじわ登っていく感じで、たまにいい幕場もあることを確認しながら歩くと、8時半過ぎにあっさりと八紘嶺に到着です。もし、降雪が多くラッセルだったらもっと時間がかかっていたはずですが、雪がないといとも簡単です。八紘嶺ではあまり展望がなかった記憶だったのですが、枝越しに富士山も見えました!みんなで八紘嶺の八マークで記念撮影です。七面山では七つの丸、そして八紘嶺では八ということで、数字が並んで面白いものです。
 後は梅ヶ島温泉に向けて一気に下るだけですが、期せずして安倍川を見下ろしながら素晴らしい霧氷を見ることができて、なんか得した気分です。

八紘嶺で八マーク昨晩出来た霧氷が綺麗でした

 安倍峠への分岐ポイントで最後の休憩をして梅ヶ島温泉上の林道横の登山口に11時前に降り立ちました。陽気もうららかで1月の陽気ではないです。あとは私のお気に入りの梅ヶ島温泉に入り、大好きな湯本屋さんで静岡おでんを食べるだけです。女性陣はお風呂が大きい梅薫楼に寄っていただき、私と辰之輔くんは湯本屋さんの虹ノ湯に入りました。ここは温泉の泉質は最高なのですが、浴場がちょっと狭くて蛇口のお湯がずっと冷たいというウィークポイントがありますが、温泉が素晴らしいので通い続けております。辰之輔くんは下部温泉近くでテント仮眠した際に、仮眠テントセットと温泉セットを湯本屋さんに送付するという、今まで思いもつかない手段で温泉セットをゲットしておりました。そんな方法もあるのですね。参考になります。静岡駅行バスの発車時刻は13時22分で時間がたっぷりあるので、静岡おでんとビール、日本酒で完登お祝いです!

各自静岡おでんを真剣にチョイスです皆さんお疲れ様!計画完遂!楽しい山行でした!

 帰りは車じゃないのでなんとも嬉しいですね~。こちらのおでんは最高です!陽気もうららかで、山行も無事に完遂できたこともあり、かなり酔ってしまいました~。
 静岡駅でもお酒を買い込んであとは新幹線で車中の人となりました!また今年の秋には南アルプスフロントトレイル第3弾、第4弾を計画したいと思います。今年中にはゴール地点の貫ヶ岳まで歩き通したいと思います!後半戦はかなりマニアックなルートになると思います!

〈コースタイム〉
【1月12日】 下部温泉駅(9:30) → 羽衣登山口(10:15~10:30) → 神力坊(10:35) → 肝心坊(11:20~11:35) → 中適坊(12:05~12:20) → 晴雲坊(13:30~13:40) → 迂回ルート(14:00) → 山門(14:20~14:30) → 敬慎院(15:05)
【1月13日】 敬慎院(7:55) → 大崩れ【ナナイタガレ】(8:20) → 七面山(9:00~9:15) → 希望峰(9:45~10:00) → 1,964m三角点(11:35~11:45) → 1,864mP北側鞍部(12:30~12:45) → 1,796mP北側鞍部(13:15) → 1,796mP北側鞍部西側【幕営】(13:25)
【1月14日】 幕営地(7:00) → 四ノ池(7:25~7:30) → 八紘嶺(8:35~8:50) → 富士見台(9:45) → 安倍峠分岐(9:55~10:05) → 八紘嶺登山口(10:25) → 林道登山口(11:00~11:10) → 梅ヶ島温泉(11:15)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ359号目次