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雪山登山・荒島岳
飯塚 陽子

山行日 2019年2月9日~10日
メンバー (L)飯塚、峯川、津田、野畑、清水

 何年か前に、冬の永平寺をTVで見て、いつか行ってみたいという願いから始まったこの計画。せっかく北陸は福井県まで行くのだったら冬の荒島岳(百名山)にも登ってしまおうと、北陸満喫プランを例会で企てた次第。結果、メンバーとお天気に恵まれ、素晴らしい山旅ができたのであった。

【2月9日(土)】
 前夜、東京駅22:20発バスに乗車し、福井駅前に6:25到着。夜行バスは、「中日本エクスプレス」を利用したが、座席のクッション性がいいのと、ひざ掛け&枕付で寝心地がよく、メンバー全員が今までで一番睡眠できたバスだったと、なかなかの高評価であった。
 初めて降り立った福井駅東口は、駅前広場にあるバス停や道路も広くて、スッキリした印象。駅近くにある、早朝6:30から営業している「ユトリ珈琲店」でモーニングセットを食べ、コンビニで行動食の買い出しをし、予約をしておいたトヨタレンタカーに乗車し、いざ出発となった。
 福井市内は全く雪がなく、越前大野を過ぎた辺りから、畑にちらほらと雪が残っていたが、例年より積雪量はかなり少ないようだ。
 荒島岳登山口の勝原スキー場(跡)駐車場には、福井駅から1時間程で到着した。車は既に4~5台停まっていた。天気は高曇りだが夕方までもちそうなのと、今晩から明日の午前中までに雪が降る予報なので、できれば、今日中に荒川岳も登ってしまいたい!

駐車場から元気に出発横たわるととろの木

 そんな訳で早急に身支度をして、勝原スキー場跡地から登り始める。登り始めコンクリート道は雪が氷状になっていて、50m程登ると固い雪の積雪となり、トレースはあるが早々にアイゼンを装着することにした。リフト終点跡からは更に急登となるが、積雪は少なくラッセルもないので、足取りも順調に進んで行く。途中から立派なブナ林となり、その中にシンボルツリー「ととろの木」があるはずだったのだが、昨年の台風21号の被害により根こそぎ倒れてしまったとのこと。横たわる老木のブナの木は痛々しかった。
荒島岳山頂!!  ととろの木を過ぎてから、一段と急な斜面を登り詰めてようやくシャクナゲ平に到着。名前の通り、なるほど広くて平らな場所でテントはどこでも張れそうだ。到着時間PM12:20、テントを張ってすぐに出発すれば山頂に行けるだろうと判断し、急ぎテントを張り準備をして出発。
 下山してくるグループとすれ違ったが、皆さん山頂を踏んできたとのことで、山頂付近も雪が固くまた風が強いので気を付けてとの忠告もいただき、我々も気を引き締めていく。
 もちが壁はその名の通り、直登ルートは雪壁状になっていたので、我々は右尾根トラバースルートを登ることにした。
 だんだんと尾根が細くなっていき、分岐の標識がある山頂へ続く稜線に出たときには、小雪が舞ってきてしまった。でも周囲の眺望はあるし、山頂まであと指呼の距離であったので、そのまま一歩一歩進んでいく。そして14:00、やや風雪の強くなってきた荒島岳山頂に到着。山頂には、荒島岳の荒から下の文字が埋まった標識と祠があった。長居は無用と写真を急いで撮り、早々に下山開始。とっとと降りて、シャクナゲ平に無事到着。シャクナゲ平から山頂往復は、今回のように条件が良ければほぼ夏時間のコースタイム2時間で行ってくることが可能だ。下山後、荒島岳方面はガスに覆われ、この時点で雪も本格的に降ってきたので、タイミングよく山頂を踏めたことはありがたかった。本日、シャクナゲ平にテント泊するのは我々のみだった。厳冬期でも大半は日帰り登山が多いようだ。
 今日の大仕事を無事に終えることができたせいか、テントの中では安心感に包まれてのほっこり宴会が行われた。バタコ特製のサングリア風ホットワインが甘くて美味しかった~。

【2月10日(日)】
 翌朝、雪はチラチラと降っていたが、思ったより天気は悪くなく、積雪は20㎝程であった。今日は下山だけなので、ゆっくり支度をして朝七時に出発した。昨日の固い雪面に積もった雪なので、アイゼンを効かせてサラサラした新雪を踏みながら気持ちよく歩く。
樹氷ワールド  ブナの木々に昨日の雪が樹氷となって、白く美しい世界を作りあげていた。これが荒島岳名物と謳われている樹氷ワールドだ。時折、太陽の光も射してきて、この白い世界を一段と光り輝くものにしてくれて、暫しこの世界に、一同浸りきってしまった。
 その後は、ややラッセルらしきことをしつつ(ワカンは使用せず)、駐車場を目指してガシガシと下山した。
 駐車場は昨日とうって変わって雪が積もっており、車に積もった雪を払って、一路福井駅を目指す。
 途中、越前大野の街に立ち寄りプチ観光。風情のある城下町で、雲海の城で有名な越前大野城もある。七間通りに、芋きんつばが有名な「伊藤順和堂」があり立ち寄ったが、これが本当に美味しかった。こちら方面に来る方がいたら是非食べてみてください。
 福井駅に戻った我々は、コインロッカーに不要になった山道具を預けて、駅近くにある「福そば」にて絶品の越前そばを食し、次の目的地「永平寺」へ向かったのであった。永平寺での参篭体験という初めてのことに、胸躍らせつつ、永平寺行バスに乗った。
 あることが不安な1名のメンバーを除いてだが...。

〈コースタイム〉
【2月9日】 勝原スキー場跡駐車場(9:30) → リフト終点跡(10:30) → シャクナゲ平着(12:20~13:00) → 指導標分岐(13:45)~荒島岳山頂(14:00) → シャクナゲ平幕(15:00)
【2月10日】 シャクナゲ平(7:15) → 勝原スキー場跡駐車場(9:30)

〈交通〉
 中日本エクスプレス(東京→福井) 4,400円
 永平寺行バス(福井駅→永平寺) 720円

【番外編 永平寺参篭体験】
参篭スケジュールは下記の通り。
(1日目)
 14:00~:上山(到着)
 17:30: 薬石(夕食)
 18:20: 座禅、映画
 19:40: 入浴
 21:00: 開枕(消灯)
(2日目)
 4:00: 起床
 4:30: 法話
 5:30: 朝課(朝のおつとめ)、諸堂案内
    小食(朝食)
 ~9:00: 下山(出発)

 今回の参篭には、家族やグループ(子供含)個人の参加者も含めて、25名位の方々が参加されていた。宿坊は、部屋の暖房も完備されており、旅館並みの良い部屋であった。
 食事は、精進料理の本家本元の永平寺ということもあり、一品一品が丁寧に作られており優しい味であった。胡麻豆腐はものすごく練られているのか、お箸を使って切るのに苦労したほどもちもちの食感であった。また、お菓子2品が付いていたのは嬉しかった。
 朝は起床後、法話(僧侶のお話し)があり、〇〇部長という肩書のお坊様から、ありがたいお話を聞くことができた。途中笑いも折り込んであり自然に話に引き込まれてしまい、素晴らしかった。その後は朝課として、法堂にて全山のお坊様が一堂に会して唱えるお経を聞くことができた。これは宿坊に泊まった者しか味わえない荘厳な時間であった。
 下山(あさん)後は、永平寺川を渡った先の愛宕山に登ってみた。参道には33体の観世音菩薩像が祀られており、山頂からは永平寺の全貌が一望できる。
 丁度雪も降ってきて、冬らしい永平寺を望めることができて、厳しい修行!?の後だからこそ、感慨もひとしおだった。登山口から30分程で登れるので是非お勧めしたい。

愛宕山山頂修行後の面々

 1泊2日と短い時間ではあったが、普段の生活では味わえない貴重な体験だった。
 興味のある方は、是非永平寺の宿坊に泊まってみてください!

永平寺参篭宿坊1泊:9,000円(2週間前までに予約が必要)


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