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岩登り・三宅島クライミング
西村 宏一

山行日 2019年3月15日~17日
メンバー (L)西村、荻原、深谷、青木、内田、石毛、他1名

 年末年始の大堂海岸企画に続くトラッド遠征企画の第2弾の三宅島ツアー。今回もゲストを加えた総勢7名での遠征となりました。

お出迎えしてくれる宿の猫たち 【3月15日(金)】
 フェリーは朝5時前に着くと、有りがたいことに宿の主人が車で迎えにきてくれる。暗い夜道を15分ほど走らせて宿へ到着。
 宿には多くの可愛い猫がおり出迎えてくれる。なんとその数14匹!でも猫アレルギーの人にはつらいかも。宿の部屋(といっても普通の家の一軒家ではあるが)は朝から用意してくれており、仮眠もさせてくれる。仮眠を2時間ほどとって船旅の疲れをとった後に、満を持して本日の目的である富ヶ浜へ。ここは宿から歩いて30分ほど。海岸に出ると少し風が強かったが、広い空と青い海と壁のコントラストの美しい風景が広がる。このなかでクライミング出来るのはクライマー冥利につきるというものだ。
 この日にロープを張ったルートは以下のとおり。
 ・セコンド(5.7) 簡単。ほぼフェイス登り。初登者は確か山野井妙子さん。
 ・磯ひよどり(5.9) 半ばにある少し前傾した箇所を超えるのが核心だが、概ねハンドジャムで快適に登れる。
 ・ジャムの学校(5.9) 出だしのシンクラックが難しい。あとは快適。
 ・御前(10b) 出だしのオーバーハングが核心だけどハンドとガバがあり豪快に行ける。

富が浜エリア宿の食事風景

 三宅島は城ヶ崎と同じ安山岩であるが、城ヶ崎に比べてクラックはすっきりしており、しっかりジャミングを決めないと登れないという意味では此方の方がクラックをやっている感がある。
 夜は近くの風呂に入った後に宿で食事をとり恒例の宴会。このメンバーでの宴会は当然のように男性陣は常に圧倒される。三峰クライマーチームは女高男低なのだ。

【3月16日(土)】
 翌日、会員外のKさんが合流するも残念ながら終日雨。宿の車を借りて三宅島観光となる。とはいえ、観光資源が決して多いとはいえない島でしかも雨となると、メンバー全員なんとなくテンションが上がらない中での三宅島一周ドライブであったが、三宅島はそんな我々にちょっとしたサプライズをしてくれた。雨の合間を縫うような晴れ間に、今まで見たこともないほどの大きな虹が見えるではないか!

虹と青木さん♪雨中での集合

登れなかったPO壁  その後、時間潰しに体育館を改装したクライミングジムに行くが個人的にはちょっと残念な感じのジムであった。壁は高いがルートが単調すぎる。そんなジムであったので、幸い雨も上がった事もあり翌日行く予定のPO壁の見学に行く事となったが、そこでこの旅最大のハプニング発生。車をUターンさせようと、ちょっとしたスペースに入った所で車がスタックして動かない!しかしメンバーが一丸となり砂利を敷き詰め、マットを敷き、車を押しながらこの危機を乗り越える!まさに三峰の団結心の為せる技であった(ゲストとして今朝から来たのにこんな事をさせたKさんには申し訳ない気持ちで一杯です)。
 PO壁を無事に見学したが、波が高く数年前の台風で壁は崩れ我々レベルで登れるルートはごく僅か。最終日も富が浜へ行く事を決めて帰路へ。そしてお決まりの宴会から就寝。
 余談であるが、この日の真夜中に、見えるはずのない何かを見てしまって必死に戦っていた人がいたというのはここだけの話(詳しく聞きたい人は委員長まで)。

【3月17日(日)】
 前日に登ることが出来なかったため、少し早起きしてフェリーの時間までクライミング。行きたかったPO壁は波が高く登れないルートが多かったので15日と同じ富ヶ浜へ。15日に登ったルートに加えて以下の1本にトライ。
 ・ビードロ模様(10bc) スラブのクラックから垂壁に移るとこが核心。へたれの自分はオンサイトは狙わずTRで登った後にリードするも敢え無くテンション。RPした荻さんは流石。
 12時に予定通り撤収し、宿の方に頼んでいたのり弁を貰い帰途につく。港ではクジラが出迎えてくれるなど、最後まで気が抜けない楽しい旅を愉快な仲間たちと過ごす事が出来た。

ビードロ模様を登る

 補足であるが、今後三宅島へクライミングをしに行く人のためのちょっとしたTipsを。
 【薄木荘】
 宿泊した宿。十数匹の可愛い猫が出迎えてくれる。どこの岩場に行くにも徒歩圏内だが町(集落?)からは少し遠いけど町まで程度なら車を貸してくれる。港まで送迎あり。宿の夫妻のキャラはなかなかである。
【カフェ691】
 阿古にあるカフェ。Tシャツなどの土産があり、山野井夫妻や世界のゆーじの写真が飾ってある。
【スーパー土屋】
 島にはコンビニが無いので買い物はここで。品揃えは残念な感じだけど行動食、夜のつまみなら充分揃う。
【ふるさとの湯】
 公共の湯。夕焼けが綺麗に見える。
【ホテル海楽】
 上記の温泉が休みならここへ。ただ湯温は江戸っ子もびっくりするくらい熱い。
【のり弁】
 三峰クライミングチームのアドバイザーのお勧め弁当。スーパー土屋で買えるらしいが、薄木荘に頼む事も可能。おかずは少ないけどご飯好きの自分にとっては十分な美味しさ。
【クライミングジム】
 体育館を改装しているので高さは十分だけどなんとなくルートは単調。

 最後に、三宅島は2000年の噴火で全島避難があり、その解除がされるまでおよそ5年弱もかかったそうです。
 溶岩で森林は破壊され野生動物も激減し、民家や学校は、溶岩や火山灰に埋め尽くされ、今もまだその爪痕が残っており未だ復興中であった。好きなクライミングを通して少しでも島の活性化に寄与出来たら良いなと思いました。
 三宅島に限らず、山に行ったらその地元で出来るだけ食事をし、お土産を買い、自分らが楽しむ場所を守ってくれている地元に貢献していきたいものです。


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