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縦走・鹿沼六郎地山
安田 章

山行日 2019年5月11日
メンバー (L)鈴木(章)、菅原、渡辺(靖)、宮本、安田

 新鹿沼駅に9時に集合し、リーバス(鹿沼市が運営するコミュニティバス)の古峰原線に乗った。
 古峰ヶ原街道を古峰神社方面に向かう。谷間を通る道筋には田んぼや畑、民家や商店が点在していて、眺めているとのんびりした気分になってくる。
 一の鳥居バス停に10時少し前に到着してバスを降りた。料金は400円である。本当はもう一つ先の停留所一の鳥居大貫で降りた方が余計に歩かずに済んだようだ。たいした差はないけれど。
 古峰神社の一の鳥居が目の前にある。とても大きいのでちょっとびっくりした。高さが25mほどあるそうだ。
 鳥居には向かわず、大芦川にかかる橋の手前を右に折れ、東大芦川沿いの道を行く。川にはとてもきれいな水が流れていて、釣りをする人がたくさんいた。道端に車を止めて飲みながら竿を出している人もいた。
 よく晴れた空の下、穏やかな五月の風に吹かれ新緑の中を歩いた。この風は今回の山行中吹き止むことはなく、疲れた体を常に癒してくれた。
 11時頃、川中島というところで橋を渡るとすぐ右手に入る道があって、工事関係の車両を止めるためのものなのか、ちょっとした広場がある。ここで身支度をし、軽く腹ごしらえをして登りにかかった。
 広場から山道を少し下ると東大芦川に橋が架けてある。人が一人通るほどの幅しかないが、鉄製のしっかりした橋だ。これを渡った。ここが六郎地山の稜線に続く尾根の末端だ。
登り口に架かる橋  踏み跡のない急な斜面を登った。傾きが緩むまで一気に行く。標高差で200m位だ。登りきるとはっきりとした尾根道になる。踏み跡も明瞭になってきた。
 標高700m位のところで、右手に伐採跡が現れた。南側の視界が開け、向かいの山の新緑が明るい光に映えて美しい。
 六郎地山までは登りが続く。道端に石造りの小さな祠が転がっているようにあったりした。幾度か偽ピークにがっかりさせられながらほどなく六郎地山に着いた。標高1,097.2mである。展望はないが、西の方、木の間隠れに夕日岳が大きく見えた。
 六郎地山を越えて北にのびる稜線を行く。今回の山行の楽しみの一つにアカヤシオを見るということがあった。下草のほとんどない歩きやすい道で樹林の中を行くのだが、あまり密ではないために明るい。
 その中で彩りを添えるのがアカヤシオだ。ツツジの一種だそうで、ピンクの淡い色がきれいだ。シロヤシオというのもある。シロヤシオの葉の縁はなぜか赤味を帯びている。アカ、シロを見分ける印であると章子さんが教えてくれた。
 地面に目をやると紫色の模様を付けたカタクリの葉がそこここにあった。これも章子さんが気づかせてくれた。早すぎたのか、遅すぎたのかわからないが、カタクリの花を見ることはできなかった。
 1,101mのピークに向かうところで地図を覗く。尾根伝いに素直に行くと林道に降りてしまう。その方向には、地面に枯れ木が何本かまとめて行く手を塞ぐように置いてあった。章子さん曰く、こちらには行くなという印で、誰かが置いていったということらしい。
 今回の若手二人である靖代さんと宮本さんがコンパスを出し、行くべき道を確認した。今回の山全体を通して言えることだが、踏み跡は比較的明瞭で、テープもあって歩きやすい。けれどピーク上の分岐点では地図とコンパスを出した。
 一旦100mほど下ってから登り返す。1,101mのピークは結構大きく見えた。
 次の973mのピークを越えて林道に出るまでの道は両側が切れ落ちているところがあった。注意せねばと言い聞かせる。
 ようやくという感じで林道に出て、道の傍らで休憩をとった。時折車やバイクが私たちの脇を走り抜けていく。
 林道から三ノ宿山への登り口には、向かいの擁壁に掛けてある木と縄で作られた猿梯子を登っていく。擁壁を越えると、とんでもない急な斜面が待っていた。木の枝や、所々に顔を出している岩角などを手掛かりに登っていくのだが、一度滑りでもすれば、林道まで転げ落ちていくだろう。三ノ宿山へはひたすら登りが続く。今回の最高峰は1,229mなのである。
 三ノ宿山の頂上は木立にかこまれているが明るくいい雰囲気だ。
 三ノ宿山からは北に延びる稜線に入り、1,188mのピークを目指す。西に目をやると男体山の肩越しに陽が沈みかけている。そんな時間なのだと思いながら、疲れた足を運んでいった。赤いツツジが多くみられよい道である。
男体山に沈む夕日  登り下りを繰り返しながら1,158mと1047.8mのピークを過ぎ、途中に鉄塔と貯水池のようなものの傍らを通った。
 ほどなくやしおの湯の屋根が見えてきた。急な下りを終えてやしおの湯にたどり着いたのは6時を過ぎていた。空は夕焼けに赤く染まっている。
 早速やしおの湯につかる。510円であった。露天風呂には、夕焼けを眺めながらではあったが、帰りの日光駅に向かう最終バスの時間が迫っていたので慌てて入る。風呂に浸かるのに最後の体力を使った感じだ。
 やしおの湯で買った缶ビールを飲みつつバスに乗った。駅へ続くすっかり灯りの落ちた日光の街並みを見て少し寂しく思った。バス代はスイカが使えて470円。
 帰りの電車の中で菅原さんが振舞ってくれた一杯のワインに温まり、しっかり歩いた一日の充実感が体を満たした。

〈コースタイム〉
新鹿沼駅9:11 → 【バス】一の鳥居10:00 → 川中島取付き(11:00~11:12) → 700m付近(12:00) → 870m位のピーク(12:30) → 六郎地山(13:30) → 1,101mのピーク(14:10~14:20) → 林道(15:00~15:15) → 三ノ宿山(16:15~16:30) → 1,188mのピーク(16:54) → 1,158mのピーク(17:17) → やしおの湯(18:15~19:09) → 【バス】東武日光駅(19:30)


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