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ハイキング・女峰山
小芝 麻紀子

山行日 2019年7月6日~7日
メンバー (L)小芝(泰)、野畑、渡辺(靖)、内藤、内田、小芝(麻)、他3名

 三峰山岳会に入会して初めての山行となる。入会のきっかけは、三峰山岳会の第一線で活躍する方々からの山の話を聞くうちに、彼らが踏んだ山々に自分もチャレンジしてみたいと思ったからだ。一方で山岳会の門戸を叩いても、年も若くない自分は足手纏いと思われるかもしれないと不安に思う気持ちもあった。ただ今を逃したら一生後悔するかもしれないという気持ちと、少しでも彼らに近づきたいという思いが勝り、勇気を振り絞って入会の意思を表明し、初めてルームに参加した日のことは一生忘れない。多くの会員の方を既に知ってはいたものの、自分の入会について歓迎してくれ、やはり入会してよかったと心から感じた。ルームでは様々な例会の案内が出ていた。実力をつけて、いつかは行ってみたいと感じた。
 そんな経緯からの三峰の最初の山行、女峰山ハイキング。お試しの方も参加するとのことで、一緒に参加し、山での行動の流れを改めてつかみたいと思った。
 金曜の夜自宅を出発し日光PAで仮眠をとる。土曜の早朝、日光東照宮の裏手にある行者堂駐車場に車を停め、一台は下山地点に車をデポする。車を置いて戻り、早速出発前に地形図の見方を皆で確認をする。そして曇り空の下、登山はスタートした。
 駐車場から行者堂まで少し下り、行者堂の裏手から女峰山へ向かう登山道が続く。歩き始めは緩やかな傾斜だ。整備された快適な登山道を歩き、殺生禁断碑の前で一本とる。するとザックにヒルがついていることに気がつく。どうやらここはヒルの生息地帯らしい。ヒルといえば丹沢だが、ここ日光もヒルの住処と化しているようだ。皆ヒルに怯えながら心休まらぬ休憩をし、再び歩き始める。
ヒル生息地帯での心休まらぬ休憩  しばらく歩くと登山道の両脇にはツツジの木。残念ながら今はツツジの花の時期ではなかったが、5月頃に来たら美しい花々の景色が広がっているであろう。また花の時期に来てみようと思いつつ、足を進める。
 稚児ヶ墓を過ぎると展望が開けてきて、明るい笹薮となる。しばらく歩くと水場のサインがあり、15mほど下ると水場がある。水は冷たい。この時期は問題なく水が取れるが、時期によっては当てにならない可能性もあるかもしれない。
 水場の先はしばらく歩き心地の良い道が続くが、黒岩手前くらいからガレ場となる。ガレ場は歩きづらいが、展望がよく、歩いていて気持ちがいい。そうこうしているうちに黒岩につき、一本休憩をとる。黒岩では地元出身、群馬勤務という方々に会った。会社の同僚との登山で翌週には槍ヶ岳を目指すための足慣らしで登山にきたという。山ではお互い知らない者同士なのに気軽に話ができる。都会にはない山の魅力の一つがこういう人とのふれあいだ。
 黒岩から先は傾斜がきつくなってくる。途中、「苦しきされど登りたし」という看板がある。山を登るものは皆そう思うと思う。苦しいけど、登りたくなる心境は不思議だ。相変わらずガスってはいるが、時々ガスが切れる間に見える景色は素晴らしい。途中1か所クサリ場があるが何の問題もない。気がつけば山頂手前の唐沢避難小屋に到着する。
変化に富んだ登山道  小屋は思っていたより大きく2段になっている。1階の中央には大きなテーブルが2つあり、宴会にはちょうどいい。日曜の方が天候は良くなるという予報であったため、土曜に予定していた山頂アタックは断念。小屋で宴会の準備をするため自分を含め数名で10分ほど登山道を下った水場へ水を汲みにいく。水場の水量は豊富で年中水は枯れることはなさそうだ。冷たい水で顔を洗い、登山道を登り返し小屋に戻る。小屋の外では内藤さんが訝しげな顔して、履いていた靴下を指さす。靴下は血で真っ赤に染まっていた。犯人はヒルだ。2匹に咬まれ、内藤さんの足は流血していた。靴下を脱ぐまでヒルに咬まれたことに気が付かなかったという。途中で休憩した時に咬まれたに違いない。内藤さんの足をみているだけで、自分が咬まれた気分になってきた。自分は一度もヒルに咬まれたことはないが、一生咬まれないまま人生を終えたいとつい思ってしまった。
 そして夜の宴会へと突入する。おつまみが何品も出てきて、ついついお酒が進む。お試しのメンバー3名も打ち解け、16時前から始まった宴会は21時頃まで続いた。三峰に入会してよかったと思う事の1つだ。
 日曜の朝。生憎の天気。雨が降り、霧が出ているため日の出前出発を諦め、日の出後5時に出発することとする。本日も出発前にリーダーが地図読みの解説をする。コンパスの使い方だ。自分が行きたい方向があっているかコンパスを使って確認をする。各々コンパスをセットし、行くべき方向を指すことを確認してから出発をする。
 山頂まではガレ場が続くが登山道は明瞭。山頂に辿り着くとガスがかかっていて展望ゼロ。ただ皆で踏んだ頂上は視界が良くなくても楽しい。頂上で一休みし、来た道を折り返し小屋まで戻る。
 小屋で個食の朝食をとり、下山を開始する。下山は登りとは別ルートとなる。水場過ぎまでは急な下りで歩きづらいが、それを過ぎると程よい傾斜の登山道が続く。荒沢出合で登山道が分岐していて、誤った方向に歩き始め後方を歩いていたことに気付く。ここでコンパスと地形図を合わせ、皆で行くべき方向を確認する。コンパスが指す方向へ続く登山道を確認し歩き始める。下りは笹薮になっているところがある。踏み後が笹で消えていたり、作業道が入り乱れ登山道と混乱したりする箇所が数か所あるので注意が必要だ。地形図を見ながら自分が下るべき尾根を確認しながら下山をした。途中笹薮の中に逞しく生えるワラビがあった。時期的には遅いがもっと早ければワラビが取れそうだ。そうこうしているうちに、若子神社の駐車場に辿り着き、女峰山ハイキングは無事終了した。

地形図とコンパスを使って地図読みの確認視界は悪くても皆で辿り着いた楽しい女峰山山頂
〈コースタイム〉
【7月6日】 滝尾神社駐車場(7:40) → 行者小屋(7:50) → 殺生禁断の碑(8:30) → 稚児ヶ墓(9:10) → 黒岩(12:10) → 唐沢避難小屋(14:15)
【7月7日】 唐沢避難小屋(5:10) → 女峰山(5:45) → 唐沢避難小屋(6:25~7:30) → 荒沢出合(8:30) → 裏見滝・寂光滝分岐(9:45) → 若子神社(11:30)

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