トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ361号目次

沢登り・前川大滝沢
山口 大翔

山行日 2019年7月20日~21日
メンバー (L)荻原、青木、石毛、山口(大)

 今回が三峰での沢登りデビューとなりました。記録というか感想のようになってしまいますが、ご容赦ください・・・。

【7月20日】
真っ茶色でゴォゴォ唸る川  ここ最近関東では、休日は雨で週があけると太陽が見える感じを繰り返しています。なんだ、この誰も得しない周期性・・・。金曜日も東京では雨は降っていませんでしたが、こちら滑川温泉では長雨が続いていたようです。もともと土曜に遡行を終わり、福島屋で宴会する計画でしたが、土曜昼に東京を発ち、宿に前泊、日曜に遡行へ変更となりました。
 滑川温泉に到着して沢を見に行くと、水は真っ茶色にゴォゴォ唸りながら流れていました。あんまりにも勢いがすごいから、なんだか笑えてくる。

部屋には簡単な食器なども  普通に温泉入って、ゆっくり帰宅する未来が見えてきました。まあ、それでもいいかと湯に入ったり、宿の建物を眺めていたらあっという間に夕飯時に。湯治宿の自炊部に泊まるのは初めてで、宿泊客が各々の好きに自分の食事を作っている様子は、学生寮に住んでいた頃を思い出します。

夕食  夕飯の食当は石毛さんで、メイン料理はよだれ鶏でした。なんかよだれ鶏を選ぶところの玄人感がすごいと思いながらお米と一緒にお腹いっぱい食べました(炊いた米は宿で買えた)。

【7月21日】
リードするOさん  ひとまず朝ごはんを食べて、沢の様子を見に行きます。朝ごはんは僕の担当で雑煮です。昨晩のうちに野菜は煮ていたので、温めて餅をいれるだけです。早い。沢は多少水量は多いものの、濁ってはおらず、行けるところまで遡行してみることになりました。雨の影響で駐車場に登山者は少ないようですが、他に地元登山会(蔵王山岳会とヘルメットに書いてあった)のパーティが10名程見えました。
 最初の滝を荻原さんがリードで登ります。

眼下には地元山岳会の方々の姿も  上からアドバイスと励ましを頂きながら、僕もそれにならって登りますがかなり怖い・・・。

大滝下  この後もいろいろ助けてもらいながらの山行でした。ふと、今の日常生活で命の危険がありうる状況での教える教わるの関係ってないけど、ずっと昔はいろんな人同士の関係でそんな緊張感があったんだろうな、みたいなリスペクト芽生える人間関係について、つらつら考えていました(なんか大袈裟だけど)。
 入渓から2時間半ほどで大滝下に到着。

赤茶色のナメ  他の記録では小1時間ほどとの記載なので、水量の影響でしょうか。大滝は本当に巨大でみごとな滝です。かなり離れていても滝壺からくるマイナスイオン?の風がビュービュー吹いてくる。健康によさそうですし、写真で見たものよりも増水で滝の迫力がすごい。体を大きくひろげて面積をかせぎつつ、できるだけ浴びてきました。ルートは右岸を大きく高巻いていきます。巻き途中も崩落箇所がいくつかあり、過去に事故もあった場所のようでしたので慎重に渡っていきます。
 その後は赤茶色のナメがずーと続く素晴らしい沢でサクサクと進めました。
 登山道合流からは、登山道をたどり下山です。皆さんめちゃくちゃ歩くスピードが早く、僕も半ば走りながら下山しました。ちなみにこれまでは、福島屋北側の露天風呂の方にある橋を渡れたようで、下山ルートはそちらに出るらしいのですが、老朽化で橋は封鎖されていました。福島屋よりも下流側へ抜け、駐車場に戻ります。

後日...
 帰り道に荻原さんから文庫本になった「ビヨンド・リスク」を勧められたので読んでみました。メスナーの章が特に気に入って、そこで書かれていたテクニカルな器具を用いた登攀への批判が”The Murder of the Impossible”という題で当時の山岳雑誌に残っていたので、文献を漁ってみたり。タイトルにある可能性の抹殺という言葉はそれだけでもカッコいいなあと。”Faith in equipment has replaced faith in oneself.”という一節が心に響きました。クライマーの哲学を実際山を登りながら意識してみると、違った角度の楽しみ方ができると思いました。

〈コースタイム〉
滑川橋入渓(6:50) → 大滝下(9:30~9:40) → 大滝上(10:00) → ホラ貝沢(11:10~11:20) → ヒョングリ滝(11:30) → 入道ノ沢出合い(12:30) → 登山道合流(13:10~13:15)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ361号目次