トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ362号目次

縦走・中央アルプス経ヶ岳~西駒山荘
鈴木 章子

山行日 2019年11月2日~4日
メンバー (L)鈴木(章)、飯塚、津田

 10月の天気は最悪だった。11月の天気を期待して、10日ほど前に、連休だからどこかに行きませんかと飯塚さんに声をかけたところ、御嶽山付近の山に行きたいとの返事。少ない知識の中4か所提案したところ今回のコースになった。メンバーも一人追加になり、急いで前夜発最終の高速バスを予約。『羽広みはらしファーム』の駐車場で仮眠の許可も得、準備万端で出発。伊那バスターミナルから予約を入れたタクシーで『羽広みはらしファーム』へ。仮眠場所は、翌日はイベントがあるのかリンゴが入った籠がいくつも無造作に置いてあった。私たちは仮設テントの下、リンゴの匂い漂う中で一夜を過ごした。

『松ぼっくりのまっくん』  翌日は快晴。早朝からイベント会場準備の人々の中、静かに登山口・仲仙寺に向けて出発。お寺の駐車場は真っ暗だが、トイレもあり仮眠可能。次回?はここでも良いかも。
 今回の山行成功祈願参拝を済ませ出発。なんせ、経ヶ岳から先馬返しまでは笹の藪漕ぎ、行動時間もかかりそう。特に今日1日の行程は長い。頑張らねば。
 経ヶ岳の登山道はよく整備され、特にキツイ登りは無いが、長い。2,300mの山はこんなに登るものか、各合目表示の『松ぼっくりのまっくん』に励まされ、紅葉を楽しみながら高度を上げていったが、途中からハプニングが...。
 結局山頂に着いたのは14時近く。13時までの予定を立てていたのでこの先、水場がある権兵衛峠までは難しくなった。持ち水を大切にと伝え、記念写真を撮りすぐ出発。
経ヶ岳山頂  樹林帯から笹藪に変わるころ、何とラッキーなことか笹が刈入れされピンクのテープもついていた。経ヶ岳直下の急下降の刈入れは最近されたようで、刈られた笹の葉がまだ青い。時間が気になるので転がっていきたい気持ちを抑えゆっくり下る。1時間も下ると目標の電波塔が見えてきた。登山道も緩やかな下りになるが、気持ちだけは焦る。若ければもっと跳ばせたと思うが...。電波塔まで後1時間弱の所で日が沈んだ。結局、そこが今宵の幕場になった。残照の中、大急ぎで幕を張り落ち着くが、わずかな行動水しか残っていない夜は何もすることもなく、18時半には全員横になった。

権兵衛峠  翌日は明るくなったら出かけようと起きる時間を決めていなかったので、起床はダラダラとしたものになってしまった。
 起床後、朝食なし、すぐにテント撤収。歩き始めて20分で電波塔に、その後は、電波塔の軌道に沿って道路へ。途中、峠への山道らしきものもあったが不安もあり軌道を歩いた。道路を塩尻方面に歩きだすと間もなくトイレの有る展望台へ。トイレの左に有る峠への道を辿るとすぐ広くて東屋のある権兵衛峠に着いた。
 此処は、水が充分ある。昨夜、食べられなかった夕食を作ることにした。渇水状態で来た3人には天国のような場所。充分飲んで、充分食べた。この峠には歴史があるようなので、次回は権兵衛峠を歩く山行を考えようと話し合う。
 出発時になると、昨日の疲れ、お腹と水の安堵感で歩く気力が低下気味。
 登山道に藪は掛っているが踏み跡は確認できる。時々、指導標もありルート的に不安はないが、途中で出会った『烏帽子』の山名板は地図上の何処を指すのだろうか、よくわからなかった。
 1,916Pを過ぎてからは西側にトラバースするようだが、先頭を行く津田さんが山頂目指してドンドン藪を漕いでいく。ずれたルートだったようだが、チビの私には2m近い笹藪は戦いに等しく中々前進させてくれなかった。
 出発も遅かったせいで、馬返しに着いたのは13時半、今日中に西駒山荘までは難しいのではと手前の大楢避難小屋までとする。ところが、この小屋に泊まったことが、今宵も水のない夜を過ごすことになってしまった。地図が古かったのかもしれないが、ハイキングマップには水マークがあるが、水場らしき場所に行ってもない。水源が変わったのか?西駒山荘には前もって水の有無を確認したが、ここも確認しておけばよかったと後悔。水のない夜は早い。小屋の中にテントを張りわずかな水を分け合い、今夜も夕食はなし。19時には横になっていた。

快晴の大展望、将棋頭山にて  目覚ましを掛け4時15分に起床。朝食のない朝は早い。小屋の携帯トイレを利用して全員すっきり。5時40分には出発。ここから胸突き八丁が始まる。2時間半が勝負。朝の冷たい空気の中、高度を上げていくと南ア・御嶽山が大きくせり上がってくる。最高の展望・最高の天気。足元には旨そうな白兎が走って行く。背中には食材・なべ・コンロを背負っているのにー。
 もう山は全て冬支度。色々あったけど、来られたことには後悔はない。西駒山荘手前の水場で大休止。久々に水がこれほど美味しいと思ったことはない。西駒山荘の冬季小屋をチェック後、将棋頭山をピストン。展望を楽しんだ。
 出会う人も少しずつ増え、山の1級国道の良さを味わった。帰路の時間が気掛り、濃ヶ池ルートから宝剣山荘を通り千畳敷駅まで少し急ぎ足になった。ロープウエイは混んでなくすぐ乗ることが出来、時間の不安は解消された。
 中ア(この近辺)の帰りは、何故か菅の台バスセンター近くの『こまくさの湯』で入浴とソースかつ丼を食べるのが定番になっている。今回もどちらも可能になった。
 帰路の高速バス予約は満車で取れなかったので、今回は電車で帰宅。中アは比較的安価でアプローチもまあまあ。残り少なくなったが、また、新しいルートを探そうかなと、水なし山行でゆっくり休めた元気な体が言っていた。

〈コースタイム〉
【11月2日】 羽広みはらしファーム(7:10) → 仲仙寺(7:25) → 四合目(9:00) → 七合目(11:40) → 山頂(13:50) → 電波塔手前 幕(17:00)
【11月3日】 幕場(6:20) → 電波塔(6:40) → 権兵衛無線中継所(7:20) → 権兵衛峠(7:40~9:35) → 烏帽子(11:55) → 馬返し(15:35) → 大楢避難小屋・泊(16:15)
【11月4日】 小屋(5:40) → 津島神社(7:00) → 胸突き八丁頭(7:30) → 西駒山荘(8:00~8:40) → 将棋頭山ピストン → 分岐(9:20) → 濃ヶ池分岐(9:50~10:00) → 濃ヶ池(10:20) → 伊勢滝分岐(10:55) → 宝剣山荘(12:00) → 千畳敷駅=しらびそ平=菅ノ平バスターミナル

〈費用〉
タクシー 伊那バスターミナル~羽広みはらしファーム ¥2,010
タクシー 菅の台バスセンター~駒ヶ根駅 ¥2,400
ロープウエイ+バス代 ¥2,200
駒の湯(入浴料) ¥610


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ362号目次