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縦走・南アルプスフロントトレイル Part3
安倍峠~大光
鈴木 一彦

山行日 2019年11月16日~17日
メンバー (L)峯川、深谷、飯塚、清水、野畑、道祖土、鈴木(一)

 安倍奥は思い入れの強い山域。破線すら記されていないルートを歩くなんて思ってもいなかった自分が藪をこぎ、植林帯の急傾斜をへっぴり腰でずり落ちながら歩いたのがちょうど1年ほど前の出来事だった。指定幕営地以外でのテント泊も初体験。ほんの僅かな経験しかなかった自分にとっては何もかもが驚きの連続だった。三峰に入会したのも、あの山行がきっかけだったのは間違いない。
 そんな思い出いっぱいの安倍奥山域の例会山行。南アルプスフロントトレイルにも興味があり前回、前々回も参加したかったのだが、色々とかみ合わず断念してきたのだが、リーダーの峯川さんから11月に実施予定と聞いて一も二もなく参加を表明した。その後、重鎮ばかりの参加メンバーリストを拝見して思わずのけぞった。(良い意味で、です。)かくして前夜21:30に駒込駅に集合。少し遅れて到着したが既に大盛り上がり。偶然居合わせた深谷さんの元?同僚の方々に見送られ山旅のスタートとなった。
 途中、集中工事の東名で時ならぬ渋滞に捕まってしまった。新東名をひた走り、「安倍ごころ」に着いたのは深夜1時を回った頃。自分は少し体調が悪かったのでノンアル、皆さんはしっかり嗜んで前泊の眠りについた。
 初日の朝は5時にスタート。手早くテントを撤収して今宵の宿である、よしとみ荘へと向かう。1時間ほど山道を走って駐車場に到着すると、全く歓迎する素振りのないワンコに吠え立てられながら装備を調える。かくして6時半過ぎに初日の目標である大光山への第一歩を踏み出した。まずは安倍の大滝への道標を追うが、出だしの吊り橋で揺らしたり、ポーズをとったりで早くも大盛り上がりだ。
名残の紅葉です!綺麗です  この山域の特徴なのか、稜線までのルートはどこも急登ばかり。今回のルートもなかなかに手強い登りだったが、女性陣は息も切らさず、近況や自分が知らない過去の山行の話などをしてくれて、ついつい話に引き込まれていると、不意に稜線へ飛び出した。
キレットと呼ばれる所ですが危険ではないです  時計を確認すると3時間経過でコースタイム通りなのだが、思いのほか早く着いた感覚だった。
奥大光山到着!  稜線上は本当にお昼寝したくなるような気持ちの良いなだらかなトレイルだ。
 南アルプスフロントトレイルのルートをつなぐため奥大光山から大光山をピストンするうちに雲一つない快晴となった。

どこでも幕営できるような気持ちのいい安倍奥東稜大光山(おおぴっかりやま)です!<BR>明日はこの先の十枚山に登る予定でしたが・・・

郷愁漂う安倍峠  東には富士山と天子山地がバッチリ見えた。「バラの段」という風流なピークを通って安倍峠を目指すのだが、みるみる道が不穏な様子に変わっていく。数十mの急登、急降下を何度も繰り返し、皆いささかげんなり気味。バラの段にはバラがなく、腑に落ちないまま安倍峠へと下降した。
お楽しみの部屋飲み!日本酒祭り!  これまで誰とも行き会わなかったが、安倍峠で大谷崩行きをしつこく勧める不思議な集団と遭遇。今思い出しても「大谷コール」は意味が分からない。その後、梅ヶ島温泉でおでんとビールをいただき、よしとみ荘へ戻って温泉で汗を流した。梅ヶ島温泉のお湯はとろみが強く、本当に癒やされる。夕食は地のもの中心でビールも進む。いよいよ核心の部屋飲みではバタコさんの日本酒で大いに盛り上がり、なぜか課長という微妙なあだ名を頂戴することになった...。
不穏な張り紙が...、なんとかいけるのでは!?と  明けて2日目は大光山に登って十枚山へ縦走するプランだ。だが、十枚山登山口には登山道が崩壊のため通行止めとの張り紙が。
ひとまずお助けロープを使って下降  車のデポを待っている間に、単独行の方が降りてきて「1時間ほどのところで道が崩れていて断念してきた」と教えてくれた。我々も迷ったが、リーダーの「行ってみましょう」のひと言で気持ちを切り替えて歩き出した。はたして、1時間弱の地点で沢が大規模に崩れていて道は跡形もなく消え去っていた。だが対岸には踏み跡も見えており、お助けロープも持ってきていたので崩壊した斜面を降りることになった。道祖土さんが一番手で斜面をクリアすると次々とメンバーも沢に下り立って先を目指す。
崩壊地の全景、しばらく復旧は難しいかも  だが、その先の沢は荒れ放題。崩壊地をクリアするのに思いのほか時間を使ってしまった上、この先の沢沿のルートでこのような崩壊が予想され、このまま進軍すると下山時に真っ暗になることは確実で、残業はしたくないというリーダーの意向で、ここで引き返すことになった。
よしとみ荘さん。やはり最高の温泉でした!  おかげでお昼過ぎには新東名に乗ることができ、駿河湾沼津SAで海鮮を堪能しても軽い渋滞に並んだだけですんなり帰京できた。
 2日間、天気に恵まれて山行は素晴らしい内容でした。南アルプスフロントトレイルシリーズには今後も参加していきたいし、参加できなかった前半部分は自分で歩きたいと強く思いました。
 各種手配と計画を立てていただいた峯川さんに大いに感謝です!

〈コースタイム〉
【11月16日】 よしとみ荘(6:35) → 奥大光山(9:50) → 大光山(10:30) → バラの段(13:20) → 安倍峠(14:10) → 梅ヶ島温泉(15:40)
【11月17日】 大光山登山口(8:40) → 登山道崩壊地(9:40) → 大光山登山口(11:10)

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