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縦走・風雨の朝日連峰大縦走
さとう あきら

山行日 2020年6月30日~7月2日
メンバー (L)佐藤(明)、斎藤(吉)

 花の山、朝日連峰。今回同行の斎藤さんより前年の秋に行こうよ、と誘われていたものの、どうせならお花の時期にと6月下旬に行く計画としていた。しかし新型コロナの影響で山小屋の利用は7月1日開始との情報を得て、入山初日をその日に再設定しての山行となった。

【6月29日(月)】
 定年退職組の二人は平日山行が多い。午後、新潟駅待ち合わせとし、鶴岡経由で登山口の旅館、朝日屋に前泊とする。50㎝超の大きさのタキタロウ(大イワナの俗称)の魚拓が館内に所狭しと飾られ、イワナ釣りの聖地を彷彿とさせる宿だ。

出発前夜はゴーカ夕食で元気一杯

【6月30日(火)】
 朝、宿のクルマで林道終点の泡滝ダムまで送ってもらう。今回この宿に泊まった理由は、宿の無料送迎を利用してタクシー代を浮かせるということもあったのだ。3時間ほど歩いてクマの毛皮の敷物のような形の大鳥池に到着。なかなか大きな山上湖で、確かに大イワナのいそうな気もするが。湖のへりをぐるりと歩き、以東小屋への直登コースに取り付く。
 道は良く踏まれており明瞭だ。しかし登りになると斎藤氏が遅れ出し、なかなか追いついてこない。何でもコロナ自粛が始まってからの約3か月間、登山はおろか運動らしいこともしていなかったとのこと。荷物も重く不調なようだ。
 標高1,400m位の森林限界付近には、お目当てのヒメサユリの大群生がまだまだ満開だった。絶滅危惧種に指定されているユリでピンクの花が可愛らしい。
 14時、強い雨が降り出し、間もなく以東小屋に到着する。水場は雪渓を少し下るのだが、急傾斜でアイゼンも持参していなかったため危なく、行くことを断念した。運よく小屋の屋根からの雨水をためる貯水槽があり、これを飲料水とした。斎藤氏は約1時間遅れで到着。小屋には他に誰もいなく、2階のスペースを広々と使わせてもらった。

大鳥池のへりを歩く付近は可憐なヒメサユリ街道だった

【7月1日(水)】
 6時20分、雨の中を出発。ガスも濃く、展望も皆無である。時折来襲する強い雨で登山道は川になっており、雪渓の横断はアイゼンなしだと少し緊張する。2時間ほどで狐穴小屋到着。3時間ほど雨宿りをするが、改善の兆しがないため再出発し、寒河江山を越えて13時20分、竜門小屋到着。そのままここに宿泊することにする。今夜も他の登山者はいなく、小屋に入れば快適だ。

途中の寒江山にて小屋は自分たちだけで快適

【7月2日(木)】
風雨の大朝日岳  4時半出発。今日も強風で雨も強い。全く視界のない中、7時半に大朝日小屋に到着。当初予定では大展望を楽しみながらの花の稜線歩きだったのに、今回は連日、下を向いて雨に打たれながら黙々と歩くのみである。
 小屋で40分ほど休んで、再び風雨の稜線へと歩き出す。今回の縦走の最高峰である大朝日岳へはわずか15分ほどの登りだったが、写真を数枚撮っただけでの最短コース、中ツル尾根の下山とした。強風で体がグラグラ持って行かれるのに加え、尾根は急でやせている。ここで斎藤氏は体力をかなり消耗したらしく、結局コースタイムを2時間オーバーし、午後3時半、やっと下山口となる朝日鉱泉に到着となった。お疲れ様でした。
 ここからは待たせてあったタクシーで寒河江温泉の旅館一龍へ。普段は泊まれないような高級旅館だが、ちょうど寒河江市がコロナ対応での宿泊費半額キャンペーンをやっていたのだ。それに乗じた形での宿泊となり、修行のような雨降り山行をゴーカに締めくくった。

夕食は個室だが席が離れ会話が盛り上がらない地元産サクランボは食べ放題、さすがは名産地
〈コースタイム〉
【6月30日】 泡滝ダム(7:45) → 大鳥池(10:45~11:05) → 以東小屋到着(14:00)
【7月1日】 以東小屋出発(6:20) → 狐穴小屋(8:20~11:10) → 寒江山(12:10) → 竜門小屋到着(13:20)
【7月2日】 竜門小屋出発(4:30) → 大朝日小屋(7:30~8:15) → 大朝日岳(8:30) → 朝日鉱泉(15:30)

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