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岩登り・城ヶ崎シーサイド(フリークライミング)
西村 宏一

山行日 2020年2月19日
メンバー (L)西村、荻原、内田、石毛

 三峰平日クライミンググループ、略してMHC。会員数は不明であるが試しに例会を出してみたところ4名もの参加があった。さすが三峰!この日の行先は城ヶ崎のシーサイド。エリアへ行くには懸垂が必要である。人が多いと混雑するので手際よくロープをセットして下降しなければならない。帰りの登り返しは人工のホールドを使って登るのが一般的。ロープを出しても良いが、これもモタモタしていると罵声が飛ぶので要注意。岩場は海に面して開放的で温かく非常に居心地が良い。ただ上部の崩壊が進んでおり、落石が頻繁にあるので要注意である。ルートは全体的に難しく、二子山と共に関東近辺のお強い方々が集まっているが、クラック含め10台半ばの好ルートも多い。これらはお強い人がアップに使ったあとは終日放置されている事が多いので、このグレードを練習しに湯河原あたりへ行くならこちらに来るのがおススメである。
シーサイド全景  この日は平日でも5パーティーほどがシーサイドにはおり、うち2パーティーは知り合いがいた。平日なのに知り合いに会うのは顔が広いのではなく、単にクライミングの世界が世間的にはまだまだ広いとはいえないからであろう。岩のコンディションは、天気も良く風も心地良いくらいにあって岩も乾いており、狙っていたルートを登れなくとも言い訳は全く出来ない完璧なコンディションであった。
 自分の狙いはホワイトシャーク。11Cとなっているが、このエリアでは簡単な部類だ。まずはヌン掛けしながらしっかりとムーブを確認し、いざクライムオン。核心の手前、ガストンの右手を取る時は足をまず突起のようなホールドに置くと楽になる。核心は右手を出したくなるがそれだと距離が出ないので、左手で取りにいくとぐっと楽になる。デッドではなく、ほぼスタティックでカチを取れた。そして第2の核心、細かいカチを繋ぎ最後は水平クラックに足をねじ込んで遠いガバへ。完登に4便もかかってしまったが、まあそれが今の自分の実力なのだろう。
 この日は荻原さんも狙っていたルートを見事完登。平日に来た甲斐があったというものである。内田さん、石毛さんも各々トップロープで課題をこなし、充実した一日を過ごすことができた。

チェシャネコをRPした荻さん  話は例会とは逸れるが、自分がこの冬に足しげく通った城ヶ崎は日本を代表するクライマーでもある杉野保さんのホームグランドといっても良いエリアである。杉野さんはルートの開拓や寄稿文を通して、クライミング界への貢献はもとより、そのキャラクターも相まってクライマーに愛されていた。
 自分を含めて三峰にも薫陶を受けていたファン?は多く、CLIFFの講習を通してクライミング技術はもとよりクライミングへの情熱、楽しさ、そしてチャレンジする精神など多くを教えてもらった。
 その杉野さんが3月5日にこの城ヶ崎で亡くなった。あまりに唐突に自分にとって(そして多くのクライマーにとって)拠り所と思っていた方を亡くし、未だにそれをどう受け止めて良いのか分からない。城ヶ崎や瑞牆で登っていると、ひょっこり現れるのではないかと思ってしまう。また、更新されていないのは分かっていてもついCLIFFのHPを見てしまう、そしてもう会えないのだと哀しい気持ちになる。
 クライミングを続けていくなかで、思い出などの記憶も残るべきものは残るし、残らないものは残らないのだろうが、時間が解決できないことをそのうち解決出来ればと思う。
 その時にもう少しだけ強くなっていたら(それが一番の問題だ・・・)。


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