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沢登り・柿其渓
梅田 尚子

山行日 2020年8月1日~2日
メンバー (L)清水、荻原、津田、高橋(史)、梅田

 沢を始めたばかりで、沢のことを何も知らない私だが、例会に出ている「経験者向け」と書かれていない沢については一通りググってみた。その中でひときわ綺麗で目を引いたのが柿其渓谷だった。柿其ブルーを一目見たくて、カナヅチにも関わらず、リーダーのKGさんにお酒の席で軽い気持ちで参加を申し出た。お酒が進み、お互いよく覚えていなかったが、結果なんとなく行けることになった。しかしKGさんは仕事の都合で来られなくなり、取りまとめ役としてのリーダーはみーこさん、遡行中のリーダーは荻さんが引き継いだ。その後、荻さんの厳正なる審査?を無事通過し、ライフジャケットを着用することを条件に、正式に参加できることとなった。

【8月1日】
 道の駅日義木曽駒高原で仮眠の前のプチ宴会。いつも通り盛り上がってしまい、最後はよこちんと二人でコンビニまで追加のお酒を買いに行ってしまった。しかも、最寄りのコンビニが想定外に遠く、結果的に睡眠時間わずか1時間という最低のコンディションで朝を迎えた。
 今年は梅雨が長引いたことにより、直前まで雨が降り続いていた。駐車場に向かう最中に車の中から見えた木曽川本流は白く泡立っており、この状況での遡行はさすがに無理かもしれないと思った。それでもひとまず現地まで行ってみる「三峰方式」により駐車場で準備をして出発する。
 林道を歩いていると、牛ヶ滝へ続く案内の看板があり、そこから登山道に入る。登山道から牛ヶ滝が見えて、「水多いね~」と言いながら滝を越えたところで入渓する。しかし、想像通りなかなかの水量となっていたため、巻きに巻いた。それでも少しばかりの遡行できる箇所では、きれいな水の中をぱしゃぱしゃ戯れながら楽しんで歩いた。
秘境「柿其渓谷」入り口  ねじだる入口まできたところで、この水量でこれ以上の遡行は難しいとの判断により、初日の遡行は早くもお終いとなった。時刻はまだ午前11時過ぎ。時間がたっぷりあるため、釜に飛び込みたくてうずうずしている男性陣にロープをつけて、ちょっとしたロープ講習。末端交換三角法という、ロープを2本使って確保する方法を学んだ。1本の場合、水の流れに逆らって引っ張るのは大変だが、2本だと引っ張ることが格段に容易になる。合理的なシステムだ。
 ロープ講習後、右岸のまあまあ悪いルンゼを登って林道に出てこの日は終了。林道に出ると、10m程上流側にねじだるに降りる整備された登山道の入口があり、翌日はこの登山道から入渓することになった。
 この場所は携帯の電波が入るので、KGさんへ連絡をしてみる。「明日も遡行するから、今から来てください★」と、精いっぱいの黄色い声でボイスメッセージを送る。しかし、我々の魅力不足からか、KGさんは一人で酒に浸り、来てくれることはなかった。
いい出汁が出る「ちちたけ」  駐車場に向かって歩いていると、キノコ目を持つよこちんが「ちちたけ」を発見する。傷を付けるとそこから白い汁が出てまさに乳のよう。身は美味しくないけれど、いい出汁が出るんだとか。自分の中の真っ白なキノコ図鑑に「ちちたけ」という新たな1ページが加わった。
 駐車場で着替えた後にマルトシ生鮮食品館で酒と食料を買い込み、今夜の宿であるのぞきどキャンプ場に到着。このキャンプ場は、エリアによっては焚火が可能で、焚火好きな我々はもちろん焚火可能なバンガローエリアに宿泊する。ここは、薪と炭も購入できてとても便利だ。
 よこちん料理長特製の絶品白湯スープに花火にスイカに日本酒にと、夕方から盛大に盛り上がる。日本の夏を思い切り満喫したところで強烈な睡魔に襲われ、満足感に浸りながら焚火の傍で早々に撃沈した。

のぞきどキャンプ場で乾杯

【8月2日】
 朝起きたら、料理長が昨日のスープにお米を入れて、これまた極上の中華粥を作ってくれていた。あまりの美味しさにたくさんおかわりをして、お腹を膨らませたところでいざ出発。
 昨日の続きで、ねじだるに続く登山道を下る。昨日よりも水量は少なくなっていたが、それでも平水と比べると水量は多く、メンバー的に(というより私がいるので)遡行は難しいとの判断で、ねじだるは巻いた。
(私以外)泳いで突破!  しばらくすると両岸が高くなっていて柿其ブルーが一際映えるエリアがあらわれる。そこの光景が幻想的で非常に美しく、思わず歓声があがる。「まるで絵葉書のよう!」「これが見たかった!」と全員大興奮。ここは足がつかないが、水の勢いがゆるやかだったので泳いで突破する。とはいっても私は泳げないため、よこちんの厚意に甘えて引っ張ってもらうことになった。ただ引っ張ってもらうだけでは申し訳ないので、少しでも加勢しようと仰向けになって足をバタバタしていたら、それは「ラッコ泳ぎ」だと教えてもらった。
 続いて、足はつくが流れが強い箇所に差し掛かり、全員でスクラム渡渉をした。しかし、端のみーこさんとその隣の小柄な津田さんが浮いて流されそうになってしまう。ここは荻さんとよこちんが助けに入り、事なきを得た。渡渉の際、みーこさんと私はライフジャケットを着用しており、それが原因で体が浮いて足の踏ん張りが効かなくなってしまっていた。ライフジャケットは泳ぐときには便利だが、渡渉の際には逆に危険となってしまうことを知った。
 少しずつ進み、ようやく霧ヶ滝に到着。迫力満点で圧倒される。荻さんの当初の計画では、条件が整っていれば登るつもりだったが、ん~これはどう考えても無理!
 というわけで、今回はここまで。来年、続きをやりに再訪したい。

徒渉も経験できました2人のリーダー、おつかれさまでした!

〈コースタイム〉
【8月1日】 駐車場(7:30) → 牛ヶ滝(8:00) → ねじだる(11:00) → 林道合流(12:00) → 駐車場(12:30)
【8月2日】 駐車場(8:30) → ねじだる(9:00) → 霧ヶ滝(12:00) → 駐車場(12:30)

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