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沢登り・葛根田川~大深沢
古屋 純
軽部 剛
眞鶴 哲郎
CHIAKI

山行日 2020年7月23日~26日
メンバー (L)古屋、軽部、眞鶴、深谷

【7月23日】(記録:軽部)
深い森とエメラルドグリーンの水  前夜、運転を交代しながら移動して6時前に滝ノ上温泉に到着できた。地熱発電所を過ぎて、堰堤の先から入渓するとしばらく河原歩き。薄曇りだが朝の渓は気持ちがよい。
 1時間ほど歩くと両岸が狭まり、沢の色が深い緑色になっていきお函に到達した。お函でゆらめいているイワナを見られるか楽しみにしていたけれども残念ながら魚影はなかった。
 葛根田大滝では大休止ついでに竿出しした後、左岸を高巻き、沢が開けてきた辺りからはのんびり思い思いに遡行した。
 ビバーグは滝ノ又沢出合。夕飯はChiakiさんのちらし寿司やコロッケ、塩焼きと美味しく食べて飲んで気持ち良く就寝しました。

大滝下段にて言うことなしの幕場

【7月24日】(記録:深谷)
 今日の行程は北ノ又沢の十字峡までの予定。
 昨日は、予定していた幕場の手前で1日を終えた為、今朝は4時の起床。まだうす暗い中、朝食を作り早々の出発となった。
 そして、北ノ又沢まで竿出し禁止令も出た。今日は長い一日になりそうだ。
 滝ノ又出合からは小滝が続き、すぐに二俣となり左俣に入る。10m滝を超えると水量が減り、1時間弱で予定していた幕場を通過。
 920mの二俣を右俣に入り、更に1時間ほどで15mの滝。トポの通り左側のルンゼを登って、トラバース気味に滝上に出る。
 次の8mの滝は右側のバンドを登った後、草付きを登るのだが、ロープを出してもらった。
 ポチポチ雨が降ってきて、雨具を着込んでの藪漕ぎでバテるのを心配したが、大した藪漕ぎもなく湿原にでた。
 湿原に出ると、いつのまにか小雨になり、ニッコウキスゲとクルマユリが咲いて爽やかな風が吹いていた。
 5分ほどで八瀬森山荘に到着。小屋で休憩をしているうちに、雨が止み青空が見えてきた。

森の妖精?大深沢への下降

 小屋の東側の低地から谷を目指して下り始めると、徐々に水量が増してくるのだが、岩がぬるぬる滑って歩きづらい。
 いよいよ水量が増えて、沢らしくなってくると魚影が出てきた。
 後を歩くKは何やら岩の淵に手を入れてガサガサと探っている。それもニコニコ嬉しそうに。
 う~ん、岩魚を手掴みってかなり厳しいと思うんだけど・・・
 ただ、まるで少年のような屈託のない笑顔でガサ入れしてるオジサンは妙に可愛い!
 と、しばらくするとKはザックを置いてガサゴソと。ついに竿を出すのかと思いきや、なんとスイムゴーグルを出してきた。
 これ以降、気になる淵があると頭を水中に突っ込んでは覗き込んでいる。
 私「それで岩魚見えるの?」
 K「見えますっ!これくらいのがっ」
 私「岩魚いるの?」
 K「いますっ!でかいのが2匹っ」
 こんな会話を何度かしていると、やっと関東沢出合で竿出し解禁。
 まずは、早々にMが刺身サイズを吊り上げ、次にリーダーがテンカラでヒョイと釣り上げた。テンカラ釣りの釣れる瞬間が見えて感動。なるほど三峰のテンカラブームがわかる気がした。
 北ノ又出合は、明るく開けた河原になっていて、1組がタープを張っていた。
 釣りキャンプには最高の場所と思われたが、時間は午後2時になっていたので、その先を急ぐ。
 くたびれてきてヨタヨタと北ノ又沢を歩く私の後ろで、Kは沢に頭を突っ込み岩魚観察をしながら余裕の歩き。K、オモシロ過ぎるよ。
ナイアガラの滝  北ノ又出合から1時間ほどでナイアガラの滝。
 水量が多いせいか、写真で見たより圧巻の滝で感激!
 滝の中央左側をリーダーのリードで登ると、ナメがひたすら続く。
 このナメがとても美しく、疲れが一気に吹き飛んでしまったくらいだ。
 16:00十字峡到着。
 北ノ又左岸の幕場は先客が居たので、仮戸沢右岸に幕を張る。
 焚火と夕飯の支度をしている間に、男性陣は釣りに出かけ、本日も大漁。
 今宵も刺身、塩焼き、ムニエル、フライにと岩魚三昧に麻婆茄子と豚汁。
 Kは、なんと一升瓶を担いできてみんなに酒を振舞ってくれるので、酒も十分にある。
 今日も至福な1日が過ぎていった。
 3人に常にフォローして頂きながら、本当に楽しかった4日間。
 こんな贅沢で素敵な沢旅をありがとう!

焚火を囲んで

【7月25日】(記録:眞鶴)
 昨夜は大深沢十字峡(992m)の仮戸沢側に泊まった。
 天気予報は良い意味でハズレ、朝も雨に降られず5:00起床。朝飯はお洒落なミネストローネを美味しく頂いた。準備をして行動開始。この時に軽部さんがエイトカン、ATCを拾っていた。
 遡行し始めてすぐに右側に滝がきて、左側からトポにはない滝が出合っている。地形図で恐らくここだろうとみる。滝を登ろうと試みるがザックを背負ったままだと厳しそうなので少し下り左岸から高巻くことにしたが、傾斜があり泥壁で悪い。木やネマガリを掴んで上がり、少しトラバース、懸垂下降なしで滝の落口ちょっと上に降り戻れた。
 しばらく、ナメ、小滝、釜が続いた。
 ある釜?淵?で、軽部さんの水泳ゴーグルを掛けて4人変わりばんこに水中で岩魚はどこで何をしているのか覗く、という面白可笑しい時間が流れた。
 前日の八瀬森山荘から大深沢への下降途中では軽部さんひとりで水中覗き遊びをしていたが、他の3人も結局は覗いてしまった。岩魚の位置を確認して岩魚の鼻先に毛鉤やら餌やらを落とせば釣れるよね?楽しく画期的なので次回からの沢装備必携品に入れる事にした。
 ナメからゴーロに渓相が変わり、小滝の連続になり、約1,200~1,300m辺りは一気に高度を上げ息も上がった。岩がヌメっていて気をつけながら足を置かないと滑ってしまう。小滝連続が終わると沢は源頭の雰囲気になった。沢は肩幅分の細さとなりあちこちから流入しているよう。
 休憩しながらルート取りを確認した。左岸の上に出ると湿地帯?に綺麗なお花が咲いている風景が広がっていた。池塘もあった。歩きやすい右側へ導かれそうになるが、目的地の大深山荘の方角は左側。なので地図にコンパスをセットし藪漕ぎスタート!藪漕ぎしてた時間は1時間半もなかった。事前にイメージしてたよりも早く大深山荘に到着できた。ここで先頭で藪から山荘前に這い出たのが眞鶴だったのはいけなかった。こういう気持ち良い瞬間(らしい)はリーダーが味わうべきもの。まぁ藪漕ぎも面白いかもしれないと少しは思い経験値がまたひとつ増えた。
 小屋へ数mも外さずドンピシャのナビゲーションはさすが古屋さん。
 大深山荘では今朝、十字峡で挨拶したパーティーが東ノ又沢から既に到着していて、情報交換しながら休憩した。

湿原とニッコウキスゲなかなかの藪漕ぎ

三ツ石山荘と湿原  あとは一般登山道から三ツ石山荘まで歩いた。本当にたおやかな山域だった。三ツ石避難小屋に到着。小屋の周辺は沼のようになっていて、水場も徒歩5分もない位置にあった。ここ無人避難小屋だが中も外もワックス掛けされてるかのような綺麗さでビックリした。地元の有志の方々が手入れされているのだろう。
 夕飯のカレーと味噌汁を頂き広々とした小屋で21:00各々就寝した。

【7月26日】(記録:古屋)
 最終日は滝ノ上温泉に降りるだけなので、目が覚めたら起きよう!と目覚ましもセットせずに昨夜は就寝した。最終日の朝食は個食だったが、今回その他の食当はすべてちあきさんにお願いしてしまった。おかげで初日から念願の岩魚のちらし寿司!(絶品!)を食べることが出来、期待していた釣果も上々、最終日にはキノコも少々、変化に富んだ渓の美しさも相まって大満足の沢旅となった。

葛根田大滝岩魚のちらし寿司!

 いつか行ってみたいと思っていた葛根田川~大深沢、メンバーや天候等、今回色々なタイミングが上手く重なって行くことが出来た。またいつか季節やルートを変えて来てみたい。そう思わせるほど素晴らしい沢でした。メンバーの皆様ありがとうございました!

〈コースタイム〉
【7月23日】 滝ノ上温泉(6:20) → 入渓点(7:00) → お函(9:15) → 葛根田大滝(10:50~11:50) → 滝ノ又沢出合(15:00)
【7月24日】 滝ノ又沢出合(5:50) → 二俣(6:00) → 15m滝(7:55) → 八瀬森山荘(9:55~10:35) → 関東沢出合(11:40) → 北ノ又沢出合(13:55) → ナイアガラの滝(15:10) → 十字峡(16:00)
【7月25日】 十字峡(6:20) → 大深山荘(12:50~13:50) → 三ツ石山荘(17:30)
【7月26日】 三ツ石山荘(8:00) → 滝ノ上温泉(10:00)

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