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沢登り・大源太川北沢本谷
梅田 尚子

山行日 2020年6月20日~21日
メンバー (L)荻原、野畑、清水、宮本、小芝(麻)、梅田

 昨年の初夏に三峰に入会したが、その頃は他の予定が詰まっていたため、沢デビューは翌年にお預けとなっていた。そして、待ちに待った2020年の初夏!待望の沢デビュー!のはずが、コロナ禍で予定が吹っ飛び、自粛明け一発目のこの山行が沢デビューとなった。しかし、自粛生活の弊害で体力が地に落ちているため、なんとなくノリで?乗り切るなんてこともできない。不安な気持ちでいることをリーダーの荻さんに正直に打ち明けたところ、「体力に不安があるくらいだったら、全然連れていくよ」という、何とも力強いお言葉。その言葉に甘えまくって参加を決め、実際にとても力強くサポートして頂いた。

【6月20日】
幸せなひととき  この日は登山口近くの入渓地点傍で幕を張るのみ。午前中が雨予報だったこともあり、東所沢駅10時と遅めの集合でのんびり出発。登山口駐車場に着いたころには、雨は上がっていた。入渓地点までは登山口から15分程度である。第2渡渉点のすぐ先の右側に開けている場所があり、そこを幕場とすることにした。
 ばた子さんは焚火のそばで寝るのがお気に入りのようで、他の5人が並んで寝られる場所にタープを張った。直前までの雨で薪が全体的に湿気っていたが、先輩方が見事な手つきでいとも簡単に火を起こしてくれた。薪は太さ毎に分類する、始めはあおがない、燻ってきたら葉っぱをかぶせて蓋をする、といった焚火のテクニックを学んだ。時間がたっぷりあるので、夕食時まで各々好きなことをして過ごす。私は購入したてのテンカラ竿をぶんぶん振ってみたが、枝と葉っぱを絡ませただけだった。テンカラで魚を釣れるまでの道のりは遠そうだ。
 この日の夕食はみーこさん特製のジャージャー麺。前評判通り、みーこシェフの料理は絶品である。この他にも、各人が持ち寄った食材を木の枝に刺して、焼いて食べる。右手に木の枝、左手に日本酒。これ以上ない至福の時である。明日は登らなくてもいいんじゃない?そんな気持ちが頭をよぎる。しかし、そこはみんな山ヤ。21時半にはパラパラと床につきはじめ、22時には完全就寝となった。

【6月21日】
明るく綺麗な沢  4時起床。朝食はエデン作のカレー。ごろっとした大きめの茄子・アスパラ・ウインナーがアクセントになってとても美味しい。ばた子さんが早起きをして米を炊く準備をしてくれていたのも本当にありがたい。しっかりとエネルギーを補給できた。
 タープを撤収して、代わりにテントを張り、テント内に荷物を残置。日帰り装備で6時に出発した。天気は快晴。いいスタートだ!
 しばらくはゆるゆると沢を歩くが、ヌメって滑るためうまく歩けない。滑るのが怖く、手を使いながら一人だけ四足歩行気味に奇妙な動物みたいな感じで歩を進める。この調子で果たして今日中に降りられるのだろうかと不安になったが、焦って怪我をしたらお終いなので慎重に(四足で)歩いた。
 小さな滝が現れる度にお助け紐を出してもらって乗り越える。そして、初めて見る大きめの滝。ひょえ~!と興奮する間もなく、滝の右側を先頭の荻さんがひょいひょいと登る。同じようにすれば登れるのかと思い真似をするが、途中でつるつるの箇所があり、すぐに行き詰まる。お助け紐を出してもらい、岩にしがみつきながらなんとか乗り越えた。
少し緊張したフローティングロープの初体験  続いて現れた滝手前の釜。右側をへつって行こうとするが、明らかにつるつるなため自分には無理。荻さんに続いてエデンが2番手で渡り、そこからフローティングロープを出して引っ張ってもらう。困難な箇所は、荻さんとエデンの超強力な2人のタッグにより女性陣4人を先導するというシステムがここで確立された。
 滑りそうな場所では怖くなってすぐに躊躇してしまい、その度にエデンがアドバイスをくれた。それらの的確なアドバイスには本当に助けられたが、エデンが教えてくれる「ガバ」は全く「ガバ」じゃないことだけは、気を付けなければいけなかった。
 その後もいくつもの滝とぶつかる。シャワークライミングも経験できたが、前日までの雨の影響で水量が多く、爆流となっている箇所は高巻いた。
 懸念材料のひとつであった雪渓は、暖冬の影響でその量はかなり少なく、全く問題なくあっさりと回避できた。
 今回の一番の核心は、中盤に出てくる2段25m滝。ここは途中から右側のリッジ状の岩を登ることになるが、高度感満点でとてもスリリングだった。ロープを出してもらい取り付くが、途中に泥付きの部分があり、すべるすべる。ちなみに特に怖いと思う場所にはハーケンが打ってあった。
 チムニー滝は滝内部がヌメヌメテカテカしており、水量も多かったため、右側を巻く。そうこうしているうちに水量が少なくなり、乾いたスラブ帯に突入した。ここはラバーだとフリクションが抜群にきくのでかなり快適だが、フェルト組は非常に大変そうだった。下部はヌメっているが、最後のスラブ帯のことを考えるとラバーの方がよさそうだ。また、スラブ帯の分岐で、下から見ると右側の方が一見傾斜が緩くて良さげに見える箇所がある。しかし、そのまま右側に突っ込んでしまうと、手がかりがなくなって詰んでしまうので注意が必要だ。

登る!登る!登る!快適なスラブ帯

 スラブ帯の途中に数か所の藪漕ぎをはさみ無事に登山道に合流。これが詰めってやつか~!と感激。すぐそばに山頂が見えるが、気持ちが満たされてしまっていたからか、山頂に向かったのは荻さんとマキさんのみ。2人が戻ってきてから、ヤスケ尾根で下山を開始した。時刻は16時をまわっていたが、自粛の後遺症もあり、自分を筆頭に亀のようなノロノロ下山。それでも日が長いことに助けられ、ヘッデン下山をなんとか免れて19時に駐車場に戻った。
 下山後は「駒子の湯」に立ち寄り汗を流す。女子風呂ではアザだらけの足を見せ合い、わいわい盛り上がる。時間が遅かったので夕食はコンビニでサクッと済ませ東所沢駅で解散した。

【感想】
 今回の沢は何もわからないまま参加させてもらって、完全な足手まといだったが、リーダーの荻さんをはじめ、先輩方には何から何までサポートしていただいた。こんな役に立たないスーパー初心者を上まで連れて行ってくれた、その懐の深さには本当に感謝しかない。経験を積んで、できることを少しずつ増やして、自分もパーティの一員として貢献できるようになりたいと思った。
 また、ピークを踏まなかったことを今更ながら心残りに感じているので、ピークを踏みにまたいつか大源太山に行ってみたい。ちなみにブヨに顔面を刺されまくって、翌朝は何者かにぶん殴られたみたいにボッコボコに腫れ上がっていた。次回はブヨ対策を万全にしていくつもりだ。

 あ~やっぱり山は楽しい!!!

〈コースタイム〉
【6月21日】
幕場(6:00) → 登山道合流(15:35) → 下山開始(16:00) → 登山口駐車場(19:00)


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