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雪山登山・麦草岳
芦川 佳子

山行日 2020年2月29日~3月1日
メンバー (L)千葉(快)、野畑、大田、杉本、鈴木(一)、芦川

 麦草岳という山の名前は今回の例会山行で初めて知った。調べてみると木曽駒ヶ岳の裏手にあり展望が良い山とあり、避難小屋に薪ストーブがあるそうだ。これは面白そう、ぜひ行きたいと思い参加させてもらった。

【2月29日 曇り】
 出発地点のコガラ登山口から麦草岳が綺麗に見え、今日宿泊予定の7合目避難小屋も小さく見えた。今日はひたすら急登を1,200m以上登る。途中ラッセルになるかもしれない。なるべく荷物は軽くしてきたつもりだが、ちゃんと避難小屋にたどり着けるか心配になってきた。リーダーの千葉さんがゆっくり行ってくれると言って安心した。
 登山口から幸ノ川渡渉地点までは平坦な道でアイゼンは不要である。渡渉地点も大きな目印があるので迷うことはない。渡渉後がいよいよ急登の始まりで、ここでアイゼンを着けた。アイゼンを着けると荷物は軽くなるが、足元は重くなり、歩き方も気を使う。しばらく登っていくといきなり4合目の標識が現れた。覚悟していたほど急登も凄くなかったし、ラッセルも不要で、あっという間に着いて気が抜けてしまったが、山での何合目というのを信じてはいけないことをこの後思い知る。
力水  4合目から、力水が出ているという4合目半までが本当に長く感じた。標識が出てこないか何度も角を曲がるたびに前を確認したが中々出てこない。4合目から40分ぐらい歩いたらやっと力水の標識が出てきた。ラッキーなことに力水が少しだが湧き出ていてコップで汲んで飲んでみると、とてもまろやかで美味しい軟水だった。帰りは水量がとても少なくて飲める状態では無かったので、この水はぜひ飲める状態なら飲んでみることをお勧めしたい。それまでのバテバテだった私に力が湧いてきた。
 4合目半からが麦草岳の本当の急登の始まりである。それでも6合目付近までは、急登とは言ってもラッセルが必要なほど雪は積もっておらずまだ楽であった。
 6合目付近からはワカンを履かないと埋まってしまうため、雪上訓練でやったアイゼンワカンにして登っていく。ラッセルは鈴木さんが先頭に立ちガシガシと登っていってくれる。途中、私も先頭をやってみたが、どんどん雪に埋れてしまい前に進まず、体力だけが失われていく。ラッセルはコツと慣れだというが、まだまだ修行が足りない。途中、見晴らし岩あたりはワカンを履いての通過で慎重になる部分もあったが、なんとか目的の7合目避難小屋にたどり着いた。
薪ストーブを囲んでの宴会  さて、この山行の真の目的はこの避難小屋での宴会にある。なんと、この避難小屋には薪ストーブがあり地元の人が管理してくださっていて薪を補充してくれている。避難小屋入り口の雪を掘り出して、中に入ってみると中はとても綺麗で薪もたくさんある。早速、小屋を温めるため薪ストーブに火を入れる。今回の薪ストーブ番は野畑さんである。薪ストーブの火をつけるのも手順が必要なそうだが、野畑さんは手際良く、薪をくべていきストーブの火が大きくなって小屋全体が暖かくなる。火がついたら宴会の始まりである。
 ししゃもやらチーズやらおつまみが充実して、薪ストーブで温めながらつまむ。千葉リーダーの新しいあだ名が付けられ、皆良い感じで酔いが回ってきて、夕飯は、当日、ご家族が高熱を出してしまい参加出来なくなってしまった三和子ちゃんが我々に持たせてくれた特製のキャベツとチーズの洋風チキン鍋を美味しく頂いて、20時に就寝する。就寝中も野畑さんがストーブに薪をくべてくれていて、夏用のシュラフでも充分なぐらい暖かく、快適であった。

【3月1日 晴れ】
 翌日は、避難小屋に荷物をデポして麦草岳山頂を目指す。アイゼン、ワカンをつけて7時に避難小屋を出発した。先頭は千葉リーダーがやってくれたが、ラッセルしているとは思えないほど軽々と進んでいく。私は千葉リーダーの後ろについていたが、ラッセルをしていないのに全く追いつけない。私は後ろに回してもらい皆さんの後を歩いていく。全く役に立てずに申し訳ない。樹林帯を抜けたところでワカンを外した。しばらく素晴らしい眺望で気持ちの良い稜線を歩くと、大きな岩があった。岩付近は切り立っているので慎重に歩いた。行きは右側から巻き、帰りは左側から巻いた。駒石を過ぎてしばらく歩き、麦草岳の山頂に着いた。なんと言ってもこの日は四方を見渡せる晴天であり、風もさほど強くない絶好の登山日和であった。山頂でたくさん写真を撮り、20分ほど山頂に滞在した後、避難小屋まで下山した。

麦草岳山頂にて四方を見渡せる絶好の登山日和

 避難小屋を掃除してから下山を開始した。下山は行きにつけたトレースが残っていたため、みんな無口になりひたすら下り、2時間半で下山した。
 結局、帰りに山菜取りのご夫婦にしか会わなかった。麦草岳は静かな見晴らしの良い素晴らしい山であった。
 最後に今回の山行を企画してくれた千葉さん、ご一緒いただいた皆さん、そして避難小屋を整備してくれている地元の皆さんに感謝申し上げる。本当に楽しい山行でした。ありがとうございます。

〈コースタイム〉
【2月29日】 コガラ登山口(7:30) → 福島Bコース(7:35) → 幸ノ川渡渉地点(8:58) → 4合目半(力水)(10:00) → 5合目(11:00) → 木曽駒ヶ岳7合目避難小屋(13:13)
【3月1日】 木曽駒ヶ岳7合目避難小屋(7:08) → 麦草岳(9:07) → 木曽駒ヶ岳7合目避難小屋(11:00) → 幸ノ川渡渉地点(13:05) → コガラ登山口(13:30)

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