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沢登り・大倉川笹木沢
荻原 健一

山行日 2020年8月22日~23日
メンバー (L)荻原、金子、永岡、和田

 この沢は昨年、一昨年と2年連続で車から徒歩0分の柳沢小屋・宴会敗退で終わっている。まぁそれはそれで結構楽しかったのだが、さすがにそろそろちゃんと遡行したいと思い、今年も懲りずに例会山行として計画する。今回もぎりぎりまでは悪天予報で危ぶまれたが、直前になって予報が好転。期待を持って遠路はるばる山形県の東根市まで夜通し車を走らせる。
 仮眠後の翌朝、事件が発生。リーダーのO氏(私です)がロープを忘れたことに気付く。手持ちのトポには30m 2本でぎりぎりの懸垂下降の箇所があるので、1本をO氏、もう1本をKGが持ってくることになっていたのだ。せっかくの晴れ予報なのに今回はロープ忘れ敗退か!この沢にはつくづく縁が無いのかも?!と一時は騒然となったが、同箇所を高巻きで歩いて降りた記録を思い出し、ネットで検索すると複数の同様の情報が入手できた。ここさえクリアできれば、他は30m 1本で十分対応可能なのでこのまま入渓を決断する。この件でO氏(私です)は、「初老チーム」の会長に就任することになる。おめでとう!??

【8月22日】晴れ
 さて、そろそろ本題に入ろう。柳沢小屋の林道終点は船形山の観音寺コースの登山口になっていて10台以上停まれる駐車場になっている。ここで準備をしていざ出発。しばらく登山道を行き、楠峰の少し手前から登山道を離れ、金吹沢の下降に入る。大きな滝もなく、下降し易い沢だが、大倉川本流に合流する手前の10m滝は沢沿いには降りられず、懸垂下降も難しいのでトポの案内通り、左岸より高巻くと懸垂なしで出合に降りられる。

金吹沢の下降を楽しむレジェンド大倉川本流出合

釣り女王  本流に降りたとたん魚影が走り、メンバーは興奮気味だ。早速竿を出しながらの沢下りとなるが、テンカラ組(3名)は大苦戦で当たりすらない。一方、「釣り女王」と言う名称のぶどう虫で餌釣りをしている、わだっちには次から次へと大物がかかる。以後、彼女には「釣り女王」の称号が与えられ、テンカラトリオは彼女の下僕となる。本流は上流ほど魚影が濃いようで笹木沢に近づくにつれ反応は悪くなる。

居酒屋 三峰  笹木沢出合の15m滝は下調べした通り、左岸より高巻いて懸垂なしで歩いて降りられた。これでロープ忘れのO氏は無罪放免となり、テンカラ坊主のことなど忘れたように嬉々としている。笹木沢に入ってからもテンカラトリオの下僕生活と釣り女王の関係に逆転は起きず、むしろその差は拡がっていく。岩魚中毒の面々は暗くなる直前の17:30までしつこく格闘し、やがて右岸に現れた幕営適地で本日の行動を終える。焚火は良く燃え、昭和の演歌をBGMに今夜も居酒屋三峰はエンドレス・・・

【8月23日】晴れ
前衛滝8m  今日はいくつかの滝登攀があるが、昨夜は大いに飲んで食べたので今日の背中は軽やかだ。しばらくぶりで登れない8m滝だが、ここは予定通り右岸巻き(懸垂あり)、すぐの8m滝は左壁から簡単に越え、大滝(鎧滝)前衛の8m滝は右から空身で登る。ホールドが細かいとあったが、普段クライミングをしていればどうということは無い。これを越えるといよいよ鎧滝30mがその姿を現す。なかなかの迫力だが、登攀自体は簡単。落ち口の2-3mが滑りそうだったので左の灌木を使って登る。
 その後も滝はあるがどれも簡単に直登できる。そして岩魚はまだまだ走る。ナメ滝は美しく、周囲のブナ林は心を平らかにしてくれる。思っていた以上になかなか素敵な沢である。源頭歩きに飽きてきたころ藪漕ぎなしで仙台カゴあたりの登山道に出て終了となる。

鎧滝30m美しいナメが続く笹木沢

 3年目にしてようやく遡行が完結したわけだが、テンカラ坊主の宿題が残ってしまった。この沢はまだまだ終わりとはならないようだ。4年目、5年目も今から楽しみだ。

〈コースタイム〉
【8月22日】 柳沢小屋林道終点(8:00) → 仙台カゴ(9:00) → 大倉川本流出合(12:00) → 笹木沢出合(16:00) → 幕場(17:30)
【8月23日】 幕場(7:00) → 仙台カゴ(13:30) → 柳沢小屋林道終点(14:30)

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