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【集中山行】沢登り・石筵川
高橋 史生

山行日 2020年9月26日~27日
メンバー (L)荻原、眞鶴、梅田、木村(咲)、高橋(史)

 安達太良山は福島県中部にある日本百名山で、東北方面の山行に行く時によく眺めていた山だった。去年は、何故だったか忘れたが集中山行には参加していなかった。しかし、今年は荻原さんと沢に行きたい!!とルートも確認せずに手を挙げたのである。

【9月25日】
 22時に東川口に集合、梅ちゃんからは、お酒を吟味していたので少し遅れるとのLINEが・・・彼女らしいな~時間を忘れるほどの酒愛!素晴らしい!しかし、梅ちゃんも殆ど遅れることなく到着して無事出発した。車の中で木村さんから衝撃の告白が・・・「沢靴忘れた・・・」「えっ!!??」それヤバイだろって思っていたら、荻さん「靴下履けば大丈夫」「??」靴の上から靴下履けば、沢靴になるよって事らしい。難しい沢なら無理だけどって。全員なるほど~となっていた。きっと荻さんも忘れた事があるのだろう。

【9月26日】
登山口看板 よく見れば左に道がぁ  母成グリーンライン沿いに広い駐車場があり、道路を挟んだ向かいにある大きな看板に安達太良山登山口、銚子ヶ滝入口と書いてある。雨がポツポツと降り始めた。看板から少し離れた場所にゲートがあり、そこを越えて林道に入った(下山時に分かったのだが看板の横を通る道があって、そこを通るとショートカット出来る)。林道は舗装されていて、その横はダケカンバの木が生える森になっている。少し前の山行でキノコに取り付かれた梅ちゃんとキノコ大好きな私はキョロキョロしながら歩いた。目論見どおりタマゴタケを発見!!何時見てもかわいい。夕食も少し豪華になりそうな予感?
 暫く歩き和尚山へ向かう登山道と滝の下に出る道の分岐に到着した。小さな蛙やかわいらしいキノコを観察しながら和尚山方向に進んでいくうちに、雨でパッとしない気分も少しずつ晴れてきたのは、気のせいか・・・。
 9時頃、登山道が沢を渡る場所から入渓した。ここで、木村さん靴下を装着したが、なかなか面白い感じになっている。恥ずかしそうに笑う顔が印象的だ。暫くは、大きな岩がゴロゴロのゴーロ歩き、2~3mの滝が幾つかあるが、遡行図に描いてあるのがどの滝を指しているのかよく分からないほど滝らしい滝は無かった。11時頃この沢の核心と思われる2段20m幅広の滝が現れた。結構見ごたえのある滝だ。

入渓点で恥ずかしそうに靴下を履くサキちゃん2段20mの滝

眞鶴クンがリードしてくれた  ここでロープをだし眞鶴君のリードで右壁を直登する。少しいやらしい部分があって残置ハーケンが何枚か刺さっていたようだが、登るのに必死だった僕は気が付かなかった・・・。ここで、少し前に折った指がパキッと音を立てた・・・痛い・・・やってしまった。2段目は右を快適に登れた。この滝を越えると気持ちのよい滑が続きここで休憩。気付くと雨も止んで少し空が明るくなってきたような・・・この辺から竿を出して岩魚を釣る。チビちゃん1匹・・・こけて竿を折ってしまう。岩魚の呪いと思われる。
 13:00(1,175m)左岸から枝沢が差している。幕場まで300m程度。2段8mの滝を越えて暫く行くと右岸に一等地の幕場が現れた(翌日分かったが、この先の滝の上にも良い幕場があった)。幕場に着くと早々に前々から準備していた甑峰(コシキミネ)という日本酒を出した。甑峰とは昔の安達太良山の呼び名だったそうだ。集中山行がこの山に決まった後に福島の沢に行った。偶々見つけた酒だったが、これは絶対に持って行こうと、飲むのを我慢しまくって一升ビンを担いできたのだ。自慢げに出したが反応は思ったほど無かった・・・。
 晩飯を作ったりしていると、釣りに行った眞鶴君が見事一匹釣り上げて帰ってきた。テンカラでの成果は素晴らしい!!
 夕暮れに雨がまた降り出したが、焚き火が出来ないほどでもなく靄がかかりオレンジのタープとロープに架けたランタンが妙にグランピング感を匂わせるが、そう感じるのは山屋だけだ(普通の人が見ればただの野宿だ)。今頃、他の隊も夕暮れの安達太良山を感じているかなと、明日の集中を想い胸が高鳴るのを抑えながら、酒を飲みきることなく眠りについた。

チッコイ岩魚をキープ...呪われてこの後竿を折る...滝を登ると小規模だが美しい滑
グランピング感のある幕場の雰囲気とても良い幕場でした

【9月27日】
 6:30幕場を離れた。今日は特に大変なところは無いとの荻さんの言葉、昨日釣りあげた眞鶴君にどこで釣れたなんて話をしながら20分ほど行くと10m幅広滝(1,268m)が現れた。特に難しく無く右水線沿いを快適に登る。朝は水が冷たく飛沫がかかるのが少し嫌に感じる。夏なら気持ちよく感じるのに・・・等と考えてしまう。
 7:20(1,296m)正面に左から入る枝沢、右に向かう。10mの滝を過ぎてからは河原歩きと小規模な滑が続く(1,386m)。遡行図には最後と書いてある二俣を右へ行くが直ぐに二俣が現れ、これも右に行く。この辺りで一度休憩し水を汲んだ。

暫く行くと最後の滝らしい滝 10m二俣を右に進む、大分沢が細くなりました

藪から開放された瞬間の梅ちゃん 会心の笑顔  沢も細くなりいよいよ詰めだ。数100m行くと直ぐに水は無くなり笹薮に囲まれた粘土質の窪みへと変わった。1m程の段差も滑って笹をしっかり掴まないと足がつるつる滑って体を持ち上げられない。次第に窪みも消滅して完全に笹薮こぎになった。4番目を歩いていた私は楽チンだったが、荻さんの後ろを歩いていた梅ちゃんは大変そうだったので、途中で交代したが、荻さんはパワフルに登山道まで1時間トップを歩いてくれた。恐ろしい体力だ・・・。
 10:00(1,557m)安達太良山~和尚山に続く登山道に到着した。藪から出た時のメンバーは最高の笑顔だった。集合時間20分ほど前に到着、山頂は風が強く濡れネズミの我々は寒くてしょうがない・・・。続々と他の隊が集まってくる。永岡さんを探し少し酒の残った一升ビンを押し付ける。11:20最後に到着した隊を含めて記念撮影。全パーティーが終結し最高に盛り上がったところで、早々に下山を開始した。寒くていられない。
 下山は和尚山を経由して下る登山道で降りる。水が無くなると弱る河童体質な私は、どんどん遅れていく・・・。眞鶴君が後ろから元気付けてくれたおかげで、何とか頑張る事が出来たが、本当に情けない。
 13:00(1,630m)和尚山ピークから登山道を下り始める。どんどん天気が好転して青空が見え始め疲れをいやしてくれた。途中、アカハツタケやマスタケ、アカヤマドリ、タマゴタケを取りながら楽しく下山していき、ダケカンバが多くなっていく。山行の終わりを感じ寂しくなった。15:00入渓点、16:00駐車場に到着し初参加の集中山行は終わった。
 石筵川は難しいところも無く日帰りも出来る沢らしいが、素晴らしい幕場があり一泊で行く事をお勧めしたい。春に来れば山菜も取れそうなので、機会が有れば来てみたいなと思う。とても愉快で爽やかなメンバーとパワフルな面白おじさんリーダーに感謝してこの記録を締めくくりたい。

山頂にて、サブイサブイダンス無事に集中後、和尚山に出発 !
和尚山・下山路分岐点 私のお尻破れています下山中に見つけたタマゴタケに夢中なサキちゃん
食べごろタマゴダケ無事下山して一服
〈コースタイム〉
【9月26日】 母成グリーンライン=銚子ヶ滝入口(8:00) → 銚子ヶ滝上より入渓895m(9:00) → 2段20m幅広滝1,046m(11:00) → 1,210m(幕)(13:50)
【9月27日】 幕場(6:40) → 下部二俣1,296m(7:20) → 上部二俣1,386m(8:35) → 登山道(10:10) → 安達太良山山頂(10:45~11:30) → 和尚山1,630m(13:00) → 入渓点(15:00) → 銚子ヶ滝入口駐車場(16:00)

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