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沢登り・屋久島の沢
その2 安房川北沢右俣~宮之浦岳
BATAKO

山行日 2021年5月2日~4日
メンバー (L)Kaisei、津田、BATAKO

【前日まで】
 4/29から屋久島に入り、4/30は淀川中俣に日帰りで行った。5/1は大雨予報だったため、当初安房川北沢右俣遡行・左俣下降で3泊4日だった予定を、右俣遡行・登山道下山2泊3日に変更。5/1は屋久島を1周ドライブし、Kaiseiくんの希望で浜辺で貝殻拾いをしたり、某沢登り夫婦が登ったという大川の滝を見学したりする。宮之浦の民宿でお世話になり、5/2の朝から安房川に入った。

澄んだエメラルドグリーンの水流 【5月2日】晴れ時々雨
 4時に出発し白谷雲水峡へと向かい、5時前には登山口を出発した。入渓点まで登山道を3時間半も歩く。できるだけ急いで進みたいが、整備されたトロッコ道はツアー客が団子状態。8:30にようやく大株歩道入口に到着し、登山客から不思議な目で見られながら沢装備を身に付け、8:50に小屋裏から大杉谷と安房川北沢の二俣へ入渓した。
 右俣に入ると、初っ端から美しい景観。

第1ゴルジュ入口  しばらく巨岩のゴーロ帯をラバーのフリクションで進んでいくと、谷が狭まり5mほどの滝が出てきた。ここからが第1ゴルジュの始まり。

F11 30m滝。圧倒的!  他人様のブログの記録を頼りに、1,100mまで徐々にあがりゴルジュ終わりまで一気に巻く。私の頭の中では、それが最短ルートだった。途中ところどころで林業用なのか白テープが木に巻いてある。それを追っていけるところまでは良かったが、じきそれもなくなった。リーダーは沢筋が見えるところで様子を見つつ進もうとのことで、降りたりまた登り返したりを繰り返す。途中、雨が降り出し雹になった。Kaiseiくんのルート取りが微妙なときはなぜか雨が降るのだが、さすがに雹は初めてだ。結局2時間を費やし、第1ゴルジュを突破した。
 更に1時間ほどして遡行図上のF11と思われる30m滝に到着。左岸巻きで抜ける。

F12+13の下段  すぐにF12+13。30m以上はありそうだ。これだけの大きさなのに釜がなく、透明度が高い水の下には砂の床が見える。右側上は滑り台のようになっていて、水が跳ね落ちている。

BPからの夕暮れ  この滝を左ルンゼから越え、上のナメ床が広がる左岸の広い大岩の上を本日の幕場とした。多少斜めだが、貴重なビバークサイトであり、贅沢は言えない。ようやくほっと一息つき、温かいご飯を食べて床に就いた。

F17 【5月3日】晴れ
 予報通り寒波が来ていた。3時起床4時半出発と計画していたが、テントの外に出たら息が白い。こりゃ水に入りたくない、と出発時間を遅らせ、5:20に幕場を出た。
 この日も見どころが盛りだくさんだ。1時間ほどでまずはF17・30m3段。階段状になっている左側を登る。

F18  すぐに次のF18が現れる。これも20mクラス。ようやく沢にも日が差してきて釜がエメラルドグリーンに光って美しい。右岸を巻いた。

長い瀞の先にまた滝  側壁が定期的に抉れた独特の地形のミニゴルジュを巻いて越すと、長方形の瀞の先に、また滝が現れる。もう、このへんになるとF何番なんだかわけがわからないくらい、20~30mクラスの滝ばかりだ。そしてどれも直登できる感じではないので、滝を見て感動した後は、ひたすらにひたすらに巻く。また、水の透明度が高すぎて水深がよくわからない。うっかりこのような瀞や釜に入っていくと、意外と深い。

第2ゴルジュ入口 そうこうしているうちに第2ゴルジュ入口に到着。ここの巻きは急登の藪で手ごわいと書いてあったが、記録を頼りに、左から入る枝沢に入り、岩棚と草付きの境界から尾根筋に取り付いた。やがて現れる平らな岩棚の上から少し進むと、下降しやすそうな薄い沢筋を発見。こちらを降りると、簡単に沢へ復帰することができた。

コバルトブルーの釜  相変わらず越えるのが難しいCS小滝なども出てくるが、美しすぎる渓相に、みな笑顔だ。

宮之浦岳登頂  源頭に近づき沢が開けて傾斜が増してきても、まだまだ3~6mクラスの小滝が出てくる。最後はスラブをつなぎながら登っていき、いよいよ最大の難所といわれる詰めの藪漕ぎ100mに突入した。密集したヤクザサとシャクナゲ。Kaiseiくんが先頭で弱点を探しながら進む。津田さんと私はすぐ後ろにくっつき、Kaiseiくんの踏んだ笹をそのままお借りして空中遊泳。私と津田さんはのんきに歌を歌いながら(Kaiseiくんは疲れただろう)、1時間ほどで狙い通り焼野三叉路より少し上の登山道へ出た。
 まだ時間が早かったので、沢装備を解き空荷で宮之浦岳へ向かう。晴天で眺めが良い。さすが洋上のアルプス、360度の海と急峻な山々を一望できる。山頂で一息つき休憩してから焼野三叉路へ降りた。

【5月4日】晴れ
 本日は一般登山道の下山だけだ。とはいえ白谷雲水峡まではコースタイムで8時間半ほどあるので、5時には出発。途中、縄文杉やウィルソン株などのお約束ポイントでは登山者たちに交じってしっかり観光し、13:30には白谷雲水狭へ下山した。
 車で民宿へ戻り、居酒屋へ打ち上げに行く。屋久島は今回初めてだったが、首折れサバの刺身がどのお店でも美味しい。沢が終わった安堵感で、今日も酔いは早かった。

ウィルソン株でポーズ

【後日】
 翌日5/5は天気が荒れることはわかっていたが、最終便の飛行機の時間まで、せっかくなので島内のショップ巡りをする。木製品屋や魚の燻製屋をめぐり、ジェラードを食べて一息ついていたら、津田さんが携帯を見て「飛行機欠航だって!」と一言。前の便の出発時刻までには間に合わない。急いでJALに電話し、前の便も遅れていることを聞いて予約を振替し、空港に向かった。空港では振替手続きとキャンセル待ちで1つしかないカウンターに大行列が。津田さんが携帯を見ていてくれて助かった。屋久島へ行く際は、プロペラ機なので天候に注意したい。

〈コースタイム〉
【5月2日】 白谷雲水峡(4:50) → 大株歩道(8:30) → 第1ゴルジュ入口(10:15) → ゴルジュ巻き終了(14:15) → 1210mBP(16:30)
【5月3日】 BP(5:20) → 第2ゴルジュ入口(9:20) → 藪詰め突入(13:00) → 登山道(14:00)/焼野三叉路(14:20) → 宮之浦岳(14:40) → BP(16:00)
【5月4日】 BP(5:00) → 白谷雲水峡(13:30)

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