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山スキー・東谷山
千葉 朋子

山行日 2021年2月11日
メンバー (L)荻原、永岡、佐藤(明)、斎藤(吉)、萩原、千葉(朋)

 ラニーニャでふかふかのパウダーを期待できそうなスキーシーズン20-21年が始まるころ、今冬は氷のようなハードバーンが自慢の小諸のアサマ2000をホームゲレンデに通い基礎スキーの練習に励もうと決めていた私は、巡り合わせに複雑な思いを抱えていた。そんなわけでシーズン初の山スキーとなったこちらの企画には日帰りながらも期待で胸を高鳴らせて参加した。東谷山は2017年のKGの例会で滑ったが雪が少ない冬で二居峠からクマササを板で踏みつけて登った“ヤブスキー”の思い出だ。
 前日2月10日(水)22:30東所沢を出発。当日の天気は風が強く吹雪になる予報。おぎさんからは、悪天なら貝掛温泉からのピストンに変更と予告されていたが、予報通り0時には仮眠場所の谷川SAのオレンジ色の照明のなかを雪が舞い始めた。朝まで降るようだったので貝掛温泉で最終判断することとなった。
 翌朝6時に起床し出発。関越トンネルを抜けると雪景色だ。風はあまりない。7時に湯沢ICを出てすぐのセブンイレブンであきらさん、モキチさんと合流し駐車場で朝食をとる。いつもの愉しいメンバーが揃った。セブンは、従業員がコロナに感染し1月中旬から2月上旬まで営業を休んでいた苗場とかぐらスキー場が今週再開したせいか、ひときわ賑わっていた。
 道中、日本雪崩ネットワークのウェブサイトをはぎさんがチェックしてくれて雪崩指数が2であることを確認。おぎさん曰く4以上は入山を止める目安になるが、実際には斜面によって状況が違うし過去に4でも入ったこともあったそうで、やはり経験が大事だな、と思う。
トンネルには雪がほとんどなかった  8時、貝掛温泉バス停近くに駐車。ここ数年でガイドも入るような人気のルートになった。車が10台以上停まっていて人気ぶりがうかがえる。半日でまわれるし日帰り山スキーに丁度いいのだろう。この時点で天気は回復していたが、雪が踏まれラッセルが要らなそうなことも手伝い貝掛からピストンすることに決定。
 シールをつけて国道17号沿いのトレースを歩いていく。林道に入ると10cmほどの新雪。国道下の短いトンネルを潜っていく。おぎさんが昔来た時にはトンネルが半分ほど埋まっていたというが今日は地面の砂利が見えてシールを心配するようだ。雪が多いはずの今年でさえこんな状況で、そのうち日本でスキーが出来なくなるのではないかと暗い未来を思い浮かべる。
 スノーシューでボコボコに荒れた板では歩きにくいトレースを辿り、なだらかな谷をしばらく上がる。ボコボコトレースは途中で谷方向へ行った様子。中の峠付近から薄らとシールの跡があるが今日のものではないようで他のパーティーは尾根ルートを取ったようだ。そのまま尾根を上がっていく。気づくとガスが取れ青空が見える。予想より早く天気が回復した。この後は悪化する予想はない。途中2回休憩をとる。

天気が回復して上機嫌なパーティーKGと仲間たち

 1,450mで稜線に出ると木がなく風とガスが出て雪面はカリカリである。
 頂上でシールをとる。あきらさんとモキチさんはメットの横にカメラを装着し、これで静止画と動画とどちらも撮れるんだ、とはしゃいでいる。おとなも懸命に遊んでいるとどんどん殻が剥がれて素の自分に戻り少年少女の時のようにノビノビとして行くのかもしれないと、三峰のひとたちを見ていると思う。
ガスのピーク  来た方向にドロップする。年齢という概念を超越し少年に戻った男たちは奇声を上げて降りていってしまった。
 谷に入ってからが、雪が軽く最高だった。ちょうどいい間隔のぶな林の間を降りる。ゲレンデでの練習の甲斐があったのか以前より転ばなくなったが深雪には慣れない。引き続き少年のように声を上げて喜んで降りる男たち。先行者のトレースだらけと覚悟していたが蓋を開けてみるとラッキーなことに雪はまだ踏まれていなくて、ふっかふかの雪面を三峰で堪能した。知らないうちにスノーバスケットがなくなっていてストックがどこまでも雪のなかに刺さり雪の深さを感じる。雪の浮遊感を噛みしめてふわりふわり(という気分で実際はへっぴり腰で)降りて行くとあっという間に雪が重くなり、傾斜がなだらかになって、あっという間に国道に戻って来た。

 12時半に駐車場に到着。なんて短いんだ!あきらさんとモキチさんは貝掛温泉に連泊して翌日も滑るということで、ここで解散。おぎさん、KG、ハギさんとで、道の駅・みつまたの街道の湯で温まり、駅前の人参邸でカツ定食を食べて帰路についた。
 ゲレンデで練習する日々でしたがトップシーズンの山スキーに参加させていただき貴重な経験になりました。有難うございました。やっぱり山は気持ちがいいなと、心底思った一日でした。

埋まるKG

〈コースタイム〉
貝掛温泉(8:30) → 1,180 m(9:50) → 1,420m(10:36) → 頂上(11:10) → 貝掛温泉(12:20)

日帰り温泉 街道の湯 600円


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