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山スキー・火打山~澄川大滑降
荻原 健一

山行日 2021年3月19日~20日
メンバー (L)荻原、永岡、清水、斎藤(吉)

 このルートを初めて知ったのは、あきらさんの例会山行であった。出発日は忘れもしない2011年3月11日、そう東日本大震災の日だ。集合時間が早いことから職場にスキー&smp;幕営装備一式を持って出社したが、その日はご多分に漏れず電車が止まって職場に宿泊。山用に持って行った寝袋が役に立ったことを良く覚えている。それから10年、なかなか挑戦する機会に恵まれず、いつからか私にとっては目標ルートから憧れのルート、更には叶わぬ夢のルートへと変わっていった。しかし今シーズンはスキーを15年ぶりに新調し、先週滑った焼山北面台地を目標の一つに定めたことから、頚城を代表するもう一つのルートとしてこのルートが頭に浮かび、今シーズンの二大目標として例会山行にすることで自らの逃げ道を塞ぎ挑戦することと相成ったのである。

【3月19日】終日晴れ
 今日は金曜日、そう平日なのです。先週、天気に合わせて有休を取ることに味を占めたメンバーの面々は今週も天気に合わせて有休を取ってしまった為、中3日での再登板となり、初老の体は悲鳴を上げているのです。それでも懲りない面々は仮眠の前夜祭でも頑張ってしまい、隣部屋からお叱りを受けてしまうのでした。翌朝、妙高杉ノ原スキー場へ移動。杉ノ原ゴンドラで標高を稼ぐが、次の三田原第三高速リフトは先週で運転終了となっている為、標高で400mも追加のハイクアップを強いられる。時間にして約1時間半のアルバイトだ。リフトトップから更に標高で500m登ると三田原山の山頂。眼前の妙高山や周囲の頚城山塊の山々が素晴らしい。

三田原山にて黒沢池にて

 ここから快適な斜面を黒沢池までひと滑り、茶臼山の南西コルに登り返してもうひと滑りで今夜のお宿なる高谷池ヒュッテだ。平日なので誰もいないと思いきや、本日で3日目だというソロの外国人と一緒になる。妙高を愛してここに移住した山スキー大好きの地元の方のようだ。小屋には布団や毛布もあり、快適そのもの。愉快な仲間たちとのいつもの夜はエンドレス。

頚城三山(火打・影火打・焼山)

【3月20日】終日晴れ
 天気に合わせて休みを取っているので今日も終日晴れの予定。雪が緩むことを期待して朝はゆっくり。ヒュッテを7時に出発する。雲一つない最高の展望に囲まれながら真っ白な火打山頂を目指す。幸い雪の状態は良く、クトーを付ければスキーでも問題なく山頂まで登れた。山頂で記念写真を撮って、さぁーいよいよ重力からの開放の時間です!ここからは標高差で2,000m、距離にして20km弱の大滑降の始まりなのだ。

火打山頂吸い込まれるような澄川源頭

 まずは広大な澄川源頭の斜面を吸い込まれるように滑っていく。山頂直下は固めだが標高で200mも滑るとすぐに緩んできて快適なザラメ雪へと変わる。斜度も緩くなり何のストレスもない快適滑降が延々と続く。あっという間に黒菱川との出合。ここから右岸の尾根に標高で200m登り返し、あとは尾根伝いにもうひと滑り。途中送水管が出てくると矢代川第三発電所は近い。吊り橋を慎重に渡って少々の登り返しであとは林道をたらたら滑れば除雪終了点へと導かれる。

矢代川第三発電所の吊り橋お疲れさまでした!

 ここで電波が立つので、タクシー(妙高の高原タクシー、料金は1万円弱)を呼び、基点の妙高杉ノ原スキー場へと戻って本山行も終了となる。叶わぬ夢が現実となった瞬間であり、まさに白眉の一本と言える会心の山スキーであった。

〈コースタイム〉
【3月19日】 杉ノ原ゴンドラ終点(9:00) → 三田原山(13:00) → 高谷池ヒュッテ(15:00)
【3月20日】 ヒュッテ(7:20) → 火打山(9:00) → 矢代川第三発電所(13:00) → 西菅沼除雪終了点(14:00)

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