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山スキー・乙妻山
荻原 健一

山行日 2021年3月6日~7日
メンバー (L)荻原、永岡、清水、斎藤(吉)

 乙妻山スキーは2011年の箭内リーダーによる滑降成功の記録(岩つばめ336号参照)が素晴らしい。リーダーの喜びがビンビンと直感的に伝わってくる名文なのでこの記録を読んでいる会員には是非一読願いたい。

 確か2013年にその箭内リーダーから声を掛けて頂き、私にとって初めての乙妻山スキーにチャレンジしたのだが、登山口となる大橋の駐車場での仮眠中に一晩でテントから出られなくなる程の大雪に襲われて、まさかの駐車場敗退となった。月日が経つのは早いもので、それから8年、今度は私がリーダーとしてチャレンジすることと相成った。メンバーは2年前、見事に乙妻山スキーを成功させている猛者3名が揃った(リーダー含めて全員ただの初老組?)。滑走日の天気予報は終日快晴。さてその結果は如何に??

【3月6日】曇り
 今日は佐渡山・南のコルで幕営なのでゆっくりの出発だ。雨が止んだ頃、大橋を9時に出発。雪は例年のこの時期と比べてかなり少ない。3時間弱で予定の幕営地に到着。まだ昼前なので時間潰しも兼ねて佐渡山の山頂へ。KGとみーこさんはテントでゆっくりしたいとのことで、もきちさんと二人で出発。行って戻って約1時間のお手軽ツアーだ。ほどなく山頂に到着、ここから幕場までの滑りは思ったより雪が良く結構快適だった。そして長い夜はいつものバカ話しであっという間に過ぎていく。

いざ出発!佐渡山・山頂

【3月7日】終日快晴
 昨日の高温で緩んだ雪は今朝の放射冷却でカチカチだ。コルから氷沢川の源頭部に滑り込むが、ガリガリで先が思いやられる。すぐに左岸に渡り、左岸沿いに乙妻沢の出合を目指す。出合から乙妻沢沿いの斜面がいわゆる乙妻山・北東斜面と呼ばれており、頚城山塊屈指のスキーパラダイス斜面なのだ。と、いってもここにリフトがある訳ではなく高度差1,000mほどの急斜面をひたすら自分の足のみで上がっていく。

乙妻山・北東斜面1乙妻山・北東斜面2

 残雪期のような強い日差しの中、喘ぎながら初老チームは進んでいく。もう限界!と思った頃、なんとか乙妻山の山頂に到着。雲一つない素晴らしい天気の中、目の前の高妻山、思ったより近くて大きい北アルプス、来週行く予定の焼山や火打の頚城山塊、遠くは越後三山などの360度の絶景に息を飲む。記念写真を撮って、さぁーお楽しみの滑降だ!

乙妻山・山頂滑降開始!

 まずはコルまでガリガリの尾根沿いを慎重に滑る。コルからは最初だけ固いアイスバーンだが、すぐに柔らかい雪質に変わり本日最高の滑りを満喫する。しかし200mも滑ると雪は重くなり始め、しまいに最悪のモナカ雪へと変わってしまう。モナカ雪はスキー・コントロールがほぼ不可能な山スキーヤーの天敵なのだ。それでも頑張って標高を下げるとザラメ状の雪に変わり、雄大な北東斜面の滑降を楽しむ余裕が出てくる。やがて傾斜が落ちてもうひと滑りするとあっという間に氷沢川との出合だ。これで夢にまで見た乙妻山・北東斜面のスキーはお仕舞い。雪質はあいにくのコンディションでお世辞にも良かったとは言えないが、絶景の中のオープンバーンであのスケール、そして心地よい傾斜が延々と続く斜面はなかなか無い。雪の状態の良いときに再訪したいスキールートNo.1と言っても過言ではないだろう。氷沢川出合からはシールを付けて幕場までゆるゆると登っていく。幕場からはもうひと滑りあるが、幕営装備一式を背負って疲れた体で細尾根を滑るのはなかなかしんどい。ようやく林道に出ると、あとはただ立っているだけでスキーが勝手に大橋まで連れて行ってくれた。
 今シーズンの目玉に位置付けていた3月の頚城シリーズ3連発。まずは順調な滑り出しとなった。焼山北面台地、火打・澄川滑降へと夢はまだまだ続いていく。

〈コースタイム〉
【3月6日】 大橋(9:00) → 佐渡山・南のコル(幕場)(11:40~12:40) → 佐渡山(13:10) → 幕場(13:40)
【3月7日】 幕場(6:20) → 乙妻山・山頂(11:30~12:00) → 幕場(14:30~15:00) → 大橋(16:00)

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