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山スキー・利尻山
永岡 恵二

山行日 2021年5月2日~4日
メンバー (L)永岡、荻原、斎藤(吉)

 今年の3月の荻原氏リーダーの頸城エリアのスキー例会の行きの車でGWはどこを滑ろうかといつものスキーメンバーと話していたところ、利尻という話で盛り上がったので、例会にしてみた。

【5月1日】
 自宅を出発すると、前日稚内から利尻島へ渡航出来なかった茂吉さんから前日より風が強いとの不安なLINEが入った。不安な気持ちで羽田のラウンジで出発便を待っていると、今度は荻ちゃんからシールを忘れたとのLINEが入る。先行きが不安だ。稚内空港に着くと、本日のフェリーは欠航とのこと。稚内市内にて3人で明日の渡航を祈って一杯。

【5月2日】
 5時フェリー会社のHPに運航連絡が入り、ひと安心。6時45分のフェリーに乗り込んだ。フェリーの揺れなのか、前日の酒なのか気持ち悪い。横になってひと眠りして約1時間半で利尻島へ上陸した。迎えの車で宿に到着。茂吉さんは奥さんと娘さんと高級ペンションに宿泊。早々に準備し、途中茂吉さんをピックアップして北山麓野営場の登山口に宿の車で送ってもらった。
全く雪がない登山口  登山口には全く雪がない。登山口から500mほどの甘露泉あたりでやっと雪が出てくるがとてもスキーができるような状況ではない。さらに少し進んで乙女橋のところでやっとスキーで登れそうになるが、すぐに雪はなくなってしまう。本当に今年は雪が少ないと嘆きながら登山道を進んでいった。標高400m付近でやっと雪山っぽくなり、スキーで滑れそうになるが、650mほどで藪になってしまう。ここでもう下りようと思ったが、先行していた二人が藪に突っ込んでいっているので仕方なく進む。見晴台手前に二人の板が放置してあり、ひと安心。自分も板を置いて見晴台まで行って、一応記念撮影し、下山。

第一見晴台にて  藪を抜けて板を履いて滑降開始。ガスっているが、ある程度見晴らしはあり滑る方向は確認できる。雪質もザラメ状でまぁまぁ。しかし、あっという間に滑降は終わり。ここから登山道を板を担いで下りることになるが、登山道左側の沢の向こうは真っ白な雪の斜面がまだ続いていた。左側の斜面を気にしながら登山道を下山していったところ、ほぼ乙女橋くらいまで滑れることがわかった。

【5月3日】
 朝起きるとポツポツ雨が降っていた。山に行けないこともないが、気が向かない。今日が茂吉さんの最終日だが入山はやめて斎藤家と一緒に利尻観光とした。

快適な登り 【5月4日】
 フェリーの欠航が続き、5日に帰れるか不安になり、4日16:40の最終便で利尻を出ることにした。早めに出発したいので、宿の人にお願いして5:00に出発。一昨日チェックした乙女橋のところでスキーに履き替え、緩やかな斜面を進む。ツボ足の先行者がおり、トレースもあった。シール歩行には優しい斜面だ。ツボ足の荻ちゃんが少し遅れて着いてくる。天気は曇り。登りにはいいね!なんて話して気分は徐々に盛り上がってくる。

ガスの中、沢を登る  沢に入ると、ガスって先が見えないが、自分が進むとガスもあがってきて、山頂は快晴になるだろうなどと根拠なく思っていたのも束の間だった。600m付近の二股を右に進み、761mの開けたところに着くとホワイトアウト。段々天気は良くなるという予報を信じてひと休みして、更に上を目指すことにした。

なかなか晴れないガスの中  先行者のトレース通りトラバース気味に進み、北西尾根に取り付くと、急に風が強くなった。斜度もきつくなり、アイスバーンの為、ここで、板を担いでアイゼンに履き替えた。尾根の右側は雪庇となっていたので若干左側を進んだ。板を担いでいるため、強風であおられ、耐風姿勢をしながら、ゆっくり登って行った。視界は全くない。1,100m付近でこれ以上進んでも滑ることは出来ないと判断。といっても、この場所から滑るのも無理。アイゼンでそのまま引き返す。結局アイゼンをつけたところでやっとスキーに履き替えられたがホワイトアウト。しかし、空を見るとうっすら青空が見えた。ガスは薄いので、しばらく待っていると、微かに視界が開けた。ここぞとばかり、100m程滑り、後ろを見るとまたホワイトアウト。上にいる荻ちゃんから、無線で視界が開けてから滑ると連絡が入った。数分待ったが、快晴になることはなく、微かに視界が見える程度で下りてきた。

下山後の利尻富士  その先少し滑って761mで一本。上を見るとパーっとガスが晴れ、先行していた3人が下人しているのが見えた。と同時に、下からソロのスキーヤーが上がってきた。話を聞くと、地元の方だった。午後から良くなると思うので、遅くに出発したとのこと。確かに下山後、山は快晴で利尻富士の全容が見えた。

二股  長官山の東側にある豊漁沢のことも聞いてみた。下部は3本の沢になっており、一番右の沢から登山道に乗れるとのこと。後で地形図を見ると、400m位で左岸側を滑って尾根を越え、平らになると微かに3本の沢っぽくなっていたので、あまり左側に行かずに滑れば、そのまま一番右の沢になり登山道に乗れそうだった。今度滑るときの参考にしたい。
 761mから下は既にガスは取れて、快適な斜面が見えていた。600m付近の二股まで滑ると左股から滑ったトレースがあった。登山道を登って上部からこの沢に入ったのだろう。なかなか素晴らしい斜面だ。
 二股から下はやや狭く、ハーフパイプのようになっている。スキーハーフパイプ選手のような滑りが出来たら、格好いいだろうが、こちらは初老スキーヤー。左右にどんぶらこ、どんぶらことしながら、安全に滑降。

登り返した斜面  沢も広がって来ると、左に素晴らしい斜面が見えた。761mに向かう尾根だ。時間も早いことから、ここを登り返して滑ることにした。中腹位で斜度もきつくなってきて、ここで登り返しは終了。

青空の下、真っ青な海に向かって滑りたかった・・・  あとは登ってきたルートを滑り、また、平な疎林帯を乙女橋に向かう。右股を滑った人のトレースに従って滑っていったら、大分左の方に来てしまい、最後まで滑って戻れず、担ぐ羽目になってしまった。
 今回は天候が悪く、全然滑れなかったが、ルート情報が得られたことは不幸中の幸いだ。次回来ることがあれば、もっと楽しめるだろう。

 この日の1、2便のフェリーは欠航し、結局茂吉さんも同じ最終便で一緒に稚内に戻ることになった・・・。利尻に行くときは日程に十分余裕をもっていった方がよい。

〈宿泊〉
 稚内:モシリパ
 利尻:旅館雪国


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