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沢登り・クワウンナイ川と北海道放浪の旅
大瀧 美樹

山行日 2021年8月7日~14日
メンバー (L)鈴木(一)、金子、高橋(史)、梅田、大瀧

 私がクワウンナイ川の沢登りに参加しようと思ったのは彼是4月まで遡る。4月に三峰に入会した直後、横ちん(高橋(史))から「8月にクワウンナイ川の沢登りに行くけど行かない?」そんなお誘いをもらうまでクワウンナイ川を知らなかったし、ましてや18年ぶりに再開する沢登りで北海道に行くとも思っていなかった。そんな状態だったが、クワウンナイ川について調べるとなんと美しいことか!調べてすぐに参加表明することとなった。それから3か月、LINEのグループはあるが当日の待ち合わせ時刻以外何も決まらない日々が続いていた。7月下旬にリーダー、サブリーダーが確定、8月1日に共装の割り振りが決まった。

【8月7日】
 新千歳空港に10時に集合し今回の旅がスタートした。旭川に着き気温を見てびっくり!なんと35℃!北海道に来たのに東京と変わらぬ灼熱地獄。せっかく涼みに来たのに全然涼しくない・・・明日以降の沢も暑そうだな。そんなことを思いながら天人峡温泉を楽しんだ後、宴会がスタート。ジンギスカンを堪能した後、どこにいるのかを忘れた頃にキツネが顔を出し、北海道にいることをしみじみと感じた夜だった。

雄大な景色を見ながら河原を歩く 【8月8日】
 台風が接近していたこともあり天候が気になったが、出発前にはパラパラと降っていた雨も止み6:50に駐車場を出発した。入渓すると水量の多さと流れの強さに驚くこととなる。深く流れが強い場所はうめちゃんとスクラムを組みながら遡行しつつ、北海道の雄大さを味わいながら河原を進んだ。

釣りをしながら遡行を続ける  ゴルジュを通過し少し歩いた頃、水の中でオショロコマが泳いでいるのが見えた。そこからは全員が釣竿を出し、釣りをしながら遡行することとなった。
 この時初めて渓流釣りを体験したが、オショロコマがルアーを追いかけてくる姿を見てルアー釣りの面白さにドはまりした。全員が夢中になって釣りを楽しんだ結果、当初の幕場予定のカウン沢出合にたどり着けず少し手前で一夜を過ごすことになった。この日は、釣ったオショロコマの塩焼きを堪能しながら焚火を囲んでの楽しい夜が続くと思いきや、横ちんとうめちゃんの言い合いが始まり「俺のことでケンカしないで!」とすーさんが止めに入る珍事件発生。思わず笑ってすーさんを見ると、おでこから流血!なんともワチャワチャとした楽しい一日目となった。

【8月9日】
 台風が近づいていることもあり当初の予定から変更し一気にヒサゴ沼避難小屋まで行くことになった。魚止ノ滝や3mの滝、10mの滝を水を浴びながら登った後、滝ノ瀬十三丁に到着。

10mの滝を登る滑床が1.5km続く滝ノ瀬十三丁

目の前に広がる雪渓  太陽に照らされ水面がきらきらと輝いている。水草がフェルトに絡みつき、もふもふとした感触を味わいながら突き進む。途中、30分ほど全員でウォータースライダーを楽しみビショ濡れになりながらテンションMAXの状態でさらに進む。ハング滝とスダレ滝は巻き道を使い源頭部へ向かい、登り詰めたところで雪渓が見え始めた。そこからが予想以上の地獄だった。大きな岩の上を歩くのだが、浮石も多くとにかく不安定で歩きづらい。岩の下からは水が流れる音も聞こえるため、落ちないように注意して歩く必要もある。時折岩の下からナキウサギの鳴き声が聞こえるのだが、いつもならテンションがあがるのにそれどころではない。雨も降りだし風も強まる中、寒さと闘いながらひたすら歩くが歩いても歩いても一向に避難小屋が見えてこない。岩の上や雪渓の上を沢靴で歩きながら、ひたすら避難小屋を目指した。
 暗くなり始めた18:50にやっと避難小屋に着いた頃には、既に11名ほど先客がいる状態だった。何とか5名分のスペースを空けてもらい、周りに気を使いながらの夕飯を終え珍しく静かな宴会を行った。全員がかなり疲れていたため、元気を出すために下界で何を食べたいかをあれこれ想像しながら、明日の下山後を楽しみに2日目の夜は過ぎていった。

雹が降る中化雲岳山頂に到着 【8月10日】
 昨夜よりも雨も風も弱まったため7:40に避難小屋を出発。これが悪夢の始まりだった。私たち以外、どのパーティも避難小屋での停滞の判断をしていたことや、出発間際に北大のヒグマ研究会のメンバーから「本当に出発するんですか!?お気を付けて!」と声をかけられたことの意味を知ることとなった。化雲岳山頂に着く頃には雹が降り出し、稜線を歩くころには風速27mの強風が吹き荒れ何度も飛ばされそうになった。

無事全員下山。足湯で暖をとる。  花がいたるところに咲き乱れ天気が良ければ最高のお花畑だが、強風と気温5℃の寒さでそれどころではない。風をしのぐ場所もないため、全員が「止まったら死ぬ。」と思いながらひたすら歩いた。途中、ハイマツが密集している場所があり立ったまま軽く休憩をとった際、金子さんの「生きて帰ろう。」の一言で全員が奮起した。そこから天人峡温泉を目指しひたすら歩いた。14:10に全員で無事下山することができ、温泉で体を温めた後旭川市街地に向かった。
 車での移動の最中、低気圧が3つも接近していたことを知り改めて慎重に判断すべきだったと全員で反省しながらの旅路となった。この日は、全員で無事生還したことを祝い北海道の海の幸をしこたま堪能する大宴会だった。

金子さんを暖めるうめちゃんと私。初日35℃あった旭川も10℃と急激に気温が下がった。

【8月11日~14日】
この日からぷっつりと糸が切れたようにひたすらはっちゃける放浪旅がスタートした。長距離を移動しながら各地の温泉を楽しみ、道の駅や市場で海産物や取れたての野菜を買い、スーパーでお酒を大量に買い込んでキャンプをひたすら楽しんだ。
 留萌、余市、ニセコのキャンプ場を転々としながら北海道の食材を堪能し焚火を囲んでの宴会は至福のひとときだった。

キャンプ場で昼間から宴会呑んでは寝て・・・

はしゃぎすぎてハプニングも・・・  中でも羊蹄山の麓にあるニセコのキャンプ場は、星空が本当に素晴らしく今回の旅を締めくくる場所として最適だった。大人になってこれほど自由奔放に全てを忘れて楽しんだ旅はないんじゃないかと振り返って感じる。
 最後に・・・金子さん、すーさん、横ちん、うめちゃん、本当にありがとうございました!北海道の雄大さと厳しさを肌で感じることができ、忘れられない経験となりました。今回登れなかったトムラウシ山は再びチャレンジしたいと思います!!

〈コースタイム〉
【8月7日】 新千歳空港(10:00) → 天人峡駐車場(16:00)
【8月8日】 天人峡駐車場(6:50) → クワウンナイ川遡行(入渓)(7:05) → ゴルジュ(8:00) → カウン沢出合い手前(幕場)(17:00)
【8月9日】 幕場(8:20) → カウン沢出合(8:30) → 魚止ノ滝(9:20) → 3mの滝(9:55) → 10m幅広の滝(10:00) → 滝ノ瀬十三丁(10:17) → ハング滝(12:40) → スダレ滝(14:20) → クワウンナイ川源頭部(15:30) → 登山道(16:40) → ヒサゴ沼(18:00) → ヒサゴ沼避難小屋(18:50)
【8月10日】 ヒサゴ沼避難小屋(7:40) → 化雲岳山頂(8:40) → 羽衣の滝ビューポイント(919m地点)(13:10) → 天人峡温泉入り口(14:10)
【8月11日 留萌(キャンプ場)(14:00)
【8月12日 余市(キャンプ場)(14:00)
【8月13日 ニセコ(キャンプ場)(14:00)
【8月14日 新千歳空港(11:00)

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