トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ366号目次

縦走・綿向山~雨乞岳
鈴木 章子

山行日 2021年10月23日~24日
メンバー (L)鈴木(章)

尾根上にある苔  こちらに転居してから1年半は過ぎましたが、マイカー利用社会。日々の生活のアクセスの悪さ、公共交通機関の無さ、JR等路線の複雑さ、コミュニティーバスが有っても土日祝は無、平日の本数は・・・。行動に出るまでの準備期間の長さに・・・、日々戦っています。
 綿密な下準備後、目的の山へのルートを探す。出かけるのが億劫になるのも理解できる。縦走好みの私には不向きな山域かな。
 名鉄線(常滑~名鉄名古屋)、JR東海・関西線(名古屋~亀山 ここで一度清算)、JR西日本・関西線+草津線(亀山~柘植~貴生川)、近江鉄道(貴生川~日野)、近江バス(日野~北畑口)、町営バス(北畑口~西明寺口) 始発5:29でこれだけの電車等を乗換え、登山口に10:50着、なんて遅い出発なのだろうか。好天気には感謝しているが、そんなことをブツブツ呟きながら秋晴れの中、登山開始。
 出発が遅いので心は焦り気味。初めて登る綿向山、小学生でも無理のないコース表参道を選択。久々のソロ山中泊の荷物、不安も多少は有るが背負い慣れた肩と腰、軽快に足が進む。九十九折の道だが良く手入れされ斜度も程よい。5合目までに小屋が3つも有り、そこまでは植林地帯、展望は全くない。5合目の小屋から徐々に雑木になり展望・紅葉が始まる。とにかく気持ちのいい登りだ。里の人に愛され大切にされてきた山だと実感できる。行き交う登山者も多く、荷物が無い人もいる。7合目(行者コバ)は休憩するには暗く北風が吹き抜けていくので先を急いだ。山頂直下まで急な山肌に作られたトラバースの道が続く。山頂直下の金明水(細いが枯れることはなさそう)を今夜と明日の行動分として汲んだ。
 水汲みが終わると最後の急登が待っていた。山頂神社の階段での直登ルート。頭上で私が登り切るのを待っている人々が見える。50Mほどだろうか、中々たどり着かない。が、登り切って広がる広大な景色に思わず声が出てしまった。山頂は芝の手入れが良く、大きめの祠とそれにも劣らない大きなケルンが有った。勿論360度展望は可能。鈴鹿連山・伊吹山・御岳・琵琶湖・近江方面等々、空の上には高圧線は見当たらず、雲が好き勝手に流れていた。此処に来れたことに感謝。ゆっくりしたい気持ちは充分あったが時間が気になり先を急いだ。
 風の強い尾根上を東方に進む。間もなく竜王山の分岐がある。此処も登ってみたい山の一つ。その先で出会ったブナの『珍変木 幸福ブナ』(風雪により変形生育したブナの木 潜ると幸せを呼ぶと言われます)の看板有り。確かに季節風にさらされ背丈を延ばせないブナが枝を絡ませ強風の中頑張っていた。
 更に進めば風の当らないところに苔でびっしり覆われた尾根、カヤトの穂が夕日を受けキラキラと輝いた尾根など綿向山~イハイガ岳の登りに入るまでは夢見心地の気分だった。
線向山山頂  奈良在住の知人は、雪が降ると綿向山に登ると言っていた。雪が多くて登れない時もあるとのこと。私も季節を変えて訪れたいと思った。
 イハイガ岳の登りは通過に45分ほどだが、何かに掴まらなくては登れない急登。
 また、山頂から大峠までは、右側はスパッと切れた大ガレ、左側も立ち木などに掴まらなくては下れない急斜面、テープも少なく一歩一歩、三点確保とテープの目視が必要だった。かなりの時間を要した気分だが、ここも1時間で大峠に着いた。当初はここで幕を張る予定だったが、狭く北風が吹き抜けるだけの場所、もう少し上ることにしたが、イハイガ岳の登り同様、急登、痩せ尾根、平らなところは全くなくどんどん上部に。西日が心もとくなったころ尾根の幅が出てきたので、斜度は有ったがずり落ちることは無いと判断、登山道上にツェルトを張った。風は避けられたのと、早朝立ちだったのでぐっすりと眠った(大峠~雨乞岳 200mpost2/16板の近く)。
 昨日は久々に手ごわい相手との出会いだったが、今日は距離を延ばす相手かな。
 昨日同様、朝一番は急斜面の登り。登り切ると広い台地に着いた。そこで17名で来ていると言う中高年パーティーに出会う。彼らはここでテントを張ったとのこと。男性は数名、女性の多いパーティーだった。彼らとは雨乞岳迄、抜きつ抜かれつで進んだ。
 清水の頭までは昨日の綿向山同様、青空の下気持ちよく歩けたが、南雨乞岳~雨乞岳までは背丈を越す笹藪。久々の藪漕ぎは楽しいけれど、雨乞岳山頂にいる多くの人々は私の行動をどう見ているのか・・・。
 雨乞岳山頂からは多くの人々とすれ違う。武平峠にパーキングが出来てから訪れる人が多くなったのか、スカイラインが出来るまでは日帰りは困難な山だったのに。
 雨乞岳山頂は展望がなく狭いので隣の東雨乞岳でゆっくり休むことにして先を急いだ。東雨乞山頂は広く展望も良い。昨日登った綿向山のケルンも見える。勿論、琵琶湖も伊吹山も御岳も。
東雨乞岳山頂  ここからの帰路は通い慣れた道、東雨乞岳から長いがスカイライン目指し一気に下る。途中で道が良く判らなくなってきたが、スカイラインを横切るところまでたどり着き、武平峠に出る。御在所・表登山道を利用、湯の山温泉ロープウエイ乗り場まで歩くと今回の山登りは終了。何時ものようにバス停前の旅館で入浴、下記の路線で帰宅。『ほっと』するひと時だ。
 近鉄バス(湯の山温泉~湯の山温泉)近鉄線(湯の山温泉~四日市乗換近鉄名古屋)
 滋賀県側からの鈴鹿入山は始めて、林業も盛んな様子で、三重県側との違いを感じた。鈴鹿山域未踏の場所は少なくなってきたけれど、不便ではあるが、滋賀県側からの入山は心惹かれるところが、まだまだ有りそう。

〈コースタイム〉
【10月23日】 西明寺口バス停 → 登山口(11:00) → 避難小屋(11:20) → 薊小屋(12:15) → 五合目小屋(12:30~12:45) → 七合目行者コバ(13:00) → 水無山分岐(13:15) → 金明水(13:30) → 山頂(13:50~14:05) → ブナ珍変木(14:10) → 竜王山分岐(14:15) → イハイガ岳山頂(15:00) → 大峠(16:00) → 幕場(16:20)(大峠~雨乞岳200mPOST2/16辺り)
【10月24日】 幕場(6:55) → 清水ノ頭(8:20) → 南雨乞岳(8:55) → 雨乞岳(9:10) → 東雨乞岳(9:35~10:00) → スカイライン合流(12:00) → 武平峠(12:25~12:30) → 表登山道口((13:10) → 道路(13:35) → 湯の山温泉ロープウエイ駅(13:55)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ366号目次