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北岳バットレス 下部フランケ~Dガリー奥壁
西村 宏一

山行日 2021年7月22日~24日
メンバー (L)西村、山蔦

 このルートは以前に何度か計画をしては諸々の条件が合わずに断念しており半ば諦めていたのだが、関西でパワーアップした山蔦さんがパートナーとなってくれて決行することが出来た。また、実際の山行は4尾根に行く2チームとのコラボとなり、計6人での賑やかなものとなった。

【7月17日】
 初日は白根御池小屋までで良いので朝発で8時30分に駐車場着、広河原を10時前に出発となった。しかしここ最近は重い荷物を持っての歩きは瑞牆正面壁くらいまでがせいぜいだったので、ガチャ類を持っての登りがきつい。本チャンはそろそろ卒業かなと思いつつ、4、5回の休憩を挟んでようやく到着。
 その後少し面倒くさそうにしているメンバーを叱咤激励しつつ下部岸壁の取り付きを偵察。雪渓は残っているがアプローチに支障がない事を確認して取り付きに荷物をデポ。これで翌日の移動がぐっと楽になった。

【7月18日】
 3:00起床、4:00に出発するも取り付きには既に2PT。そそくさと準備をして6時にクライムオン。
 下部岩壁は5尾根の支稜から。せいぜい3級程度だが、支点はあまりないし朝一なので緊張した。2ピッチほどで広いテラスに到着する。
 ここで閑話休題、4尾根へはここからトラバースしてCガリーを詰める行き方と、Dガリーを20mほど登っていわゆる横断バンドをトラバースする方法がある。過去に自分らが4尾根登攀した時に使ったのは前者、後者は迷っている記録もあり、実際にコラボした4尾根チームも迷ったようなのでやはり前者の行き方をオススメする。
 本題に戻る、下部フランケは上記4尾根アプローチの後者と同じDガリーを20m程登った所にある顕著なスラブチックなフェイスから。上部に凹角があるので取り付きは一目瞭然である。以下各ピッチの概要。かっこ内はリード者。
下部フランケ取付き  1P(西村) スラブのフェイス、いきなりの核心、カムは使えないがハーケンがベタ打ちされている。少し左から巻くように登ると簡単らしい。
 2P(山蔦) 凹角沿いに登る、ところどころにカムが使える。
 3P、4P(西村) クラック沿いに登る、ジャミングやワイドっぽく体を壁に押し付けながら登る。カムをかなり使えて楽しい、楽しすぎて3、4ピッチはリンクしてしまった。
 5P(山蔦) Dガリーへのトラバース、記録にあるほど悪くない、ただ最後に3m程度クライムダウンするのでフォローの方がおっかない。
 6P(山蔦) Dガリー奥壁基部へのアプローチ。ざれている箇所もあるが慎重にいけば大丈夫。50mほぼいっぱいで奥壁のハング下へ。
 7P(西村) 3大ハング越え、探せばガバもありジャミングも出来るので豪快に登っていける爽快なルート。ただ下にいた別パーティーはやたら苦労していたので感じ方は人それぞれか。
 8P(山蔦) クラックからフェイスへ。クイックドローがスタックしてしまって回収不可になったのがここ。その記憶以外は覚えてない
 9P(山蔦) 本来は自分のリードであったが、城砦ハング越えのリードの調整からそのまま山蔦さんリード。チムニーはザックがあると邪魔でしょうがない。ところどころに残置ハーケンあり。4尾根の最終ピッチ前のトラバース時におっかなびっくり越えた穴がまさかこのルートだとは思わなかったのでいろいろ感慨深い。
 10P(西村) 言わずとしれた城砦ハング。説明不要でしょう。
 途中、少し待たされたが登攀終了が13時。まあまあのタイムだったと思う。午後から天気が悪くなる予報のとおり山頂は霧の中。肩の小屋では雨が降ってきたが、その雨も短時間でやみ、それほど濡れることもなかった。
16時45分に白根御池小屋。8ピッチあたりで4尾根チームが見えたがもう少し下山には時間がかかりそうだったのでのんびりと待ち、その日の夜は各々のチームの頑張りを讃え合い、やっちゃんらはいつものごとく舌戦を繰り広げながらの宴会が盛り上がる。隣のテントの方、ごめんなさい。

頂上より

【7月19日】
この日は下山のみ。下山路で千葉らっち夫妻と遭遇する以外は特に記載事項なし。

総評
・場合によっては下部フランケを飛ばしてDガリーを詰めて奥壁に取り付くことも考えたが、同ルートを使っていた別パーティーがルートを間違えて行動不能になりかけていた。
・どうせ奥壁に行くなら下部フランケから繋げる方が楽しい、今までの本チャンでも楽しいルートの一つだと思った。
・カムは0.5くらいから3まで2セットあると1ピッチ目以外はオールNPで登れそう。
・後ろのパーティーが奥壁ハングで相当な時間を使っていたので、そこそこの登坂能力は必要かもしれません。勿論体力も。


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