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岩登り・ロープワーク講習(基礎編)
川口 修

山行日 2021年6月12日
メンバー (L)千葉(快)、石毛、高橋(祐)、長浜、川口、湯澤、田中(雅)、佐藤(功)、木嶋、菊池

駅から線路わきを通り、平戸の岩場へ  8:30 東吾野駅に集合。天気もまずまず、時間通りに皆集合。ほどなく講習場所に到着。準備の後、早速グループごとに講習開始。

フリクションヒッチの練習  基礎編では、まず班分け後に基礎的なロープワークを実施。
 ロープの束ね方から始まり、エイトノット、クローブヒッチ、ムンターヒッチ、フリクションヒッチ、ダブルフィッシャーマンなど、基本的なロープワークを実際の使用局面のレクチャーを受けながら、特に結び目の美しさや、末端の処理方法などに気を使いながら練習。

下降の途中、止められたままの佐藤(功)さん  同じ結びでもやり方は何通りもあり、状況に応じた結び方が必要。特に片手でやる必要もあることから、やはり身体で覚える必要があると再認識した。
 基本的なロープワークのあとは、懸垂下降。
 まずは、支点を確保してセルフビレイをとりつつ、懸垂セット、下降する際の留意点などのレクチャーを受け、順番に懸垂下降。
 外岩での懸垂下降初めての人もいましたが、無事に終了。
 下降の際、下でロープにテンションをかけることにより下降を止めることができることも合わせて体感した。

仮固定の練習  その後、懸垂中の仮固定法の練習までやったところでお昼休憩。

麻紀さんの歌♪  午後は眠気覚ましの麻紀さんの歌でスタート!

レイジングシステムの講習  懸垂中の仮固定から、フリクションノットを使用した登り返しの練習。
 フリクションノット実施時のスリングの選択によっては摩擦が生じず登り返しにならないということも身をもって体感した。どうしても軽量かつ丈夫なダイニーマスリングを多用しがちだが、ロープスリングの有用性も認識できた。
 登り返しの練習に各人しっかり取り組んだ後は、フィックスロープを張り、ラビットノットにカラビナをつけて安全確保をしつつフィックスロープの通過を練習。
 そのあとは、中級編組と共通でレイジングを実施した。
 1/1と1/3を実施したが、アッセンダーを使用したシステムの作り方、プーリーを使うかカラビナを使うかで重さがどう変わるか等を、身をもって体感することができた。
 また、最後にビレイ及びクライミングでの落ち方についての話、チータースティックの実演、と盛りだくさんかつ有意義な講習となった。
 ロープワークについては家でも練習できるので、今回実地で実施したことを参考に実際のシチュエーションをイメージしつつ忘れないうちに、反復練習して体で覚えるようにしたい。

岩登り・ロープワーク講習(中級編)
眞鶴 哲郎

山行日 2021年6月12日
メンバー (L)西村、小芝(泰)、古屋、坂井、梅田、高橋(史)、津田、青木、木嶋、萩原、木村、眞鶴

平戸の岩場  朝8:30東吾野駅に集合。天気は暑くも寒くもない曇りでいい感じだ。本日の講習場所の岩場へと向かった。
 駅から10分もかからず到着。岩場は、平らな地面で古いがベンチもあり、今回の21名が荷物を置いても問題なしの広さで快適。岩質はチャートで、ハンガーボルトも問題なく使える感じで、上部の支点にも歩いて行けてトップロープも6本程は張れる。すぐ上には車道のガードレールもある近さ。まさに講習会のためにあるような岩場だ。
 さて、必要なギヤを身に付け全員集合。まずはリーダー西村さんの挨拶があり、初級コース、中級コースに分かれて開始した。
 以下、講習内容を簡単に書いた。
 講師の西村さんが始めに一度お手本をやって見せてくれて、サポートの小芝さんと古屋さんからも教えて頂きながら各自で練習、確認していく形で進んだ。

〈ロープの結び方〉
①ラビットノット:エイトノットの変型でループが2つでき、テンションがかかることがわかっている箇所に有効。
②クローブヒッチ(インクノット):主にロープの中間部をカラビナに固定し、主にセルフビレイに使用する。
③シートベント:スリングとスリングを結び付ける。

〈巻き付け結び(フリクションノット)〉
①プルージック
②クレムハイスト:一方向のみ引け、確実なロックが必要な場合に使用。
③カラビナバッチマン:カラビナを持ってスライドさせ、スリングに荷重が掛かればロックする。
④オートブロック(マッシャー):主に懸垂下降のバックアップに使う。

〈その他の結び〉
①インラインフィギアエイトノット:メインロープの中間部に手掛かり、足掛かり、または支点を作る際に使う。
②チェストハーネス:120cmテープスリングをシートベントで作る。

〈支点の作り方〉
①流動分散
②固定分散
③クアッドアンカーシステム

救助懸垂下降 ※ここからは3つの班に分かれて、トップロープをセットし実践的にやっていった。

〈振り分け救助懸垂下降〉
 救助者と要救助者をPASで繋ぎ2人同時に懸垂下降していくというもので、実際にお互いに救助する側とされる側をやってみると、左手は脱力した要救助者を保持しなければならないし、右手だけでロープ操作しなければならず、「あーした方がいい、こーがいい」と悪戦苦闘しながらも、班メンバー同士で真面目に考えてやった感があり良かった。

〈ロープ連結部の通過〉
 連結された複数のロープを懸垂下降する際に、その連結部を通過する。
 この項目が私にとって最もてこずった。ロープの連結部でムンターヒッチが引っ掛かり止まるはずだが、大き過ぎる安全環付カラビナだと結び目が引っ掛からずそのまま通過してしまうのだ。これも実際にやって学んだことだった。

〈ビレイ中からの自己脱出〉
①ビレイデバイスにメインロープをミュールノットで仮固定。
②クレムハイストをビレイデバイスの上方のクライマー側のメインロープにセット。そのフリクションノットを支点にセットし、できるだけ張った状態にする。ロープのテンションは支点に移り、ビレイデバイスの仮固定を解除する。
③メインロープにエイトノットを作りバックアップを作る。
④脱出完了
⑤怪我し動けないクライマーの救助要請など。

〈ライジングレスキュー〉
①1/2システム
②1/3システム
 要救助者~支点~安全環付ビナ+マイクロトラクション~タイブロックorクレムハイスト~安全環付ビナで折り返し~救助者。
 プーリーがあれば折り返しの箇所の安全環付ビナにセットすると摩擦が減り、より軽く引き上がる。
 これもスリングと安環だけで構築するのか、デバイスをフル活用するのとではロープを引く力が重くも軽くもなることが理解でき、数日後には新たなギヤを購入したメンバーもいた。

〈ロープの張込み~チロリアンブリッジ〉
 岩場の上部から下までチロリアンで下ろしてもらう体験を3人だけ行った。

 講習の最後にフリークライミングでも安全に楽しもうということで、リーダー西村さんとっておきのプリクリップの方法を教えて頂き、終始愉しくかつ真剣にロープワークを学べた充実の講習会となりました。講師の皆さん、諸々準備ありがとうございました。日頃のクライミングも安全第一を意識して、いざというとき、活用できるように復習しようと思います。


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