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沢登り・大洞川和名倉沢
川口 修

山行日 2021年7月10日~11日
メンバー (L)小芝(泰)、坂井、長浜、川口

 今年は沢登りに挑戦!と思って色々と準備をしていたが、仕事の都合などもあり機会を逃していたところ、たまたま欠員が出たとのことで、今回の和名倉沢の沢登りに参加させていただいた。まったくの初心者であるにも関わらず、リーダーの小芝さんが快く参加を受けいれてくださり、初の沢登りとなった。
 梅雨の真最中というのもあり、天気予報も芳しくなく、あらかじめ雨天決行の連絡も受けていたため、多少の雨は覚悟したうえで当日を迎えた。
 金曜夜に東京駅に集合し道の駅大滝温泉にて仮眠、当日の朝を迎えたが、なんと予想に反して青空ものぞく好天。身支度を整えて三峰観光道路の分岐点、雲取林道入口に車を止め、20分程度かけて大洞川の河原まで下りた後、対岸へ渡渉して入渓点へ。
 遡行を始めてからも好天が続き、ヌメリもほとんどなく遡行を楽しむことができた。

大洞川中州(和名倉沢入渓点)遡行を開始

 途中いくつかの滝があったものの、直登できる滝は少なく15mの弁天滝や連瀑帯を高巻きしながらも順調に遡行を進め最大の難所、2段40mの大滝に。滝つぼの間近でみる大滝は、落差と水量、そして風圧と水しぶきが合わさってその迫力に圧倒された。4人で写真を撮り、左岸からかなりの急登を高巻いて滝を越えることに。
大滝の前で記念撮影  軟弱な地盤の急登に足を取られながらも、小芝さんのリードで難所を乗り越えて、さらに上流へと遡行を続ける。奥に進むにつれ険しさも増し、沢登りってのはやはり登山とは違うな~、などと思いつつ進んでいくと、とどめのような3段8mと多段12mの滝を高巻くことに・・・、特に12mの滝の高巻きは足場が軟弱なうえ、ルートファインディングが難しく、軟弱斜面を攀じ登りながら手分けしてルートを探したため、高巻くのに結構な時間を要した。振り返ってみると、ここが核心だったように思う・・・。その後はそれほど難所もなく遡行を続け1,370mのビバーク適地に到達、すでに入渓から10時間以上が経過していたことから、当初予定していた1,470m付近まではいかずに、ここを幕場とすることに。
 設営時に若干の降雨があったが、それもほんの一時、結局雨はこの時だけで、ほとんど影響がなかった。暗くなる前にタープの設営と焚火と食事の用意をし、焚火を囲んで宴会タイムに!食当じゃないのにナンシーが女子力を発揮して、おつまみを2品作ってくれ、おいしく楽しく自由な時間を満喫。
熊の痕跡・・・怖い・・・  この自由さがたまらない!縦走時のテン場みたいに周り気を遣う必要もないし、直火の焚火を心ゆくまで楽しめるではないか!!う~ん沢登り面白いぞ・・・などと思いつつ更けていく夜を楽しみ、それぞれが徒然と眠りについた。
 翌朝も好天!天気予報は何だったのかと思いつつも、良いほうに外れるのは大歓迎!ということで、焚火を囲み手早く朝食を済ませタープ等を片付け遡行を再開する。滝をいくつか登り1,470m付近まで到達したところで、詰めずに、ここから二瀬尾根にエスケープして、早めに下山することにした。しばらくガレ場を進むと、広葉樹や落葉樹の苔生した樹林帯に入った。苔観察などをしながらトレッキングを楽しんでいると、木の幹に派手にクマが爪を立てた形跡が・・・
 幸い熊には遭遇しなかったものの、迫力十分。遭遇しなくてよかった~。
 その後は程なく登山道に合流し山道を下山、途中ほとんど行き会う人もなく、苔好きのナンシーが常備しているルーペで苔や粘菌を観察しながら楽しく下山した。特に粘菌は小さいためルーペがないとその面白さがなかなか解からないということで、ナンシーのルーペを覗いては「ウォ~」「何これ~」「面白い~」等と言いつつ、一同新たな世界に足を踏み入れたのでした。(笑)
 順調に下山しお昼過ぎには、二瀬ダムの吊り橋に到達。しっかりした吊り橋で怖さは感じなかったが、ダムを横断するため、なかなかの長さで、とても気持ちいい吊り橋だった。
 今回、初めての沢登りであったが、天気にも恵まれ、小芝さんのリードのおかげで非常に充実した沢登りとなった。泊地での自由さもさることながら、滝などの難所をどう攻略していくか、メンバーの力量やルートの状況などを勘案しつつ時にはサポートする等して、適切なルート見出し、パーティで協力して遡行していくというのは、非常に面白いと感じた。今後も経験を積んで、いずれはリードできるくらいのスキルを身に付けられればと思う。

苔と戯れる・・・二瀬ダムのつり橋へ!!
〈コースタイム〉
【7月10日】 三峰観光道路分岐(駐車場)(7:30) → 和名倉沢入渓(8:00) → 泊地(1,370m)(17:45)
【7月11日】 泊地発(7:00) → 二瀬尾根へエスケープ(1470m)(7:50) → 二瀬尾根登山道(出合)(9:00) → 造林小屋跡(10:00) → 反射板(11:00) → 大洞川吊り橋(12:30) → 三峰観光道路分岐(駐車場)(13:10)

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