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沢登り・大谷川柳沢川
金子 隆雄

山行日 2021年6月5日~6日
メンバー (L)金子、飯塚、小幡、野畑、鈴木(一)、田中(雅)

 昨年も同じ時期に同じ沢を計画したのだが、昨年は緊急事態宣言が出ていたこともあり自粛して中止とした。今年は1年前とは比較にならないほどウィルス感染者は多いが、それでも徐々にではあるが減る傾向をみせている。公共交通機関は使わないし山に入れば人との接触もほぼないので計画通り実施することにした。
 ちょっとだけ早目に集合できたので、日光の赤沼駐車場には結構早い時間に着いて今日は余裕があるねなどと言っていたのも束の間、スーさんが沢道具一式を忘れたことに気付いて取りに戻ることになってしまった。朝には戻っていて車の中で寝ていた。

【6月5日 晴れ】
 ここから先は一般車は進入できないので低公害バスに乗り換えて行くことになる。早朝のバスもあるのだが、今回のルートは日帰りの行程を2日で行くので急ぐ必要はなく、8時台のバスに乗車した。「西ノ湖入口」というバス停で下車。バス停は立派だが周囲には何もない。
 このバス停から西ノ湖方面へ行く林道を歩くことになる。林道は途中で西ノ湖方面と赤岩滝方面とに分かれており、柳沢川に沿った赤岩滝方面へと進む。林道は堰堤に突き当たった所で終っている。周囲を探してみると堰堤下の対岸にピンクの目印があった。橋はないので渡渉になる。沢靴に履き替えて対岸に渡り踏み跡を辿る。
 渡渉点から30分ほど踏み跡を辿ると赤岩沢の出合だ。時間に余裕があるので赤岩滝を見物していくことにする。出合から10分ほどで赤岩滝の下に着く。見上げる滝はかなり大きく、見えている部分が全てではなく更に奥に続いているらしい。
赤岩滝 見えているのが全てではない  戻って溯行を続ける。ここからは大き目の石がゴロゴロするゴーロがしばらく続く。沢が狭まって砂を固めたような側壁の荒れた感じのゴルジュが始まる。ゴルジュ内に滝はいくつかあるが大きなものはなく傾斜も緩い。しかし、滑りそうな滝が多いので慎重に登る。
 ゴルジュが終わると気持ちの良いナメが始まる。しかし、それも長くは続かず今日の泊り場として予定していた二俣に着いてしまった。右俣は傾斜の強いナメが続いており、左俣は緩いナメが続いている。右俣に入って泊まる場所を探すが、狭く湿ったような所しかなく左俣を探す。左俣をわずかに入った右岸に乾いた良い場所があったので腰を落ち着ける。時刻はまだ13時前だ。今日は大焚き火で大宴会だ。酒はたっぷりと担ぎ上げてある。

【6月6日 曇り時々晴れ】
 予想に反して今日も降っていない。今週辺りに梅雨入りかなと思っていたがそんな気配もない。手早く朝食を済ませてほぼほぼ空身で出発する。この場所に戻ってくるのでタープは張りっ放しにする。今日の予定は右俣に入って稜線に抜けて、左俣左沢を幕場まで戻るというものだ。
 下降わずかで二俣から右俣に入る。気持ちの良いナメをしばらく辿るとナメが終わり、スダレ状の美しい滝が現れる。これを過ぎると同じようにスダレ状の滝で左岸から枝沢が出合う。その先で早くも核心部と言える黒岩滝が出現する。遡行図では2段15mとなっているがもっとあるように見える。これは登れず右岸より捲いた。

スダレ状の美しい滝黒岩滝 右岸から捲いた

 黒岩滝を捲いてもう一つ滝を越えると早くも原頭の雰囲気となってくる。やがて沢は伏流して水がなくなる。更に傾斜がなくなり全くの平坦地になってしまいルートがわからなくなってしまう。右往左往してようやく平坦地の右端に沢形を見つけてこれを辿る。一時的に水が復活するが、すぐにまた涸れてしまい最後の二俣に至る。右に進んで結構大変だったという記録もあるのでここは左に進路を取る。すぐに沢は消えほとんど藪漕ぎもなく2,241Pの少し南側に出た。
 最近では稜線まで上がらず、途中で左にトラバースして行って左俣右沢に合流してこれを下降するという記録を多く見るようになった。が、我々は稜線から左俣左沢を下降する予定だ。
 稜線上は背の低い笹に覆われており、時々消えるが踏み跡が続いている。目印のテープも随所に付けられていて迷う心配は全く無い。ただ、ここの笹は沢靴と相性が悪いのかよく滑る。沢への下降点まではほぼ下りなので気を付けないといけない。
 2,077P手前のコルから下降を開始する。すぐに水のないガレた感じの左沢に降り立った。左沢はゴルジュや滝も殆どない。途中にある滝は5mほどのナメ滝と幕場のすぐ上流の5mほどの二つだけ。慣れた人はクライムダウンで、不慣れな人は練習を兼ねて懸垂下降で降りた。
 幕場を撤収して下山にかかる。二俣から下は昨日歩いているので何も問題ない。赤岩沢出合から下の踏み跡は昨日は気づかなかったが、昨日渡渉した所からかなり下流まで続いていた。15時台のバスで赤沼駐車場まで戻る。
 せっかく日光まで来たんだから温泉でもと思ったが1都3県から来た我々を入れてくれるところはなく、諦めて帰ることにした。

〈コースタイム〉
【6月5日】 西ノ湖入口バス停(8:40) → 渡渉点(9:40~10:00) → 赤岩沢出合(10:30~11:00) → 二俣(幕)(12:20)
【6月6日】 幕場(5:50) → 稜線(8:35~8:45) → 左俣下降点(9:40~9;55) → 幕場(11:30~12:00) → 西ノ湖入口バス停(14:40)

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